《自己紹介》
『singles』をご覧の皆さんこんにちは!モデルをしながらライターとして記事を書いている「紺野ミク」です。こちらでは映画大好きな私がオススメする作品を紹介しています。好きなジャンルは考察系、クソ映画、鬱映画など見終わった後にモヤっとする映画が大好きです(笑)独断と偏見で楽しくツッコミながら紹介していくのでよろしくお願いします☆
夏の暑さを吹き飛ばす狂気映画『ミッドサマー』
7月とは思えない猛暑! 皆さんいかがお過ごしですか? そんな暑さも吹き飛ばす、夏に観たい珠玉の一本といえばこれでしょう!!
そう、鬱映画の代表作とも言えるホラームービー。
『ミッドサマー』
です!!!
長編監督作1作目である『ヘレディタリー/継承』(2018)で、ホラー映画界にその名を轟かせたアリ・アスター。彼の長編2作目となったのが、『ミッドサマー』(2019)です。
『ヘレディタリー/継承』もコラムで書いているので、こちらもぜひご覧ください♪
「祝祭がはじまる」という不穏な言葉とこのメインビジュアルはとても印象的だけど、じつは観たことない! って人も意外といるのでは? でも今さら観てないなんて言えない! タイミングを逃した! ってかた! 大丈夫。
今年の夏こそミッドサマーを観ましょう!(笑)
ただいろいろ覚悟は必要なので、あらすじとともに紹介していきますね〜☆
スウェーデンで行われる「90年に一度の祝祭」
大学生の主人公 ダニーと彼氏のクリスチャン。付き合って4年経つ2人は最近あまりうまくいっていません。ダニーの情緒不安定なところに嫌気が差し、クリスチャンは別れを告げようとしています。
そんなとき、不慮の事故で家族を失ってしまうダニー。失意のどん底のダニーに別れを言うことは出来ず、仕方なく友人と行くはずだったスウェーデンのお祭りにダニーも連れていくことに。
このお祭りというのが、スウェーデンの奥地にあるホルガ村で、
『90年に一度行われる祝祭(夏至祭)』でした。
しかしこの祝祭こそ、足を踏み入れてはいけない恐怖のお祭りだったのです……。
美しく不気味なホルガ村の儀式
ホルガ村はとても美しく色鮮やかな自然に囲まれています。村の人たちもかわいい民族衣装とともにダニーたちを優しく歓迎してくれます。(それがまた怖いのよ)
しかし、9日間開催される夏至祭では、信じられない儀式が行われるのです。
ネタバレになってしまうので詳しくは言いませんが、ホルガ村では代々受け継がれている独特な『死生観』があります。『死』は喜びであり、次に繋げるもの。という考えなので、自ら命を捧げることや、神への生贄として人を殺すことも彼らにとっては当たり前なのです。
もちろんそんな村とは知らず、お祭り気分で来たダニー達は一気に恐怖のどん底へ!!(笑)この村のことは一切口外厳禁なので、帰ることは不可能。逃げようとすれば恐ろしいことが起こります。
そもそもこの村に誘ってきたのはクリスチャンの友人で、ホルガ村出身の「ペレ」です。外部からの人間を村に招待するのも、子孫を残すためや生贄にするためだったのです!
友達だと思ってたのに!! ペレえええ!! 貴様ああああ!
ヒントとなるタペストリーと伏線の数々
作中には、物語の行方を指し示す絵やタペストリーがたくさん登場します。
もちろん最初は何のこっちゃって感じですが、最後まで観てからもう一度見ると、タペストリーやルーン文字など、考察出来るアイテムがたくさん散りばめられていておもしろいです☆
映画の最初の画面にデカデカと映る絵も、四季を通して物語の行方を示すヒントになっています。ミッドサマー公式のInstagramにもUPされてるのでチェックしてみてください♪
ミッドサマーに惹かれるのは何故か?
若者が知らない村に来て殺されたり生贄にされたりする映画って、結構あるんですよね。設定としては珍しいわけじゃないのに、なぜ惹かれるのか?
ミッドサマーは「夏至祭」をテーマに『太陽が沈まない夏の北欧』を舞台としています。白夜によって夜中まで明るいホルガ村で起こる出来事は、ダニーたちだけでなく、観ている私たちも常に高揚した不思議な感覚に陥るのです。
「ホラー=暗い場所」というイメージを完全になくし、美しい花や自然に囲まれ、昼夜問わず明るい中で起こる惨劇は、まるで天国にいるかのような気分にさせてくれます。
ダニーの心情の変化
ホルガ村の人々はとんでもない儀式をしていますが、自分たちの文化を受け入れてくれる人にはとことん優しく、本当の家族のように接してくれます。
家族を失ったダニーは、ホルガ村の儀式に恐怖を感じていたものの、本気で逃げようとはしていなかった気がするんですよね。
恐ろしいシーンを目の当たりにしたけれど、一緒に料理を作ろうと誘ってくれたり、分からない風習を丁寧に教えてくれたり、ダンスをしたり。もうずっと感じていなかった人の温もりや優しさに触れ笑顔も溢れます。
そんななか、ある日ダニーは信じられない出来事を目撃してしまいます。悲しみとショックで泣き崩れながら叫ぶダニーに寄り添ったのはほかでもないホルガ村の女性たちです。彼らは「家族は皆一つ」という考え。ダニーの悲しみを一緒に共有し、ともに泣き、共鳴しながら彼女を支えます。
以前から精神安定剤を飲むダニーは、クリスチャンの前で泣いて騒いでも、いい加減にしてくれと言わんばかりの呆れた顔をされるだけでした。そんなダニーにとって、家族のように接してくれる村の人々の優しさが彼女の心を救ったのもまた事実です。
伝統や思想の違いは悪か?
外部から騙して人を連れていくのはさすがにやめて! って思うけど(笑)、産まれてからずっとホルガ村で生きていたらきっと風習も儀式も当たり前で、それが悪という認識もないと思うんですよね。
日本では箸を使うけど手で食べる国もある。日本はお刺身を食べるけど、生魚を食べない国もある。
だって日本で産まれた時からそれが普通だから疑問に思ったことはない。伝統や思想を頭ごなしに否定はできないけど、理解し合えないことは絶対あるわけです。
『ミッドサマー』は決してただのホラームービーではなく、誰かにとっての不幸せは誰かにとっての救いでもあることを突きつけてくる映画です。そして何だか不思議な気持ちになるこの映画を、また夏になると観たくなるのです。
夏のお供に『ミッドサマー』いかがですか?
【ミッドサマー 予告動画】