現代アート入門にも! さまざまなアーティストの作品が楽しめる企画展5つ
5月になりました。うららかな日差しを楽しめる季節ですね。
【2025年4月のアート展】では近代くらいまでの画家を中心に取り上げましたが、今回は、現代のアーティストの作品を楽しめる企画展をご紹介します。
「現代アートはなじみがなくて……」という方や、「さまざまな表現がされているアートは楽しめるか不安……」という方も、ぜひ足を運んでみてほしい企画展ばかりです。
複数のアーティストの作品を見ることができるものばかりですので、もしかしたら推しのアーティストを見つけることができるかもしれませんよ。
ぜひ、楽しんでくださいね。
「Reborn-いのちを織りなすアーティストたち-」展(WHAT MUSEUM)
倉庫空間を、建築やアートとの出会いの場として提供してくれている「WHAT MUSEAM」。今回は、日本文化の精神に流れている、「自然との共生」「いのちの行方」をテーマとした企画展が開催されています。
日本の四季や自然の移り変わりは日本人の生活と文化に深く関わっており、自然への畏敬の念と美しさへの感性は、日本独自の美的表現を育んできました。
大切に受け継がれてきた自然とのそうした関わりを創作活動や自身の表現に取り入れ、「いのちの行方」を視覚的に訴える6人のアーティストが紹介されています。
流木や膠など、自然から生み出される素材を用い、それらと向き合いながら生み出された作品たち。中には古紙ダンボールや廃棄された家具、使われなかった木材などを採用した作品もあります。
さまざまな素材によって表現された作品を見ることで、自然との付き合い方や向き合い方を見つめ直し、これからの営みをどのように続けていくのかを考え直すきっかけになる企画展です。
展示される作品は約67点。きっと特別な体験になるでしょう。
「Reborn-いのちを織りなすアーティストたち-」展
会場:WHAT MUSEUM(東京モノレール「天王洲アイル」駅 徒歩5分)
会期:2025年4月26日(土)~2025年7月6日(日)
開館30周年記念 MOTコレクション 9つのプロフィール 1935→2025(東京都現代美術館)
2025年に開館30周年を迎えた東京都現代美術館。開館当初は戦後日本の前衛芸術を始め、「現代の美術の流れをわかりやすく」をテーマに、グローバルな視点で展示をおこなっていました。
現在にいたるまでに収蔵品も増え、とくに2005年からの「MOTコレクション」展として開催されている展示では、さまざまな視点から所蔵作品を見ることができます。
節目の年に当たる今回の「MOTコレクション」展は、90年間の芸術を10年ごとに、9つに分けたそれぞれの部屋で楽しめるというもの。
戦前から戦中期の作品を起点として、90年におよぶ芸術のつながりを、2025年という現在から見つめ直すことができます。
東京都現代美術館の所蔵作品は現時点で約6000点にもおよび、その内容も多様化し続け今後も未来に引き継がれていきます。今回のこの展示は、過去から現在までの芸術について再考する機会となることでしょう。
開館30周年記念 MOTコレクション 9つのプロフィール 1935→2025
会場:東京都現代美術館(東京メトロ半蔵門線「清澄白河」駅 B2番出口 徒歩9分)
会期:2025年4月29日(火)〜2025年7月21日(月)
Sony Park展 2025(Ginza Sony Park)
アートと言えば絵画や彫刻を思い浮かべる方も多いと思いますが、そういうものにとっつきにくさを感じている方は、ゲームや音楽、映画などの作品から初めてみるのはいかがでしょうか?
近年、音楽×映像、文学×写真など、メディアをミックスした作品も多いですし、体験型アートスペースも増えています。今回の「Sony Park展 2025」は作品を鑑賞し、また体験するという、アート入門として最適の企画となっていますよ。
約3年間の工事を経て、2025年1月に帰ってきた「Ginza Sony Park」。待望のグランドオープンを迎え、最初のプログラムとなる「Sony Park展 2025」では、Part 1とPart 2の2期に分けて6つの分野を6組のアーティストともに展開しています。
4月20日からのPart 2では、「ゲームは、社交場だ。with BABYMONSTER」「エンタテインメントテクノロジーは、ストリートだ。with Creepy Nuts」「映画は、森だ。with 牛尾憲輔」の3分野でユニークなアート体験を楽しめます。
ミュージックゲームの体験や、鏡で囲われた空間での音楽体験、映画作品との新しい出会いなど、盛りだくさんの内容です。アートを体で感じたいと思ったら、ぜひ出かけてみてくださいね。
Sony Park展 2025
会場:Ginza Sony Park(JR「有楽町」駅 中央口 徒歩5分)
会期:2025年4月20日(日)~2025年6月22日(日)
※会期はPart 2のものです。Part 1はすでに終了しています。
トロンプルイユの現在(いま)2025(横浜本牧絵画館)
トロンプルイユとは、20世紀のシュルレアリスムでとくに用いられた絵画技法です。実物に見えるかのように描く技術のことで、「目をだます」という意味のフランス語が由来です。光や質感、陰影などを巧みに表現します。
こうしたトロンプルイユは現在、写実性を求めて描かれる従来の伝統を踏襲しつつ、人並み外れた技術力によってしか表現できない絵画を目指しています。
トロンプルイユにおける日本での先駆者のひとりである岩田榮吉。その絵画を中心として収集・展示している横浜本牧絵画館では、今回4回目となる「トロンプルイユの現在(いま)」展が開催されています。
隔年で開催されているこの企画展は、前回までの開催より取り上げる作家を新たに1名加え、7名の作品を楽しむことができます。
超絶技巧とも言えるトロンプルイユの絵画を余すところなく鑑賞できるこちらの企画展、ぜひ足を運んでみてくださいね。
トロンプルイユの現在(いま)2025
会場:横浜本牧絵画館(東急東横線・みなとみらい線「元町・中華街」駅 下車後、横浜市営バス2番乗場の8,168系統で「本牧元町」下車 徒歩1分)
会期:2025年4月12日(土)〜2025年7月21日(月)
この、原美術館ARCという時間芸術(原美術館 ARC)
四季折々の自然とともに、美しい建築と作品を同時に味わうことができる原美術館 ARC。この美術館そのものが、時の流れの中でさまざまなものを楽しむ芸術なのではないか。そうした発想から出発した企画展が、「この、原美術館ARCという時間芸術」展です。
会期は前期と後期に分かれており、会期序盤では特別企画のジャネット・カーディフ〈40声のモテット〉というサウンドインスタレーションを体験できます。
モテットとは中世の声楽曲の一種で、多くの声部で構成された曲を指します。こちらは実際に存在する40もの声部を持つ楽曲を採用し、スピーカーによって表現した作品です。
また後期では、李禹煥の三連画〈風と共に〉や、山本糾の〈落下する水〉シリーズなど、鑑賞するときにも時間の流れを意識できるような作品が並びます。
そして、ソフィ・カルによる〈限局性激痛〉も展示。カルが「人生最悪の日」と呼んだ自身の失恋経験を、セラピー的に制作した作品です。
多くの作品を時間の流れとともに楽しむことができるこの企画展、興味を持ったらぜひ足を運んでみてください。
この、原美術館ARCという時間芸術
会場:原美術館 ARC(JR上越線・吾妻線「渋川」駅 下車後、バスで「グリーン牧場前」下車 徒歩7分)
会期:第1期・2025年3月15日(土)~2025年5月11日(日)、第2期・2025年5月16日(金)~2025年7月6日(日)
新生活にアートを取り入れてみて!
今回は、現代アート初心者でも楽しめる企画展をピックアップしてご紹介しました。
これまで知らなかったアーティストの作品を発見していくことは、現代アートを楽しむ醍醐味のひとつです。今回ご紹介した企画展は、現代アート初心者でもとっつきやすいものが多いと思いますので、気になったらぜひ足を運んでみてください。
「この作品いいかも!」や、「この作品への姿勢は共感できる!」など、最初は簡単な感想からで構いません。
ぜひ、好きなアーティストや推しのアーティストを発見しに行ってみてくださいね。