著者プロフィール:ひっこし太郎
お金をかけずに隠れたスポットを発見することが特技の40代男性。趣味は、自分だけのテーマを決めて年数回のぶらり旅に出ること。100車種以上の車を運転した経験がある大の車好き。「安くて愉しめる鉄道旅行術」を広めることが夢。
ひとりだからこそ味わえる、熊野三山の旅
通勤ラッシュ、都会の喧騒、会議やメールなどに追われる日々。慌ただしい日常から解放され、誰にも邪魔されない静寂に浸りたい──。
そんな時は、旅に出るのがひとつの方法です。
旅を計画する際にもっとも悩むのは、行き先でしょう。ありきたりな旅や、一般的なツアー旅行とは対極にある旅をしたいもの……ひとりでしかできない新鮮な体験をするには、どうしたらよいか。
熟考した結果、私はインバウンドや団体旅行で混雑していない穴場として、和歌山県の南東部・奥大和に位置する熊野三山(くまのさんざん)を選びました。
熊野三山とは、熊野本宮大社(くまのほんぐうたいしゃ)」、「熊野速玉大社(くまのはやたまたいしゃ)」、「熊野那智大社(くまのなちたいしゃ)」の三社の総称です。
日本最大の半島である紀伊半島に位置し、2004年には熊野三山を構成資産として含む「紀伊山地の霊場と参詣道」として世界遺産に登録されました。神々が宿る山地とされ、神秘的な雰囲気が漂うパワースポットです。

2004年に「紀伊山地の霊場と参詣道」として世界遺産に登録。今回訪れた「熊野三山」はこの世界遺産の一部です
私はその中でも、熊野本宮大社に加え、さらに深い自然と静寂を求めて、熊野三山の奥の宮である玉置神社を訪れることにしました。この神社は、熊野三山の中でもとくに奥深い位置にあり、アクセスが少し難しい分、より神秘的な雰囲気を感じることができます。
移動そのものが愉しい! 奥大和
まず伝えておきたいのは、簡単に行ける場所ではないということです。
熊野・奥大和地域は、アクセスが不便なため、すぐには訪れることができません。しかし、その不便さや移動中の体験こそが、今回の旅の醍醐味です。
ひとり旅であれば、誰にも気兼ねなく、好きな場所に車を停めて、景色や川のせせらぎを楽しむことができます。山々や河川を縫い、崖の下を走りながら迫力ある自然を感じ、野生動物との出会いも楽しめます。今回の旅では、鹿と猿に遭遇しました。
標高1000mの神社を目指して、登り坂をひたすら運転し続ける「修行の感覚」と、山頂で感じる「達成感」も味わえます。人工物がほとんどない秘境で、SNSや電子機器に囲まれた環境から解放され、感覚が研ぎ澄まされる1日になるでしょう。
本旅のスケジュール
金曜の夜、仕事を終えて東京から新幹線で奈良に向かい、奈良市内に2泊する行程がもっともお勧めです。土曜日は陸路で紀伊半島を巡り、最終日は奈良市内を巡るコースが良いかもしれません。
今回紹介するスケジュールは、平安京、平城京が置かれていた京都・奈良を経由して、太古の人々が命がけで歩いた道に思いを馳せながら、自然を体感できるルートです。東京からの移動を終え、観光日とした土曜日のスケジュールをご紹介します。※移動にはレンタカーを利用しています。

観光日
AM7:00:奈良市内の宿を出発
AM7:15:平城宮跡歴史公園に到着。平城京に昇る朝日、運よく月と虹も鑑賞
AM7:30:平城宮跡歴史公園を出発
AM8:30:御所南PAに到着。近大フィナンシェを食べながらトイレ休憩
AM10:10:谷瀬の吊り橋に到着。吊り橋体験
AM10:40:谷瀬の吊り橋を出発。
PM12:00:熊野本宮大社に到着。昼食・参拝・ティータイム、周辺散策を楽しむ。
PM14:20:熊野本宮大社を出発。
PM15:20:玉置神社に到着。参拝・山々の景色を愉しむ。
PM16:10:玉置神社を出発。
PM20:00:和歌山県の飛び地「北山村」、「おくとろ公園」、道の駅・杉の湯 川上など経由して奈良市内の宿に到着。
旅の中で感じた感動の瞬間
旅の道中で訪れた場所は、どこも魅力的でした。ここではその一部をご紹介したいと思います。
スリルで自分を試す「谷瀬の吊り橋」
現地に着くと、誰もが驚きの声をあげます。写真や動画で見る光景とは、迫力が違います。

長さ297m、高さ54mの「谷瀬の吊り橋(たにぜのつりばし)」。眼下には十津川の絶景が広がっています。
木の板の上を歩くと、当然のように揺れます。「危険ですから一度に20人以上は渡れません。」という注意書きが、さまざまな想像を掻き立てます。この感覚は、テーマパークのアトラクションとはまったく異なるスリルです。
ひとり旅であれば、周囲を気にせず、自身のペースでチャレンジできます。カバン等で両手が塞がらず、歩きやすい服装で行くのがオススメ。写真を撮る際は、カメラを落とさないよう注意してください。
