見終わったあとモヤモヤする映画が大好きな筆者が語る映画連載【シネマ・グレイ】。今回は、「憑依チャレンジ」という危険な遊びにハマる女子高生を描いた『TALK TO ME /トーク・トゥ・ミー』(2022)を紹介します!(文:紺野ミク)

《自己紹介》
『singles』をご覧の皆さんこんにちは!モデルをしながらライターとして記事を書いている「紺野ミク」です。こちらでは映画大好きな私がオススメする作品を紹介しています。好きなジャンルは考察系、クソ映画、鬱映画など見終わった後にモヤっとする映画が大好きです(笑)独断と偏見で楽しくツッコミながら紹介していくのでよろしくお願いします☆

新進気鋭の監督が放つ超快感ホラー『TALK TO ME /トーク・トゥ・ミー』

(C)2022 Talk To Me Holdings Pty Ltd, Adelaide Film Festival, Screen Australia

話題騒然!! 全米でA24ホラー史上最大のヒットとなった衝撃作『TALK TO ME /トーク・トゥ・ミー』(2022)

SNSで流行する「90秒憑依チャレンジ」にのめり込んだことから、思わぬ事態に陥っていく女子高生を描いたオーストラリア製ホラーです。

2023年サンダンス映画祭で注目の的となり、A24が北米配給権を獲得。全米はじめ全世界で大ヒットを記録しました! アリ・アスターやジョーダン・ピール、サム・ライミ、スティーヴン・スピルバーグら名だたる名匠も絶賛した話題作です。

本作は、オーストラリアの双子映画監督ダニー・フィリッポウマイケル・フィリッポウが監督を務めています。2人は、総再生数15億回、登録者数679万人を誇るYouTubeチャンネル「RACKARACKA」で世界的に知られる超人気YouTuberでもあります。

『TALK TO ME/トーク・トゥ・ミー』は、そんな彼らの長編映画デビュー作であり、新進気鋭の双子YouTuber監督が放つ、新世代ホラーとなっています。

若者の間で流行る「90秒憑依チャレンジ」

2年前の母の死と向き合えずにいる高校生ミアは、友人からSNSで話題の「90秒憑依チャレンジ」に誘われ、気晴らしに参加してみることにします。

(C)2022 Talk To Me Holdings Pty Ltd, Adelaide Film Festival, Screen Australia

それは、呪われているという“手”のかたちをした置物を握って「トーク・トゥ・ミー(私と話して)」と唱えると霊が憑依するという危険な遊びでした……。

友人たちが順番にチャレンジしていき、大盛り上がり。

(C)2022 Talk To Me Holdings Pty Ltd, Adelaide Film Festival, Screen Australia

しかし、このチャレンジには一つのルールがありました。それは……、

  

絶対に“手”は90秒以内に離さなければいけない!

というもの……。

危険だと分かっていても、霊が憑依するというスリルとその強烈な快感にのめり込みチャレンジを繰り返すミアたち。

ある日いつものように憑依チャレンジで遊んでいると、メンバーの1人ライリーに異変が!

(C)2022 Talk To Me Holdings Pty Ltd, Adelaide Film Festival, Screen Australia

何とライリーに憑依したのは亡くなったミアの母親だったのです!!

そしてライリーは、制限時間の90秒を超えてしまいます……。

机に頭を打ちつけ血まみれになるライリー。

憑依チャレンジの代償は、あまりに大きいものだったのです……。

“孤独”なミアが求める“人との繋がり”

『TALK TO ME /トーク・トゥ・ミー』は、孤独人との繋がりを強要されることについて描かれた作品です。

(C)2022 Talk To Me Holdings Pty Ltd, Adelaide Film Festival, Screen Australia

主人公のミアは、母親が亡くなってからずっと孤独を感じていますが、歩み寄ろうとする父親との会話を避け、友人に依存しています。そして、その友人に依存できなくなったら元カレに依存する。学校でもどこか浮いた存在で、本当の意味で寄り添える相手はいないように思えます。

依存先をころころ変えるにも関わらず、心の底から誰かと繋がろうとはしないミア

しかし孤独は嫌、話しかけてほしい、誰でもいい、そばにいてくれる相手がほしい……。
ミアは何かに対して非常に依存してしまう体質だからこそ、降霊という“何かを受け入れる”という遊びに夢中になってしまったのかもしれません。

キーアイテムとなる“呪われている手”

(C)2022 Talk To Me Holdings Pty Ltd, Adelaide Film Festival, Screen Australia

本作で印象的なモチーフとなるのが、降霊術で使われるという謎の“手”です。

独特の形をした“手”には、呪詛のような文字がびっしり!!

どう見てもヤバい物と分かります!(笑)

劇中の説明によると、これはある超能力者の腕を切り落とし、エンバーミング(衛生管理)した呪物であると言います。

握手を求める手にも見えますが、死者が地獄から伸ばす手のようにも見えます。そして、実際に物語でこの手は非常に重要な意味を持っています。

(C)2022 Talk To Me Holdings Pty Ltd, Adelaide Film Festival, Screen Australia

誰かの手を握ることは、人と繋がるための一つの手段でもあります。

人は孤独であればあるほど何かと繋がりたい一心で、たとえ間違いだと分かっていてもそれにすがりついてしまう。

しかし、間違った手を掴んだとき、人は一体どうなってしまうのか?

そんな人間の孤独と繋がりというところから、本作のモチーフが“手”になったのではないでしょうか?

監督が伝えたいメタファーとは?

(C)2022 Talk To Me Holdings Pty Ltd, Adelaide Film Festival, Screen Australia

監督はインタビューにて、「本作のアイデアは、近所の子供たちを観察していたら生まれました。ある日、子供たちはドラッグを服用し、床で痙攣し始めたんです。しかし、仲間たちは笑いながらビデオを撮っていました。僕はその様子をみて強い衝撃を受け、とても怖いなと感じました。」と答えています。

つまり監督は、

「憑依チャレンジ」「ドラッグのメタファー」として、若者に広がる危険な遊びを表現しているのです!

この映画は、霊を憑依させることでハイになる体験を楽しむ10代の少年少女たちの物語です。

(C)2022 Talk To Me Holdings Pty Ltd, Adelaide Film Festival, Screen Australia

まるでドラッグのように簡単な気持ちから手を出した遊びが、気付けば取り返しのつかない恐ろしい事態を引き起こす……。

そんな若者の悪ノリに焦点を当てていますが、より深い部分では、依存症や精神疾患を抱えている若者たちをテーマとしています。

抑圧した痛みから逃避しようとし、結局はその痛みを爆発させてしまう。そんな様子を浮き彫りにした、現代のリアルな描写にも注目してください。

『TALK TO ME /トーク・トゥ・ミー』、週末のお供にいかがですか?

【TALK TO ME /トーク・トゥ・ミー 予告動画】

画像: - YouTube youtu.be

- YouTube

youtu.be
画像: A24ホラー史上最高興収を記録! 禁断の“憑依体験ホラー”『TALK TO ME /トーク・トゥ・ミー』【シネマ・グレイ File.044】

紺野ミク|Miku Konno

モデル・女優などで活躍中の他、2017年からはライターとしても活動。連載を持ちコラム執筆をするなど多方面で活躍中。お酒・映画鑑賞が大好き。

InstagramXYoutubeにて活動をcheck。

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