こんにちは、恐竜おねえさんこと生田晴香です。今回は、共食いしていると思われていた肉食恐竜「コエロフィシス」を紹介します。恐竜博物館や恐竜展で結構な確率で展示されいる有名恐竜なので、なんとなくは知ってる方も多いと思います。コエロフィシスは本当に共食いしていたのか? ぜひ本記事を読んで真相を確かめてみてください。

連載コラム「生田晴香、恐竜と生きる」。福井恐竜博物館 公認恐竜博士、古生物学会友の会・恐竜倶楽部メンバーでもある自他共に認める恐竜ラバーのタレント生田晴香が、恐竜の素晴らしさを隅から隅まで語り尽くします。壮大な歴史とドラマ、未解明の不思議が交差する魅惑の恐竜ワールドへ、ようこそ! - singles編集部

「コエロフィシス」ってどんな恐竜?

ギガ恐竜展2017にて撮影

コエロフィシスとはどんな恐竜か。

「コエロフィシス・バウリ(Coelophysis bauri)」は、全長約3メートルの原始的な肉食恐竜で、約2億年前にアメリカで生息していました。(化石はチンレ層で発掘)

画像2: ギガ恐竜展2017にて撮影

ギガ恐竜展2017にて撮影

約2億年ということは、中生代三畳紀後期という恐竜時代の始めですので、最古の恐竜のひとつです。手の指は4本。

さらに昔、約2億3000万年前にいた5本指のエオドロマエオサウルスよりも、ほかの特徴があり進化も見られます。
(ちなみに恐竜が誕生したのは2億3000万年前)

白亜紀末のティラノサウルスは指2本(加えて実際は見えないだろうけど添えるようにちょこっとした指も+1本)だったり、ヴェロキラプトルは3本だったりして、最古の恐竜は指の本数が多く、時代とともにだんだん減っていったことがわかりますね。

恐竜時代をもっと知りたいという方はこちらの記事もチェック!

コエロフィシスの化石はいくつも発見されているのですが、最初に発見された標本に現在の鳥類を含めた獣脚類の特徴とされる“空洞になった骨”があったことから、空洞のある骨という意味の「コエロフィシス」という名が付けられました。

分類は、竜盤類、獣脚類、コエロフィシス上科。
体重は30キロいくかどうか。首が長く頭骨も体全体もほっそりしていますね。ダイエット中の痩せたい人間が見たら、コエロフィシスのあまりの細さを羨ましく思えてしまうのでは!?

首は比較的柔軟で、S字に曲げることができるそう。速く走ることができ、群れでいたのではないかと考えられています。

化石の発見

1970年代アメリカのニューメキシコ州北部にて、ディヴィッド・ボールドウィンによって断片的な化石が発見されました。当時のその場所は、ネイティブ・アメリカンの居留地争いが起こっていたところです。

ディヴィッドは、あの! コープとマーシュの「化石戦争」で有名な古生物学者、エドワード・ドリンカー・コープのチームのメンバーでした。

コープは、これらの標本はかなり原始的な獣脚類恐竜のものとして重要視していました。

それから時は経ち1947年。アメリカ自然史博物館によるニューメキシコ州北部への調査で、「ゴースト・ランチ」というところでエドウィン・H・コルバートとジョージ・ウィテカーが大量のコエロフィシスの化石を発見しました。

画像3: ギガ恐竜展2017にて撮影

ギガ恐竜展2017にて撮影

ゴースト・ランチ……ポケモンの「ゴース」とお昼ランチ?

いえいえ、ゴースト・ランチとは「幽霊の牧場」のことで、当時のゴースト・ランチは乗馬や野営で腕試しをしたい人の旅行の目的地のひとつです。

画家のジョージア・オキーフの別荘があり、オキーフは発掘現場にきては発掘現場や景色を描いたといいます。

おっと、大量のコエロフィシスはどうなってるのかというと、幼体から成体まで幅広く多くの個体がごろごろ発見されたのです。

1980年代にはカーネギー自然史博物館が中心となった調査も!

その数、数百体……。
こんなにもたくさん、一体何があったのでしょう。

画像1: オダイバ恐竜博覧会にて撮影

オダイバ恐竜博覧会にて撮影

ほかにも見つかったものからなどなど考えて、干ばつが原因でいっぺんに死んだのではないかと考えられます。

本当に共食いしていたのか?

コエロフィシスのお腹には食べたものが残っているものもいて、それは幼体のコエロフィシスの骨なのではないかと思われています。ということは、共食い恐竜なのではないかと考えられました。

群れで居ながらに共食い……右を見ても左を見ても自分を狙っている仲間のコエロフィシスがいるとしたら恐ろしすぎませんか! 友達にいきなり襲われるかも? もしかしてスカベンジャー(動物の死骸を食べる動物たち)により死んでから食べられたのかも? とにかく落ち着いて寝れやしません。

しかし!

じつはコエロフィシスのお腹の中にあった骨は幼体のコエロフィシスではなく、ワニ形類のものだとわかりました。学生さんが調べて気づいたそうです。

なんだか少し安心できましたね。ですが! 100%共食いしなかったのかと言われれば確実にそうだといいきれないのが恐竜。

画像4: ギガ恐竜展2017にて撮影

ギガ恐竜展2017にて撮影

肉食なので、もしかしたら共食いしたことがあるコエロフィシスもいたかもしれません。どうなんでしょうね、そういう化石があればいいのですが、考え出したら一生気になってしまいますね。

まとめ

いかがだったでしょうか。コエロフィシスがいた時代は酸素濃度が約10%しかないのに、持続的に運動できたすんごい子なんです!

と、この前美容の為に酸素カプセルに入ってきたときに「昔の恐竜は乾燥と低酸素でも元気だったんだよなぁ、逆に低酸素だったからこそっていうのもあるし、すごいなぁ見た目も美しすぎるし最高でしかないな……」と思ったので、低酸素の時代を生きたコエロフィシスを紹介してみました。

簡単にまとめると……、
原始的な獣脚類恐竜で指は4本、化石は大量に見つかっていて共食いしてたと思ったら食べてたのはワニ形類だということがわかった子。というところですかね。

さあさあ、これであなたもコエロフィシスマスター!

画像2: オダイバ恐竜博覧会にて撮影

オダイバ恐竜博覧会にて撮影

恐竜イベントでプロジェクトマッピング付きで展示してある場合があるので、よく見てみてくださいね。

パックをしながら酸素カプセルで寝てる生田晴香

では!

画像: 共食いをしていたって本当!? 最古の肉食恐竜「コエロフィシス」を解説

生田晴香 | Haruka Ikuta

恐竜タレント。TV、CMのほかモデルとして活躍中。福井恐竜博物館の公認恐竜博士で恐竜検定所持。恐竜トークショー、クイズ、鳴き声コンテスト審査員。古生物学会友の会&恐竜倶楽部メンバー。恐竜のうた「ダイナソーDANCE」監修。実は元あやまんJAPAN。

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