こんにちは、恐竜おねぇさんこと生田晴香です。今回は、新属新種発表で話題! モンゴルからの新恐竜「ザヴァケファレ」を紹介します。化石は頭ばかり出ていたパキケファロサウルスなのですが……なんと、あんなところやこんなところも見つかり、すごいことが発覚しているんです!

連載コラム「生田晴香、恐竜と生きる」。福井恐竜博物館 公認恐竜博士、古生物学会友の会・恐竜倶楽部メンバーでもある自他共に認める恐竜ラバーのタレント生田晴香が、恐竜の素晴らしさを隅から隅まで語り尽くします。壮大な歴史とドラマ、未解明の不思議が交差する魅惑の恐竜ワールドへ、ようこそ! - singles編集部

“頭突き恐竜”で見つかっている化石は、ほとんどが頭の一部ばかり!

画像: 国立科学博物館にて撮影

国立科学博物館にて撮影

“頭突き恐竜”といえば、ハゲ頭かのようなドーム状の頭で、仲間同士頭と頭をぶつけ合っているイメージがある「パキケファロサウルス」と……、

画像: JWポップアップストアにて撮影

JWポップアップストアにて撮影

映画『ジュラシック・ワールド/炎の王国』(2018)で見事な活躍をしてくれたスティギーこと「スティギモロク」が有名なので、なんとなくこんな感じの恐竜いたなぁとイメージできるのではないでしょうか。

これらの頭の上部がドーム状な植物食恐竜を「パキケファロサウルス類」というのですが、頭にぶつけた傷が多いことから頭突き恐竜石頭恐竜と呼ばれることもあります。(頭を本気でぶつけてたら首折れちゃうかもだけど、首の筋肉がすごければなんとか……?)

「パキケファロサウルス」と「スティギモロク」は2大有名パキケファロサウルス類! と、いいたいところですが、じつはドラゴレックスとスティギモロクは「パキケファロサウルス」の若い頃の姿だと思われています。なので、実際に有名なのはパキケファロサウルスです。

画像: メガ恐竜展2017にて撮影

メガ恐竜展2017にて撮影

このように、どの恐竜がどの恐竜と同一なのかが、なぜ分からないのかというと、パキケファロサウルス類で見つかっている化石はほとんどが頭の一部ばかりなんですね。どの子も首や前あし、しっぽも見つかっていません。

なので、「この恐竜はこうだ」と、なかなかハッキリするのが難しく、謎に満ちたあふれたグループなのです。……が! なんと!

このたび、多くの化石のパーツが見つかったパキケファロサウルス類が発見されました!

多くのパーツが見つかった! 新パキケファロサウルス類の大発見

画像: ザヴァケファレ同士の頭突き行動を描いた復元画 ©服部雅人

ザヴァケファレ同士の頭突き行動を描いた復元画

©服部雅人

その名も……、
『ザヴァケファレ・リンポチェ(Zavacephale rinpoche)』

英科学誌「ネイチャー」電子版にて、研究成果が2025年9月18日(木)に掲載されました。(新属新種発表おめでとうございます!)

研究グループは、米国ノースカロライナ州立大学兼モンゴル古生物学研究所のチンゾリグ・ツォクトバートル博士、福島県立博物館の吉田純輝学芸員、岡山理科大学恐竜学科の高崎竜司助教ら。

画像: ザヴァケファレの全身骨格レプリカは、恐竜学博物館で一般公開!

ザヴァケファレの全身骨格レプリカは、恐竜学博物館で一般公開!

ちなみに、「ネイチャー」に掲載されたことで恐竜研究者のVtuberが身バレした際に、本名に「竜」が付くという点でも話題になってましたね。

この発見から、パキケファロサウルス類の新しいことが発覚しているので紹介しましょう!

画像: ザヴァケファレの復元骨格図 ©増川玄哉

ザヴァケファレの復元骨格図

©増川玄哉

ザヴァケファレは2019年、モンゴル・ゴビ砂漠の白亜紀前期の地層から、特徴的な頭部をはじめ手足、胴体など全身の骨格が発見されました。

若手の研究者集まって調査に出かけたところ、モンゴル人のチンゾリグ博士、ほかのメンバーが先に調査に出かけ探し回ってるなか、キャンプの近くからその頭が出ているのを見つけたのだとか。

例えるなら、メガネがなくて探していたら頭に乗っていたかのように、宝は身近にあったわけです。

胃の中には鳥などが咀嚼に使う「胃石」や、指、しっぽも発見されたのですが、それはパキケファロサウルス類初の発見です。そう、この大発見はとてもすごいことなのです!

ザヴァケファレについて

画像: 研究グループ提供のザヴァケファレの全身骨格

研究グループ提供のザヴァケファレの全身骨格

ザヴァケファレ・リンポチェの名前の意味は、チベット語で「根」「起源」を意味する「ザヴァ」と、ラテン語で「頭」を意味する「ケファレ」を組み合わせ、種小名の「リンポチェ」はチベット語で「尊きもの」で、「ドーム頭の恐竜の起源にして尊い宝」という意味です。

白亜紀前期(約1億1000万年前)、モンゴルに生息していました。

これまで北米、アジアで見つかっているパキケファロサウルス類の化石は、ほぼすべてが中生代末期(約8000万年前~6600万年前)のもので、頭部ドームは従来考えられていたより1400万年以上前から存在していたことが分かりました。

研究グループ提供の脚の断面写真

この個体は2歳以上の若い個体で、体重は約6キロ、体長は1メートルと推定されました。

頭部ドームがしっかり発達していたにもかかわらず未成熟な個体で、体全体が成熟し切る前から闘争などでドームを機能させていたとみられ、「社会行動の進化を探るうえでも大きな手掛かりになる」としています。

今後、歯の分析などから、どのようなものを食べていたかも明らかになってくるそうなので、今後の新情報も楽しみですね!

この個体は子供なので、もしかしたらパキケファロサウルスみたいに大きくなるにつれて頭の突起やハゲ具合も変わってくるかもしれません。近場で大人の個体も見つけてほしいところです。

▶▶▶詳しく知りたい方は論文へ

どこで見ることができる?

【福島県立博物館】ポイント展「新種発見! 世界最古の頭突き恐竜」

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【福島県立博物館】
開催期間:2025年9月18日(木)~2025年10月19日(日)
会場:福島県会津若松市城東町1-25 常設展示室 三の丸アベニュー
公式サイト:https://general-museum.fcs.ed.jp/

【岡山理科大学 恐竜学博物館】最古の頭突き恐竜「ザヴァケファレ」特別展示

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【岡山理科大学 恐竜学博物館】
開催期間:2025年9月18日(木)〜10月18日(土)
会場:岡山県岡山市北区理大町2-2 C2号館1階の恐竜学博物館
公式サイト:http://dinosaur.ous.ac.jp/museum.html

東京ゲームショウ2025にてコスプレイヤーさんと!

ではまた次回!

画像: 恐竜研究者Vtuberの身バレでも話題!? モンゴルからの新恐竜「ザヴァケファレ」の大発見

生田晴香 | Haruka Ikuta

恐竜タレント。TV、CMのほかモデルとして活躍中。福井恐竜博物館の公認恐竜博士で恐竜検定所持。恐竜トークショー、クイズ、鳴き声コンテスト審査員。古生物学会友の会&恐竜倶楽部メンバー。恐竜のうた「ダイナソーDANCE」監修。実は元あやまんJAPAN。

YouTubeちゃんねる「恐竜わっしょい!」始めました。

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