見終わったあとモヤモヤする映画が大好きな筆者が語る映画連載【シネマ・グレイ】。今回は、ベネチア映画祭が騒然となった、映画史上もっとも美しく恐ろしい問題作 『サスペリア』(2018)をご紹介します!(文:紺野ミク)

《自己紹介》
『singles』をご覧の皆さんこんにちは!モデルをしながらライターとして記事を書いている「紺野ミク」です。こちらでは映画大好きな私がオススメする作品を紹介しています。好きなジャンルは考察系、クソ映画、鬱映画など見終わった後にモヤっとする映画が大好きです(笑)独断と偏見で楽しくツッコミながら紹介していくのでよろしくお願いします☆

映画史を塗り替える恐怖の傑作! 『サスペリア』

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イタリアの鬼才 ダリオ・アルジェントが1977年に発表したゴシックホラーの金字塔「サスペリア」(オリジナル版)を、ルカ・グァダニーノ監督が大胆にアレンジしたリメイク版『サスペリア』(2018)。

ベルリンの世界的有名ダンスカンパニーに入団するためボストンからやってきたスージーに起きる出来事を、オリジナル版とは異なる視点から新たに描いた作品となっています。

すべての想像を超えた傑作の誕生に、ベネチア映画祭は騒然……。空前の賛否と激突を生み、数々の号泣と感動、罵声と失神を巻き起こしました。

本作は“じわじわと侵食してくる違和感”に重きをおいた作品なので、観終わったあとは明確な恐怖ではなく、どこか説明のつかない不快さと、奇妙な納得感が残るのもまた不思議なんですよね。

主人公スージーを演じるのは、大胆な官能演技で世界的大ヒットとなった『フィフティ・シェイズ』シリーズのダコタ・ジョンソンほか、ティルダ・スウィントン、クロエ・グレース・モレッツ、ミア・ゴス ら豪華女優陣が共演。

さらに、イギリスの世界的ロックバンド「レディオヘッド」のトム・ヨークが、映画音楽を初めて担当したことでも話題になりました。

一流ダンサーを目指すスージーの才能

1977年、ベルリンを拠点とする世界的に有名な舞踊団「マルコス・ダンス・カンパニー」に入団するため、スージー・バニヨンは夢と希望を胸にアメリカ ボストンからやってきました。

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入団オーディションでカリスマ振付師マダム・ブランの目に留まり、すぐに大きな役を手にします。

しかし、マダム直々のレッスンを受ける彼女の周囲では、ダンサーたちがつぎつぎと謎の失踪を遂げるという不可解な出来事が続発。

一方、心理療法士のクレンペラー博士は、患者だったダンサーが謎のメッセージを残し姿をくらましたことで、原因はカンパニーにあると考え秘密裏に調査を始めます。

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しかし、そこには恐ろしい真実と闇が隠されていたのです……。

“女性”というものの本質に迫る

本作は、いろんな角度で女性を見たときに、どんな怪物や霊よりも恐ろしいものは、女性の怨念であることを描いています。

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女性たちの華麗で壮絶な競争世界は、『ブラック・スワン』をはじめ多くの作品に通じるものであり、そのたびに私たちは女性の怖さと強さを目の当たりにしてきました。

「サスペリア」オリジナル版ではバレエの名門校が舞台でしたが、リメイク版である本作ではコンテンポラリー・ダンスの舞踊団へと変更。
劇中でもダコタ・ジョンソン演じるヒロイン・スージーが、オーディション中にバレエシューズを脱ぎ裸足になって舞い踊るシーンは、オリジナル版を彷彿とさせ非常に印象的です。

そして、ティルダ・スウィントンの性別、年齢、人種をも超越した驚くべき怪演。

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すべてをさらけ出し、やがて“覚醒”していく女性たちの姿は美しくもあり狂気!

もはや男性たちは太刀打ちできないのです。

 

※ここから先はネタバレを含んだ紹介となりますのでご注意ください

 

カンパニーに潜む闇とは何なのか?

オリジナル版を観たことがあるかたはもちろん知っていると思いますが、スージーが入団した有名舞踏団「マルコス・ダンス・カンパニー」の秘密……。

ダンサーがつぎつぎと失踪していることから、舞踏団に何かあるのはピンときますよね!

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じつは、「マルコス・ダンス・カンパニー」はひとことで言うと、

魔女たちの巣窟だったのです!!

振付師のマダム・ブランをはじめ、このカンパニーの女性たちはすべて魔女です。

彼女たちの目的は……

魔女は、自分たちにとっての「マザー(母)」を復活させるため、夢を追う若者の肉体や精神を支配し、生贄として儀式に捧げていました。

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魔女たちにとってダンスは単なる動きではなく、呪いや交信、そしてマザー復活の儀式に欠かせないもの。

そのため、より完璧な「器」を見つけるために才能のある若者をカンパニーに入団させる必要があったのです。

映画の“核”は別にある

本作を初めて観た人にとっては、カンパニーが魔女の巣窟ということは大きなポイントかもしれません。
しかし、『サスペリア』ではそれを“驚くべき異常”として描いていないんです。

そこが本作の“核”となる部分であり、おもしろい最大のポイントです!

なぜなら魔女たちにとってそれは日常で、長きにわたり継承してきたやり方だからです。

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カンパニーは世界的に有名であり、社会的立場もしっかりあります。
組織としてのルールを守り、後継者を残すための話し合いや投票もする。ある意味では人間より人間的な社会生活を送っているかもしれません。

そのため観ている私たちに、ここは驚くところではないのよ? と言わんばかりに物語は静かに進行していきます。

さらに深く考えると、魔女たちは完全な加害者なのか? という疑問さえ浮かんできます。

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自分たちも生きていくしかないなかで、“継承”という役割を与えられそれを遂行しているだけなのです。彼女たちにとってのマザー復活のために……。

そして後半には、さらなる衝撃の真実が明らかになります!!

歴史的背景はわからなくてもOK!

本作は舞台が1977年のベルリンであることから、ナチス・ドイツ・テロや戦争などの歴史的背景が多く盛り込まれています。

しかし、そこを直接描いているわけでも説明があるわけでもないので、冒頭のシーンから頭にハテナが浮かぶと思いますが、それでOKです!

あまりに深掘りすると難しくなりすぎてしまうため、まずは、
「夢を追いかけて入った舞踏団がなんかヤバいところだった!」

くらいのノリで観てください(笑)

そこから、細かい部分に興味を持ったら歴史的背景もあわせて調べてみるのをオススメします♪

理屈や倫理を飛び越えた究極のウィッチホラー『サスペリア』、週末のお供にいかがですか?

【サスペリア 予告動画】

画像: 【公式】『サスぺリア』1月25日(金)公開/本予告 youtu.be

【公式】『サスぺリア』1月25日(金)公開/本予告

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画像: “その踊りは死を招く” 史上空前の賛否と激突! 映画史を塗り替える恐怖の傑作『サスペリア』【シネマ・グレイ File.067】

紺野ミク|Miku Konno

モデル・女優などで活躍中の他、2017年からはライターとしても活動。連載を持ちコラム執筆をするなど多方面で活躍中。お酒・映画鑑賞が大好き。

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