《ameの自己紹介》
映画を始めとする映像作品には非日常を求めるタイプ。エンディングはハッピーエンド派。圧倒的な強さを誇る主人公が登場するアクションが好み。
主に利用している配信サービス:アマプラ、ディズニープラス、Netflix
好きなジャンル:アクション、SFなど
都市伝説や伝承に興味はありますか?
「夏といえばホラー!」ということで、現在【週末シネマラン】では、各編集部員がホラー作品をご紹介しています。
私は基本怖がりなのですが、ホラーを楽しめるタイプの怖がりなんです。「怖がる」ということをコンテンツとして楽しみたいタイプ。とくに好きなジャンルは「意味がわかると怖い話」です。ホラーといえば、余白の部分を邪推してしまうこと、そして恐怖心が独り歩きしていってしまうことが怖いと思っているので、いろいろ補完される映像より、文章や怪談師による語りのほうが好みです。
なお、ホラーは安全圏で楽しみたいので、話を見聞きすると感染する系は極力避けるようにしています。コンテンツとして恐怖を楽しみたいだけで、巻き込まれるのは絶対いや! 幽霊の存在は肯定派ですが、目の前に現れられては困ります。
余談ですが、“安全圏で楽しみたい”という理念に基づき(?)ホラーゲームは苦手です。実況で見るならOK。それと、おなじゲームでもTRPGといった映像のないタイプなら平気です。大学生時代にはクトゥルフ神話TRPGに激ハマりし、布教しまくった結果友人たちとTRPGに明け暮れる日々を過ごしていたものです。インセインというホラーRPGもよくやっていました。
※TRPG(テーブルトークロールプレイングゲーム)は、ゲーム機を使用しない対話型のゲームです。ルールブック片手にサイコロを転がして遊びます。

クトゥルフ神話TRPGは、たとえばこんな感じの邪神が召喚されないように頑張って阻止したり、頑張ったけどダメだったり、それでもとにかく生き残るために頑張ったりするゲームです。よくあるゲームと違い特殊能力のない一般人なので、ステータスが現実的なのもポイント
そして、ホラージャンルでは、都市伝説や伝承なんかも好き! そういった話のなかには、昔は呪いだと思われていたが現代で科学的に解明されたなんてこともあるのですが、これにも非常にロマンを感じます。
そんなわけで、私の回では「ロア〜奇妙な伝説〜」というアマプラオリジナルのドラマをご紹介します。「ロア」は、伝承という意味。古くから言い伝えられてきたものを指します。一応ホラージャンルではありますが、怖いというよりは興味深く見られる作品です。一部グロ注意。
このドラマは、ロボトミー手術や降霊術といった、これまでの歴史で実際にあった恐怖の出来事を実写化したシリーズ。都市伝説の裏には、こんな真実が隠されていた……そんな、恐怖の歴史を身近に感じることができる作品です。
シーズンは2まで、それぞれ6話ずつという手軽さも魅力。シーズン1と2では切り口が違うため好みが分かれそうですが、どちらも知的好奇心を満たすことができる作品なので、ぜひ観てみてください。
またまた余談ですが、「都市伝説解体センター」というゲームの山田ガスマスクが好きです。Webライターだしちょっと親近感。こちらもおすすめです。
「ロア〜奇妙な伝説〜」シリーズ概要
・「ロア〜奇妙な伝説〜」シーズン1(2017)
全6話合計時間:4時間11分
・「ロア〜奇妙な伝説〜」シーズン2(2018)
全6話合計時間:4時間23分
話数:全12話
合計時間:8時間34分
【配信サービスの例】
・アマプラ:見放題で配信中(Amazonプライムオリジナル)
「ロア〜奇妙な伝説〜」のあらすじ

Amazon Prime Original(アマゾン・プライム・オリジナル)のドラマシリーズ
スリラー作家であるアーロン・マーンケの人気ポッドキャストをもとに製作されたこのシリーズは、昔から存在した言い伝えや伝承の裏に隠された真実を1話完結型で描いた作品。ゲイル・アン・ハードやグレン・モーガンといった「ウォーキング・デッド」、「X-ファイル」の製作総指揮者らによって実写化されています。
シーズン1の1話目「よみがえる死体」のあらすじは下記のとおり。
舞台は1800年代のアメリカ。ニューイングランドのとある農村で、ブラウン一家を襲ったのは不治の病と呼ばれた「結核」でした。娘を亡くし、息子も衰弱するなか、父・ジョージは「死者が家族の命を奪う」という言い伝えにすがるようになります。
その言い伝えによると、死んだ家族の体にまだ“悪霊”が宿っていれば、その者の心臓を焼き、その灰を煎じて病人に飲ませることで命を取り戻せるというのです。
ジョージは迷いながらも、すでに埋葬された娘の墓を掘り返し、心臓を取り出すことにするのです──それが、息子を救う最後の手段だと信じて。
1話完結でどこから観てもOK! まずはお好きなテーマからどうぞ
前述の通り、「ロア〜奇妙な伝説〜」というドラマはシーズンが2つあります。それぞれ1話完結なので、下記のシーズンごとのエピソードタイトルとテーマを見て興味が出たものをつまんでみるという楽しみ方でもOK。
【「ロア〜奇妙な伝説〜」シーズン1】
エピソード1「よみがえる死体」
テーマ:生死誤認と吸血鬼伝説
エピソード2「恐怖の手術」
テーマ:ロボトミー手術
エピソード3「さらわれる女たち」
テーマ:チェンジリング(取り替え子)
エピソード4「死者の音」
テーマ:降霊術
エピソード5「心に巣食う獣」
テーマ:狼男
エピソード6「封印された箱」
テーマ:呪いの人形
【「ロア〜奇妙な伝説〜」シーズン2】
エピソード1「バークとヘア:医学のために」
テーマ:墓荒らしから連続殺人鬼へ
エピソード2「エリザベート・バートリ:鏡よ、鏡」
テーマ:吸血鬼伝説(血の伯爵夫人)
エピソード3「ヒンターカイフェック:屋根裏の幽霊」
テーマ:ドイツの一家惨殺未解決事件
エピソード4「プラハの天文時計:オルロイの呪い」
テーマ:オルロイの呪いとペスト
エピソード5「メアリー・ウェブスター:ハドリーの魔女」
テーマ:魔女狩り・魔女裁判
エピソード6「ジャック・パーソンズ:悪魔と神」
テーマ:悪魔召喚×科学
基本的にシーズン1では、元ネタとなる都市伝説や伝承の概要とともにナレーションによる解説付きで、それぞれ再現ドラマ化しています。打って変わって、シーズン2ではドラマがメイン。ナレーションもないため、ここが好みの分かれるポイントです。
とはいえ、こういった都市伝説や事件系が好きな人にとっては、興味深く観ることができる作品だと思います。
例えば、シーズン1の前半3つ「よみがえる死体」、「恐怖の手術」、「さらわれる女たち」という話は、伝承や迷信を信じたが故に起きた悲劇で、後半3つ「死者の音」、「心に巣食う獣」、「封印された箱」は逆に信じなかった人が痛い目に遭うという流れ。
人はこれまでの常識・価値観ではどうしようもない未知のものに出会ったとき、ほかのものに縋るわけですが、これにより生まれた悲劇が描かれています。

「亡くなったと思われた人が生き返る」なんて話も、医学の未発達により起きた悲劇のひとつです
※本編映像ではありません
某掲示板のネットロアの書き出し「信じようと信じまいと」のように、こういった現象は人間がどうあろうと存在するのかもしれません。そう思うと、盲信さえしなければ知識として知っておくのは大事なような気がしますね。
また、シーズン2では、有名な事件や逸話が語られます。例えば、「バークとヘア:医学のために」は、お金稼ぎのために墓荒らしをして得た死体を、検体として医者に売りつけていた2人の話です。
もちろん検体の状態が良いほうが高く売れるため、そのうちに活きの良い死体……すなわち死にたてホヤホヤを入手するために、気づけば歴史上に名を残す連続殺人鬼になっていきます。ただ、この2人がどう考えていようと結果として医学の発展に貢献していたというのも事実であり、なんともいえない話。とはいえ、当然許されることではないですが。
ほかにも、シーズン2では「ヒンターカイフェック:屋根裏の幽霊」という一家惨殺未解決事件を題材にした話もあります。これはかなり嫌な話で、これから殺される一家の平穏な日常を見ないといけません。この文章だけで嫌な気持ちになった方は見ない方がいいかも。
個人的にはこういう、なんてことのない日常から一転して悲劇に見舞われるというのはけっこうキツいです。小学生のころに観た、宮部みゆきの小説が原作となった『ブレイブ ストーリー』(2006)の誕生日パーティーの一連のシーンがいまでもトラウマ。デスゲーム系の作品によく出てくる「何も起こらない日常がつまらない」だなんて口が裂けても言えないです。平和な日常万歳。
このように、けっこう描写が過激だったり内容そのものが閲覧注意だったりと、人を選ぶ作品ではありますが、こういうのを観たくなる気分のときってありますよね。そんなときにまずは1話、お試しで観てみてください。
科学の進歩によりさまざまな技術が入ってきている昨今、これまでの常識が揺らいだときに、このドラマで得た知識が役に立つときが来るかもしれません。
信じようと信じまいと──。少なくともあなたの知的好奇心を満たすことはできるでしょう。