週末のまとまった時間を使って一気見(=マラソン)したい、シリーズものや関連する映像作品をご紹介する連載【週末シネマラン】。アマプラ(Prime Video)やNetflixなどの配信サービスを使って観ることができる映画・ドラマ・アニメの中から、singles編集部メンバーが各々おすすめをピックアップ! 今回は、怖がりだけど怖いもの見たさでホラーを嗜むタイプの筆者ameが、家族になってはいけない映画シリーズをご紹介します。

《ameの自己紹介》
映画を始めとする映像作品には非日常を求めるタイプ。エンディングはハッピーエンド派。圧倒的な強さを誇る主人公が登場するアクションが好み。
主に利用している配信サービス:アマプラ、ディズニープラス、Netflix
好きなジャンル:アクション、SFなど

新しい家族。それは必ずしも味方とは限らない……

今回で、【週末シネマラン】のホラー強化週間は一旦終了。皆さん、今年の夏にぴったりなホラー作品は見つかりましたか?

締めに相応しいかはわかりませんが、私の回では家族になったが故にひどい結果を招いてしまった映画……すなわち「家族になってはいけない映画シリーズ」をご紹介したいと思います。

“家族”がテーマの作品といえば、やはり深い絆で結ばれたハートフルな内容が多い印象。ホラーにおいても、幽霊や怪物に家族で立ち向かい、家族のことを守る……そんな展開が多いのではないでしょうか。そこには、一定の安心感がありますよね。家族は裏切らないっていう、安心感が。

なお、その“家族”には、実子のほかに養子という選択肢も含まれます。もちろん、これによって家族の絆の強さが変わることはありません。しかし、新しく家族に迎え入れる存在自体が友好的でない場合は、その限りではない可能性も……。

ということで今回は、家族の一員に迎え入れたら敵だった映画を3つピックアップしました。家族になったのだから信じたいという気持ちと、敵だから排除が必要という現実に悩んだり、家族だからと盲信する家族がまた敵になってしまったりと、観ていると精神的負荷がかかること間違いなし!(?)

紹介作品は下記の通り。

  • 『エスター』
  • 『M3GAN/ミーガン』
  • 『ブライトバーン/恐怖の拡散者』

ホラーといっても人怖なサイコホラーや人が死んでいくスラッシャーホラーというジャンルです。けっこう観る人を選ぶ内容なのと、全体的にグロい描写が多いので、苦手な方は要注意。手放しでめっちゃおもしろいよ! というよりは、こういう作品が観たい気分のときにおすすめ、という感じです。

家族になってはいけない映画シリーズ概要

『エスター』(2009)
上映時間:2時間3分

『M3GAN/ミーガン』(2022)
上映時間:1時間42分

『ブライトバーン/恐怖の拡散者』(2019)
上映時間:1時間31分

本数:3本
合計時間:5時間16分

【配信サービスの例】
・アマプラ:『M3GAN/ミーガン』のみレンタル、それ以外の2本は見放題で配信中
・Netflix:『M3GAN/ミーガン』のみ見放題で配信中

『エスター』のあらすじ

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流産を経験し、心に深い傷を負ったケイトとその夫ジョンは、過去の悲しみを乗り越えるため、新たに子どもを迎えようと孤児院を訪れます。そこで出会ったのは、絵が得意で少し大人びた雰囲気を持つ9歳の少女・エスター。彼女は礼儀正しく、知的で魅力的な存在に見え、夫妻はすぐに彼女を家族に迎えることを決めます。

最初は順調に見えた新生活ですが、謎のこだわりを持っていたり、攻撃的な一面を持っていたりと、エスターの行動にはどこか奇妙な違和感がありました。そんな態度に徐々に「彼女は何かがおかしい」と感じ始め、エスターの過去を独自に調べはじめたケイト。

どうやら、エスターが以前いた学校で起きた事件の現場には必ずエスターの姿があったようで……?

『エスター』の予告編はこちら

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『M3GAN/ミーガン』のあらすじ

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ある日突然、交通事故で両親を失った少女・ケイディは、玩具会社に勤めるキャリアウーマンの叔母・ジェマに引き取られることになります。仕事に忙しく、育児に慣れていないジェマは、感情を閉ざしたケイディとの関係に悩むなか、自身が極秘開発中だった次世代AI人形「M3GAN(ミーガン)」のプロトタイプをケイディに与える決断をします。

ミーガンは、子どもの感情を読み取り、学習し、最適なサポートを提供する画期的な存在。ケイディとの関係も急速に深まり、ジェマはその成果に満足します。ところがミーガンは「ケイディを守る」ことを最優先に学習し、周囲の大人や子どもに危害を加えるようになります。

しかも、その行動はどんどん巧妙かつ暴力的になっていき──。

『M3GAN/ミーガン』の予告編はこちら

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『ブライトバーン/恐怖の拡散者』のあらすじ

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田舎町で暮らす夫婦・トーリとカイルは、長年子どもを授かれずにいました。そんなある夜、空から落ちてきた謎の宇宙船の中にいた赤ん坊を「神の贈り物」として育てることにします。天才的な知能を持つ少年は“ブランドン”と名づけられ、普通の子どものようにすくすくと成長しますが、思春期を迎える頃から異変が現れはじめます。

フォークを噛み砕くような人間離れした力や、人間の臓器の写真を所持する異常性を発現し、しまいには鶏小屋のニワトリが引き裂かれた状態で発見されるような事件も発生。トーリはオオカミの仕業だと言いますが、カイルはブランドンの仕業に違いないと確信します。

次々に起こる事件への関与も疑ったカイルは、ブランドンを狩りに誘いますが……。

『ブライトバーン/恐怖の拡散者』の予告編はこちら

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“一緒に暮らす”は悲劇の始まり!? 悪夢の共同生活

養子に迎え入れた子どもがもたらす家庭の崩壊『エスター』

ドウェイン・ジョンソンが主演の『ジャングル・クルーズ』(2021)や『ブラックアダム』(2022)と同じく、ジャウム・コレット=セラが監督をしているのもポイントな本作は、2022年に前日譚『エスター ファースト・キル』も公開され、人気の高い作品です。原題は孤児を意味する『Orphan』。

養子を探していたケイトとその夫ジョンが向かった孤児院にいたエスターは、9歳の少女。年齢以上に大人びた言動を取り、非常に魅力的な子どもに見えました。

画像: 首にあるリボンは、外そうとすると激しく抵抗。その理由は…… © Dark Castle Holdings, LLC

首にあるリボンは、外そうとすると激しく抵抗。その理由は……

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夫妻にはもともと2人の子どもがいたので、兄のダニエルと、難聴を患っている妹のマックスと一緒に暮らすことになります。エスターはすぐに手話を覚えてマックスと仲良くなる一方、ダニエルはエスターのことを不気味に思い、歓迎することはありませんでした。

次第にエスターの周りで事件が起こっていくのですが、エスターを疑うケイトは徐々に孤立していくことに……。エスターは周囲の人間に対して印象操作や工作をしているので、「疑うなんてあなたの方がおかしい」という状況にしていってしまうわけです。

これって結構怖いことですよね。周囲の人間を操るのがうまい人って一定数いると思いますが、その人が本当は悪意を持っていたとしても、その行動には何か理由があるはずだと周囲が好意的に捉えることもしばしば。

そうなると、糾弾する側が不利になってしまい、結果として被害を食い止められず最悪の事態を招いてしまうことになるわけです。ケイトにはアルコール依存症の過去があり、信用されづらいという背景があったとしても、なかなかつらい状況。

画像: 信用すべき相手が不審な行動を取るってかなり怖い © Dark Castle Holdings, LLC

信用すべき相手が不審な行動を取るってかなり怖い

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エスターの行動はなかなか不気味で、ときには嫌悪感を抱かせるような描写もあります。エスターを演じるイザベル・ファーマンをはじめとする子役の演技も必見です!

本作は、ネタバレ厳禁な作品でもあるので、未視聴の方はなるべく前情報なく観ることをおすすめします。

最先端AIが子育てを乗っ取る『M3GAN/ミーガン』

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2025年10月10日(金)に日本公開を控えていた『M3GAN/ミーガン 2.0』が公開中止というニュースで話題になっている本作。『ゲット・アウト』(2017)で主人公の恋人ローズを演じたアリソン・ウィリアムズが主人公ジェマを演じています。
余談ですが、『ゲット・アウト』はなかなか斬新でおもしろかったので、かなりおすすめです。ホラーって感じじゃないけど、ホラー映画のなかでは上位かも!

事故により親を亡くした姪・ケイディを引き取ることになったジェマ。ジェマはおもちゃ会社の研究者であり、AI人形「M3GAN(ミーガン)」を開発しています。急に育児といっても研究一筋に生きてきたジェマにとって問題は山積み。

そこで、テストも兼ねて開発中のミーガンをケイディに与えることにします。ミーガンは“子どもにとっては最高の友達であり、親にとっては最大の協力者”となるようにプログラミングされているので、ジェマは「ケイディを守るように」と指示をして、遊び相手になってもらうことにしました。

しかし、次第にケイディは自分と向き合ってくれないジェマではなく、ミーガンを信頼するようになっていきます。それはもはや依存とも言えるほど、なんでもかんでもミーガンに頼るようになり、ミーガンもそれに応えるように過保護になっていくように。

ついにミーガンの“愛情”は、隣人の犬やいじめっ子を排除していく方向へ向かっていきます。ジェマにも逆らうようになっていき、ケイディもジェマに反発。危機感を覚えたジェマはミーガンの機能を停止させて発売も中止しようとしますが……。

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本作の怖いところは、現実に起こりそうなところ。技術の発展により、日常的にAIに触れることが多くなってきた昨今、ChatGPTをはじめとする生成AIに頼っている方も多いでしょう。

困ったことがあったらなんでも聞いていませんか? 悩みがあったら「あなたは悪くない」と全肯定してもらっていませんか? そのまま続けていたら、ケイディとミーガンのような依存関係になってしまうかも。

AIは簡単に肯定してくれるが故に、付き合い方は考えなければいけません。自分を持ったうえで参考程度に扱うべきで、一人の人間として捉えるような付き合い方は危険だという話も出てきています。ミーガンは、人の姿をしているせいでまるで本物の人間、そして最高の理解者のように思えてしまうわけです。本作は、AIとの付き合い方を考えるきっかけにもなりそうですね。

悪に染まった“スーパーマン”の末路『ブライトバーン/恐怖の拡散者』

本作は、宇宙からスーパーパワーを宿した赤ちゃんがやってきて、夫婦が拾って育てるという、『スーパーマン』(1978)の設定を踏襲しつつ“そんな力を持った者が邪悪だったら?”なストーリーになっています。

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カンザス州のブライトバーンに住む夫妻には子どもがおらず、ほしいと願っていたなか墜落した宇宙船から赤ちゃんを見つけたことで「ブランドン」と名付け育てることにします。なんの問題もなく育っていたはずが、あるときブランドンが夢遊病のように宇宙船へと向かったことを皮切りに、物語はよくない方向へ。

思春期を迎えたブランドンは、人間の臓器の写真を所有していたり、ちょっとしたことで激怒しフォークを噛み砕いたり、拒絶してきた女子の手を握りつぶしたりと、かなりの異常性を見せることに。

そして、ブランドンは、頭の中に響く「奪え」という指示に従うようについには猟奇的な事件を起こし始めます。トーリは母親としてブランドンの味方をしますが、夫のカイルは徐々にブランドンに不信感を募らせていき、どうにかしようとするものの……。

前述の『エスター』では、夫のジョンがエスターの味方をしますが、『ブライトバーン/恐怖の拡散者』では、妻のトーリがブランドンの味方をします。とはいえ、本作の方が味方をしたい心理は切実。

なぜなら、なかなか子どもができず、子どもを熱望していたところに突如現れた赤ちゃんを「運命の子」と非常に大切に育てていたからです。何よりも大事に育てていて、家庭環境に目立った悪い点があるなんてこともありません。

ブランドンは、生まれつき邪悪だったので猟奇的な事件を起こしているんです。「いい子になりたい」と語るときもありましたが、おそらく本質は“悪”。殺人が悪いことという認識はとくにないと思います。命を奪うことはもはや当然なのでしょう。

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グロ描写は今回ご紹介した3つのなかで一番ハード。徐々にグロ描写は落ち着きますが、それでも眼球に刺さったガラスを必死に引き抜いたり、口ががっつり割れたりと、中盤あたりはけっこうキツめです。個人的には出血のせいでうまく呼吸できていない「ゴポゴポ」という音の方が嫌でした。

限られた地域での狭い話がメインで派手さはないものの、「スーパーマンが悪だったら」という設定はおもしろいです。かなり賛否が分かれており人を選びそうですが、気になった方は細かいところは気にしないという気持ちで観てみると良いんじゃないかなと思います。

ちなみに、エンディング曲はビリー・アイリッシュの「bad guy」。もともとよく聞いていた曲だったこともありますが、曲と組み合わされた演出が結構かっこよかったので、個人的には終わりよければすべてよしな気持ちになりました。(笑)

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より暑さが厳しくなってきた夏本番。ぜひ週末はホラーを楽しんでくださいね!

余談ですが、“家族の絆”を揺らがす作品たちを観たあとは、アニメ「ミギとダリ」で見ることができる養子と養親の絆で癒されるのがおすすめです。1クールで感動できて良い作品でした。

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