禁断の実験で生まれた“新生命体”！ 果たしてこれは希望なのか……『スプライス』【シネマ・グレイ File.056】

《自己紹介》
『singles』をご覧の皆さんこんにちは！モデルをしながらライターとして記事を書いている「紺野ミク」です。こちらでは映画大好きな私がオススメする作品を紹介しています。好きなジャンルは考察系、クソ映画、鬱映画など見終わった後にモヤっとする映画が大好きです（笑）独断と偏見で楽しくツッコミながら紹介していくのでよろしくお願いします☆

科学者たちの禁断の実験を描いたSFホラー『スプライス』

人間と動物の遺伝子組み換えにより、新しい生命体を創造する科学者たちの禁忌を描いたSFホラー『スプライス』（2010）。

『CUBE』（1997）のビンチェンゾ・ナタリ監督がメガホンを取り、製作に『シェイプ・オブ・ウォーター』（2017）のギレルモ・デル・トロと、『マトリックス』（1999）のジョエル・シルバーが参加。カナダとフランスの合作映画となっています。

本作を21世紀のフランケンシュタインの物語と考えたビンチェンゾ監督は、主人公クライヴとエルサの名を、ジェイムズ・ホエール監督の『フランケンシュタイン』（1931）のコリン・クライヴと、『フランケンシュタインの花嫁』（1935）のエルザ・ランチェスターから引用したと語っています。

また、『スプライス』がフランスの出資を得て製作したことに関しては、「この映画にはハリウッドの大手スタジオが好まない性的な要素がある。映画を完成させるには、そうしたことに寛容なフランス文化と企業が必要だった」と明かしたため、2011年の日本公開時には映倫の審査によりR15指定され、まさに禁断の作品であることがうかがえます。

遺伝子操作で生まれた“新生命体”

私生活でもパートナー同士の遺伝子エンジニア クライヴとエルサは、N.E.R.D. （核酸交換開発）の研究所で種類の異なる動物の遺伝子を接合させ、いくつものハイブリッド生命体を作っています。

ある日2人は、製薬会社が禁止しているにも関わらず、人間のDNAを使ってハイブリッドを作る禁断の実験を秘密裏におこない、雌の“新生命体”を生み出してしまいます！

それがこちら！！

わああああ！ なんか丸くて目がある！！

初めて見る人間を不思議そうに眺める生命体。

うーん、怖いけどちょっとかわいい気もする……（笑）キモカワ。。
2人はこの生命体を、N.E.R.D.を反対に読んだ“ドレン”と名付け、育てることにします。

しかし、すさまじい早さで成長する“ドレン”は、徐々に恐ろしい本性を見せ始めるのです……。

人間のエゴによって生まれた悲劇

本作は、成長したドレンがやがて人間を襲い始める恐ろしいSFホラーではありますが、人間のエゴによって作り出された“ドレンの悲劇”を描いた作品でもあります。

ドレンがどんなに凶暴でも、作り出された彼女に罪はありません。

呼んだら一生懸命歩いて来てご飯を食べ、どんどん成長するドレン。一緒に遊び、勉強し、ときには甘えてくる姿は観ているこちらも愛着が湧いてきます！（笑）

むしろ自分たちの勝手な実験でドレンを作ったのに、凶暴だと分かった途端に殺した方がいいのでは？ と話し合うクライブとエルサに腹が立ちます。

あんなにかわいいのに、かわいそうでしょうがあああ！

あまりに身勝手ですが、もともとはアルツハイマーや癌の治療に役立つ成分を抽出するべく実験をしていた2人。どんな薬や治療法にも研究や実験は必要不可欠とはいえ、人のように意思を持ってしまったドレンが不憫でなりません……。

衝撃のラスト！！

実験のためにも何とか隠しながらドレンを育てますが、大きくなるにつれドレンは2人の予想を遥かに超えた進化を遂げていきます。

“人間のエゴで命を生み出すことがいかに罪深いことか？”

あまりに考えさせられる衝撃の結末をぜひご覧ください！

『スプライス』、週末のお供にいかがですか？

【スプライス 予告動画】

紺野ミク｜Miku Konno

モデル・女優などで活躍中の他、2017年からはライターとしても活動。連載を持ちコラム執筆をするなど多方面で活躍中。お酒・映画鑑賞が大好き。

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