※当連載は掲載Vol.239までdino.networkに連載されていました。Vol.240からは当メディア『singles』にてお楽しみください。
ROLEX
世界でもっともポピュラーな腕時計ブランド・ROLEX(ロレックス)。高級時計の代名詞といっても過言ではないが、その歴史は1905年の創業から100年余りと意外と短い。その間の偉業は数知れないが、高い防水性を実現した「オイスターケース」、自動巻ローター「パーペチュアル」の技術は、新興ブランドであったROLEXを不動の地位に押し上げた。
経年劣化により新たな表情を得た稀有な1本
2色に色分けされた回転ベゼルと中央から伸びるGMT針によって、2つのタイムゾーンを同時表示。さらにベゼルの操作を加えれば、計3カ国の時刻が把握可能なタイムピースが、ロレックスの『GMTマスターⅡ』だ。
同モデルには、年代によって回転ベゼルのカラーが異なるモデルがある。今回セレクトしたのは1995年頃に製造されていた1本。赤と黒の組み合わせから、“コークベゼル”の通称で知られる『GMTマスターⅡ Re.16710』だ。
と、ここまでであれば、普通のちょっと古いGMTマスターⅡなのだが、本個体には他にはない独特の特徴がある。それが、文字盤に現れた蜘蛛の巣模様の“クラック”だ。
要は塗膜が経年劣化によってひび割れた状態なのだが、まるで蜘蛛の巣を張り巡らせたかのように見えることから、コレクターのなかでは「スパイダーダイヤル」として愛されている。
このクラック、ロレックスとしては意図したものではないため、メンテナンスに出してしまうとキレイになくなってしまうのでご注意を!
さて、他細部も見ていこう。
1995年頃の製造モデルということで、現行にはない懐かしい仕様が多数ある。まずはケースとブレスレットの接続部分にある「フラッシュフィット」が分離型となっていることだ。
このパーツは2000年頃に改修され、現在はブレスレットと一体型のフラッシュフィットが主流だ。細かい部分だがモデルの年代を色濃く表すパーツのひとつである。
他にも、今では使われていない夜光塗料トリチウムの使用を表した「SWISS-T<25」の記載や、ラグにあるバネ棒用の横穴など、随所にマイナーチェンジ前の仕様が見てとれる。
Ref.16710はロングセラーな機種で、製造年によって仕様が異なるのが特徴だ。本個体はマイナーチェンジ前かつ、スパイダーダイヤルとなった稀有な1本。探そうと思ってもなかなか見つからない個体である。
当記事を読んでこの時計が気に入ったなら、後悔しないよう早めにご決断を!
ROLEX
GMTマスターⅡ
コーク スパイダー
品番:16710
素材:ステンレススチール
サイズ:縦40mm×横40mm
防水:100M防水
ムーブメント:自動巻き
文字盤:ブラック
販売価格:1,880,000円(税込)※USED
【付属品】
なし
※価格は2024年7月現在のMOON PHASE銀座店・販売価格です。
MOON PHASE 〜STAFF VOICE〜
根強い人気を誇るロレックス・GMTマスターⅡ。なかでも今回のモデルは、経年によるクラックが魅力となった珍しい1本です。ひび割れの模様は個体によってさまざまで、部分的に入ることもあれば、大きなコマで入ることもあります。
本個体はかなり細かくクラックが入っており、まるで朝露に濡れた蜘蛛の巣のようです。スパイダーダイヤルは塗膜の劣化ではあるものの、クラックが入らない個体も当然あります。つまり突然変異のようなものですから、一生に出会える本数は限りなく少ないでしょう。
欲しいと思った方は、お早めにどうぞ!
所在地 | 東京都中央区銀座1-6-6 GINZA ARROWS1F |
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TEL | 03-5250-7272 |
営業時間 | 11:00〜19:00(日曜祝日〜18:00まで) |
定休日 | 水曜日 |
公式サイト | https://moon-phase.jp/ |