アートの街、天王洲。寺田倉庫全6施設でのアートを見に行こう!

アートの街、天王洲
ゆっくりと日差しも和らいできて、少しずつ秋らしさも感じられる日も増えてきました。まだ暑さが残りますが、お出かけしやすい時期になってきましたね。
今回ご紹介するのは、天王洲でおこなわれる6つのアート企画です。
天王洲という街は、ギャラリーやミュージアムなどのアートスペースをはじめ、画材ラボ、保税倉庫※といった、アートに関わる施設が集まっている街でもあります。
※海外から輸入されてきた貨物を、一時的に保管しておく倉庫のこと。
アートの展示や制作のみならず、保管や流通などを複合的に支える環境のある天王洲。
そんな天王洲に位置する寺田倉庫株式会社は、2025年9月に横浜で開催となる国際アートフェア「Tokyo Gendai」に、オフィシャルパートナーとして参画します。この「Tokyo Gendai」と寺田倉庫の連携企画として、「TENNOZ ART WEEK 2025」が東京・天王洲で開催されます!
日本における現代アートの「いま」を、寺田倉庫の施設6カ所すべてを使って見せてくれるこの機会、ぜひお見逃しなく!
インスタレーションや個展、ワークショップまで!
寺田倉庫全6施設でおこなわれる企画や展示、ワークショップは、それぞれにテーマや雰囲気の違うものばかりです。
1日で全部回ってみる? それとも数日に分けてじっくりと? 楽しみ方も人それぞれのこの企画、ぜひ楽しんでくださいね。会期が短い展示もあるため、気になる展示はお早めに!
日本初公開のインスタレーション! ナイル・ケティング「Blossoms – fulfilment」

パフォーマティブ・インスタレーション「Blossoms – fulfilment」
インスタレーションとは、空間全体を使った表現をおこなう現代アートのこと。鑑賞する人は、作品の中に入り込み、その一部となって作品を体験します。
インスタレーションにおいて大事な、この「作品を体験する」という経験は、ほかの作品では得がたい特別なものになるはず。
今回、ナイル・ケティングによっておこなわれるインスタレーションは、じつに日本で約10年ぶりとなる大規模な作品となっています。
ナイル・ケティングは、インスタレーションにパフォーマンスを組み合わせることで独自の表現をおこなうアーティスト。作品と鑑賞者との間に隔たりをもうけることなく、まさに「作品を体験する」という経験をもたらしてくれます。
今回の作品は、2024年リスボンで発表された「Blossoms」シリーズのひとつとして、天王洲の倉庫空間に合わせて制作された新作です。
今日における、鑑賞の意味や価値といったテーマから、「鑑賞すること」や「鑑賞する者」とは何か? を考えます。作品は会場内のみならず、都市空間への広がりを持つ構成となっていますよ。
【ナイル・ケティング「Blossoms – fulfilment」】
会場:寺田倉庫 G3-6F(東京都品川区東品川 2-6-10 寺田倉庫 G号)
日時:2025 年9月11日(木)~9月15日(月・祝) 11:00~19:00(パフォーマンス 12:00~19:00)
入場料:一般 1,500 円、学生(大学生・専門学生) 800 円、高校生以下 無料
チケット予約
※後述のWHAT MUSEUM で開催する「諏訪敦|きみはうつくしい」とのセットチケットも販売されます(一般 2,500 円)
充実のグループ展示! Tennoz Contemporary

数多くのアーティストやギャラリーが参加します
国内最大級であるギャラリーコンプレックス、「TERRADA ART COMPLEX」。ここでは、入居ギャラリーと国内外からのパートナーギャラリーによるグループ展示がおこなわれます。
ギャラリーコンプレックスとは、異なる展示空間やギャラリースペースが集まっている場所のことで、アートの複合施設とも呼ぶことができます。
この「TERRADA ART COMPLEX」も、アーティストのためのレンタルアトリエや、ギャラリースペース、アートファンが集うことができるカフェやバーを併設するなど、充実した施設となっています。
今回ここでおこなわれるグループ展では、国内のみならず、国外でも活躍する作家やギャラリーが一堂に会し、現代アートの「いま」を見ることができますよ。
東京ではあまり展示される機会のないギャラリーも数多く参加します。一部の入居ギャラリーでは展示をおこないませんが、それでも世界のアートシーンで活躍する作家やギャラリーの作品が一度に見られるのはとてもいい機会になるでしょう。
【Tennoz Contemporary】
会場1:TERRADA ART COMPLEX I(東京都品川区東品川 1-33-10)
会場2:TERRADA ART COMPLEX II(東京都品川区東品川 1-32-8)
日時:9月11日(木)~14日(日)12:00~19:00、9月15日(月・祝)12:00~17:00
入場料:無料
大規模個展は約3年ぶり! 諏訪敦|きみはうつくしい

約3年ぶりの大規模個展!
現代の日本絵画において、リアリズムの表現を牽引している諏訪敦。
写実主義のトップランナーでありながら、「写実性からの脱却」を目指している彼の作品は、精密に描かれていながらも、どこか現実のものとは思えない雰囲気があります。
徹底した取材に基づいた作品制作をおこなう諏訪敦は、近年では戦争によって命を落とした人々や、神話・文学の人物といった「見えない存在」を描くことにも力を入れています。
今回は、現代アートと建築のアートスペースである「WHAT MUSEUM」で、約3年ぶりの大規模な個展が開催。代表作から新作となる静物画や肖像画を含む、約80点を展示。そのうち30点は初公開の作品となっています。
諏訪敦の初期作品から現在にいたるまでの変遷を見ることができる今回の展示、ぜひ足を運んでみてくださいね。
【諏訪敦|きみはうつくしい】
会場:WHAT MUSEUM(東京都品川区東品川 2-6-10 寺田倉庫 G 号)
会期:2025年9月11日(木)~2026年3月1日(日)
開館時間:火曜~日曜 11:00~18:00(最終入館 17:00)
休館日:月曜(祝日の場合、翌火曜休館)、年末年始
入場料:一般 1,500 円、大学生/専門学校生 800 円、高校生以下 無料
公式サイト
繊細な表現を自分の手で! ワークショップ「絵絹に花をえがく」

江戸時代の繊細な技法に触れることができます
絵絹(えぎぬ)とは、絵を描くための絹の布地のことで、とくに日本画で使われてきました。シルク布よりも細い糸で織られており、光沢としなやかな質感を持っています。
今回のワークショップでは、この伝統的な画材である絵絹を使って、江戸時代の絵師たちもおこなっていた表現や技術を体験できます。
このワークショップを開催してくれるのは、画材ラボ「PIGMENT TOKYO」。透けるように薄い絵絹に花を描きます。絵絹の裏側から色を塗っていく裏彩色(うらざいしき)や、絵絹ならではの柔らかなグラデーションに挑戦できます。
日本の伝統色を用いながら、それらを重ねていき、江戸時代の絵師たちが用いてきた繊細な技術に触れることができますよ。
自分で描いた花は、きっと特別な思い出の品になるはず! ぜひ注目してくださいね。
【ワークショップ「絵絹に花をえがく」】
会場:PIGMENT TOKYO(東京都品川区東品川 2-5-5 TERRADA Harbor One ビル 1F)
日時:2025年9月13日(土)~15日(月) 各日 13:00~16:00
料金:13,200 円(税込)
予約ページ
※定員あり、予約制、先着順。日英同時通訳あり
「自分らしさ」とは何か? 企画展「Seesaws」

「自分らしさ」を問い直す企画展です
様々な価値観が、まるで「シーソー」のように揺れ動いている現代社会。そんな中、いろいろな作品に触れることで「自分らしさ」を考え直す機会を提供してくれる企画展が始まります。
この機会をくれるのは、アートギャラリーカフェ「WHAT CAFE」。
板橋令子をゲストキュレーター※に迎えて、世代を超えた約15名のアーティストの作品を展示します。
※キュレーターとは、作品の収集や展示、管理をおこなう人のことで、とくに作品や展示の意義を解説するという大きな役割があります。
中心となるのは女性アーティスト。自然と人との関わりについて、新たな視点をもって制作された作品を見ることができます。その作品からは、種から植物へ、植物からそれを食べる生き物へ、そしてその生き物を用いる人へといたる、自然の循環と人々の営みを感じることができるでしょう。
自然との関わりを見つめ直すことで、自分を支えている存在に気づき、現代の社会においてどのように生きていくのかを考え直す機会となります。
揺れ動く価値観の象徴としての「Seesaws」は、「She saw」、彼女は見た、という意味も暗示しながら、私たちに「自分らしさ」というものを問いかけてくれます。
会期中には、出展している作家による体験型イベントも予定されていますよ。
【企画展「Seesaws」】
会場:WHAT CAFE(東京都品川区東品川 2-1-11)
日時:2025年9月11日(木)~9月23日(火)11:00~18:00(最終日は17:00まで)
入場料:無料
伝統と現代アートの融合! 企画展「Blurred:交錯する境界」

伝統と現代が交錯する3人展
日本の伝統的な技法と、現代アートとの融合を見ることができる、3人展がおこなわれます。
会場は「BONDED GALLERY」。気鋭のアーティスト、久野彩子、奈良祐希、能條雅由の3名による作品が展示されます。
金属の工芸技術によって都市風景的なジオラマ風作品を手がけてきた、久野彩子。陶芸の伝統的な技法と建築における最先端テクノロジーを融合させている、奈良祐希。撮影した写真を分解し、銀箔とともに記憶の風景を再構築する、能條雅由。
金属と都市、陶芸と建築、写真と記憶。それぞれの異なる表現によって、私たちが無意識に感じている「境界」のイメージに新たな視点を与えます。
多くのものを数値化することができ、明確な定義が作られがちになる現代社会においては、3名のアーティストによる表現は「曖昧さ(Blurred)」の美しさが際だって感じられるはず。
鋳金や陶芸、箔などの伝統技法と、現代の技術が融合した作品たちは、はっきりとした境界線によって分かれたものの間にある「曖昧さ」や「ゆらぎ」の世界を見せてくれますよ。
【企画展「Blurred:交錯する境界」】
会場:BONDED GALLERY(東京都品川区東品川 1-32-8 TERRADA ART COMPLEX II 4F)
日時:2025年9月11日(木)~9月28日(日)12:00~19:00
入場料:無料
アートに浸る! この秋の思い出にぜひ!
今回は、寺田倉庫G3-6Fとその周辺施設、全6カ所でのアートイベントをご紹介しました。
どれも今日における現代アートを見るのにぴったりで、とくに「現代アートは初めてで……」という初心者さんにもおすすめの企画となっていますよ。
自分自身が作品の中に入り込むインスタレーションはもちろんのこと、アート体験ができる絵絹のワークショップや、個展、企画展、グループ展、三人展と、緊張しすぎずに足を運べる企画ばかりです。
これらのアートに触れることで、自分の新たな感性を発見することができるかもしれません。
アートシティ・天王洲でおこなわれる今回のアートイベント、この秋の思い出に、ぜひお出かけしてみてくださいね!