▶▶▶写真はこちら|『ヴァシュロン・コンスタンタン メッシュドール』
VASHERON CONSTANTIN
18世紀半ばに創業して以来、260余年に渡り一度も系譜を絶やさず時計製造を続けているヴァシュロン・コンスタンタン。真の意味で「世界最古のウォッチメゾン」と称され、数あるスイスの時計メーカーの中でも希少な存在である。1996年には高級時計の大手リシュモングループの傘下に入り、2004年にはジュネーブのプワラレットに新しいマニファクチュールを開設。翌2005年には、ブランド創業250周年を迎え、世界7本限定の「トゥール・ド・リル」などの秀作を発表。改めて同ブランドが特別なメゾンであることを証明した。
編まれていたのは、時代の美意識。
“世界三大高級時計ブランド”のひとつ、ヴァシュロン・コンスタンタン。今回は、同ブランドがかつて手がけていた名作『メッシュドール』をご紹介しよう。

メッシュドール
名前の通り、ブレスレット部分には細かく編み込まれたメッシュが採用されているが、特筆すべきはそれが単なる装飾ではなく、実際に金を織り込むように成形された本格的なメッシュ構造であるという点。裏側を見れば、それが表面だけの模様ではないことがよくわかる。

繊細な光沢を放つメッシュブレスの表面。細かく編まれたパターンが上品な輝きを生み出す

編み目の構造が際立つ裏面。一本一本が緻密に組み合わされているのが見て取れる
メッシュドールは1950年代から存在していたモデルだが、今回紹介する個体は1980〜1990年代に製造された、いわばシリーズの最終形に近い一本。
※メッシュドール自体は1990年代に生産終了
貴金属製のメッシュベルトは、高級時計においてしばしば採用された意匠であり、パテック フィリップの「ゴールデン・エリプス」(1968年発表)の初期モデルなどもその一例である。こうしたモデルには、単に高価な素材を用いるだけでなく、デザインの面でも「いかにも高級時計であること」を強く打ち出す時代性があった。

ゴールドを基調にした華やかな一本。文字盤6時位置には、インデックスなどに貴金属を用いていることを示す「σ(シグマ)」マークが入っている
その傾向はクオーツショック以降、さらに強まる。機械式時計の存在意義が問われるなか、各ブランドは素材や意匠で“高級感”や“伝統”を訴求するようになった。
メッシュドールはそうした時代よりも前、1950年代にはすでに登場していたが、今回のモデルには、6時位置に貴金属の使用を示す「σ(シグマ)」マークが入っており、少なからず“高級感の演出”を意識した設計思想が読み取れる。

文字盤には、編み込みを思わせる幾何学模様が施されている。どこかデジタル的にも見える独特のデザインだ

ケースやベゼルにも、編み込みを想起させる意匠が施されている

リューズにはブランドの象徴であるマルタ十字の意匠があしらわれている

薄型の手巻きムーブメントを搭載しているため、時計全体が非常にスリムな仕上がりとなっている
興味深いのは、ブレスレットのみならず、文字盤にも同様の「編み込み」を思わせる意匠が施されている点だ。細部まで徹底されたこの統一感が、上品さと存在感を同時に成立させている。
ムーブメントは、手巻きのCal.1132-1。極めて薄型で、ドレスウォッチとしての完成度も高い。
見た目の優雅さと実用性の両立を図るため、着脱はフック式のバックルで行うが、サイズ調整にはブレス自体のカットが必要となる。利便性よりも美しさを優先する、当時のクラフツマンシップが感じられる設計だ。(下写真参照)






なお、バックルには同ブランドの象徴ともいえる「マルタ十字」が刻まれており、裏面には金無垢を示す「750」の刻印(右写真中央、マルタ十字の横)も確認できる。
高級時計としての矜持を、デザインと素材のすべてで体現した本モデル。時を経ても色褪せない、そんな美意識がここにある。
VACHERON CONSTANTIN
メッシュドール
品番:31046
素材:イエローゴールド
サイズ:縦32mm×横32mm
防水:-
ムーブメント:手巻き
文字盤:シャンパンゴールド
販売価格:1,380,000円(税込)※USED
【付属品】
収納ケースが付属 ※保証書なし
※価格は2025年8月現在のMOON PHASE銀座店・販売価格です。
ムーンフェイズ 〜スタッフボイス〜
歴史的背景のある一本で、今ではなかなか見かけないタイプのお時計です。かつては金の重さだけで語られがちだった金無垢時計ですが、近年は時計としての評価も高まっています。このモデルは、素材としての価値はもちろん、ムーブメントの信頼性、そして作りの丁寧さも含めて、総合的に見ても非常に魅力的。しかも価格は比較的抑えられていて、資産性も安定しています。とくに、ブレスレットのしなやかさは他ブランドと比べても秀逸です。
本個体は撮影時点で商談が入っていたほど。こうした一本が再評価されつつある流れも、見逃せません。ぜひ注目いただき、その魅力を実感していただければと思います。
位置 | 東京都中央区銀座1-6-6 GINZA ARROWS1F |
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電話 | 03-5250-7272 |
営業時間 | 11:00〜19:00(日曜祝日〜18:00まで) |
定休日 | 水曜日 |
公式サイト | https://moon-phase.jp/ |