※当連載は掲載Vol.239までdino.networkに連載されていました。Vol.240からは当メディア『singles』にてお楽しみください。
PATEK PHILIPPE
世界最高峰の時計ブランドと称されるPATEK PHILIPPE(パテックフィリップ)。その歴史は1839年、ポーランド出身のアントワーヌ・ノルベール・ド・パテックが創設した「Patek, Czapek & Cie」から始まった。1851年、技術者ジャン・アドリアン・フィリップとの出会いを機に「PATEK PHILIPPE & Cie」と改名。“世界最高の時計をつくる”という理念を掲げ、「カラトラバ」「ノーチラス」などの名作を生み出す。文字通り理念を体現し、時計界の頂点に君臨するブランドだ。
アールデコの魅力が詰まったコレクション
パテック・フィリップが展開するタイムピースの中で、ラウンド型以外の時計をラインナップするのが「ゴンドーロコレクション」だ。その形状に決まりはなく、レクタンギュラー、トノー、クッションなど、多様なデザインが特徴である。
今回ご紹介するのは、シンプルで端正なレクタンギュラーケースが際立つ1998年製造の『ゴンドーロ』だ。
レクタンギュラーの時計といえば、カルティエのタンクを思い浮かべる人も多いかもしれない。
しかし、パテック・フィリップの本モデルは、それとは一線を画す存在だ。単なる形状の類似に留まらず、独自の美学と高度な技術が融合したデザインとなっている。
まず注目すべきは、縦35mm×横27mmという小ぶりなケースサイズに対して、インデックスとスモールセコンドが大胆に配置されている点だ。
このデザインにより、非常に高い視認性を実現している。また、針の形状はケースに合わせた角形となっており、その表面にはインデックスと同様、繊細なヘアライン加工が施されている。このディテールが全体に統一感をもたらし、洗練された印象を与えている。
本モデルには、年代的な特徴もひとつ見られる。それが、6時側の下部に印字された「σ・SWISS・σ」のマークだ。
この記号は、クオーツショックによってスイス時計産業が大打撃を受けた時代に、機械式時計の価値をアピールするために導入されたもの。“文字盤に貴金属が使われている”ことを示しており、本モデルの場合、その貴金属はホワイトゴールドが該当する。
この特徴を持つダイヤルは、通称「シグマダイヤル」と呼ばれている。
ほかにもパテック・フィリップらしい意匠が細部に見られる。ベゼルは段落ち形状になっており、ラグは猫足のような優雅なラインを描いている。
リューズには同ブランドの象徴であるカラトラバ十字の刻印が施され、ゴンドーロコレクションの根幹でもあるアール・デコの精神が随所に息づいている。
本個体に装着されているのは、パテック・フィリップ純正の革ベルトだが、販売当時のセッティングではなく、以前の持ち主によって交換されたものだ。
ケースの雰囲気に非常に調和した薄めのグレーが使われており、とてもバランスが良い。上品で、大人の気品を感じさせる仕上がりとなっている。
ゴンドーロは本モデルの登場以降、ケース形状が年々ボリューム感を増しており、そのスタイルには好みが分かれるところ。シンプルなデザインを好むのであれば、この年代の1本がとくにオススメである。
PATEK PHILIPPE
ゴンドーロ
品番:5014G-001
素材:ホワイトゴールド
サイズ:縦35mm×横27mm
防水:日常生活防水
ムーブメント:手巻き
文字盤:ブラック
販売価格:1,980,000円(税込)※USED
【付属品】
外箱、内箱、取扱説明書、保証書(1998年12月)が付属
※価格は2024年12月現在のMOON PHASE銀座店・販売価格です。
MOON PHASE 〜STAFF VOICE〜
90年代の時計は、すでに保証が切れていたり、長年の年月が経過しているため、保証書が残っていないものが多いですが、こちらのモデルはしっかりと保証書が残っています。
角型時計といえばカルティエを思い浮かべる方が多いですが、カルティエの黒文字盤モデルは少なく、本モデルにはアラビア数字やスモセコなど、独自の魅力があります。
ホワイトゴールドを使用しているため、価格は少し高めですが、その分価値が伝わる仕上がりです。美しさだけでなく、遊び心と個性を感じさせる1本になっていると思います。ぜひ実機でその魅力を確かめてみてください。
所在地 | 東京都中央区銀座1-6-6 GINZA ARROWS1F |
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TEL | 03-5250-7272 |
営業時間 | 11:00〜19:00(日曜祝日〜18:00まで) |
定休日 | 水曜日 |
公式サイト | https://moon-phase.jp/ |