そもそもアートってどんな種類があるの?
一口にアートといってもたくさんの種類があります。その豊富さゆえに、「なんだかいろいろありすぎてよく分からない」「どんなことを考えて見たらいいのかも分からない」と感じる方も多いのではないでしょうか。
今回は、美術館に行ったことがないけど行ってみたい! 芸術は敷居が高いけど触れてみたい! という方に向けて、ここだけ押さえておけば安心な鑑賞方法を簡単にご紹介したいと思います。
![画像: 【絵画の例】 アルフォンス・ミュシャ 連作装飾パネル「四季:春、夏、秋、冬」 1896年](https://d1uzk9o9cg136f.cloudfront.net/f/16781421/rc/2024/11/27/b04615e314a4f4b940530ca870b16256e30ba936_xlarge.jpg)
【絵画の例】
アルフォンス・ミュシャ 連作装飾パネル「四季:春、夏、秋、冬」 1896年
まず、アートは、紙やキャンバスといった平面に描く「絵画」と、彫刻や鋳造といった立体的な作品である「立体物」の2種類を押さえておけばOK!
これ以外にも、建築物や映画などの映像作品、ダンスなどのパフォーマンスもアートに含まれますが、基本的に美術館に足を運んで見ることができるのは、この2種類であることが多いです。
![画像: 【立体物の例】 名和晃平「PixCell - Mandarin Duck」2018年](https://d1uzk9o9cg136f.cloudfront.net/f/16781421/rc/2024/11/27/8f24472cded5da984aba7648ae6c0fe5a0bedaed_xlarge.jpg)
【立体物の例】
名和晃平「PixCell - Mandarin Duck」2018年
この2種類をもう少し掘り下げると、絵画は「平面(紙やキャンバス、壁など)に、顔料や塗料によって、物やイメージを描いたもの」、立体物は「素材を彫ったり、または素材を組み立てたりこねたりして、立体的に物やイメージを作ったもの」。
作者が目指すイメージへのアプローチ方法が違うので、平面だったり立体だったりと姿が異なるといった捉え方をしていただければと思います。
絵画と立体物、それぞれのおすすめ鑑賞方法
![画像: 絵画と立体物、それぞれのおすすめ鑑賞方法](https://d1uzk9o9cg136f.cloudfront.net/f/16781421/rc/2024/12/25/323a3792bfcb7347d866495e722247f1a9349afe.jpg)
それでは、実際に美術館に足を運んでみたときに、どのように絵画や立体物を見たらいいのでしょうか。
どちらもあまり難しく考えず、ぱっと見の印象を大切にしていただければと思うので、本当に簡単な見方を解説します。「え、こんな見方でいいの?」と拍子抜けされるかもしれませんが、まずはそれでよいのです。
アート鑑賞へのハードルが下がったあとに、興味があれば歴史的背景を絡めてみたり、当時の流行りのスタイルを鑑みてみたりと深掘りしていっていただければと思います。
絵画の見方
絵画は、まず「明暗・濃淡」を、それから「画材」に注目してみてください。
まずは見た目のイメージから、「明るい絵」、「暗い絵」、「はっきりした色使いの絵」、「ぼんやりとしか描かれていない絵」、など、簡単な感想を持つことから始めましょう。
そして、比較的ダイナミックな印象になりやすい「油彩」で描かれているのか、それともふんわりした印象になりやすい「水彩」なのかによっても見た目が変わってくるので、それを楽しむこともおすすめです。それぞれの描き方で印象が変わるので楽しいですよ。
さて、これからお見せする2枚の絵、皆さまはどう感じますか?
![画像: ヴィルヘルム・ハマスホイ「陽光の中で読書する女性、ストランゲーゼ30番地」 1899年](https://d1uzk9o9cg136f.cloudfront.net/f/16781421/rc/2024/11/27/901b1ac538db0b2ae429b6e66c6b278304542dcd_xlarge.jpg)
ヴィルヘルム・ハマスホイ「陽光の中で読書する女性、ストランゲーゼ30番地」 1899年
![画像: ヨハネス・フェルメール「真珠の耳飾りの少女」 1665年ごろ](https://d1uzk9o9cg136f.cloudfront.net/f/16781421/rc/2024/11/27/9ea268693d6bf06498ffe47a05a0fcefe3777c36.jpg)
ヨハネス・フェルメール「真珠の耳飾りの少女」 1665年ごろ
どちらも油彩で描かれた油絵ですが、光を感じられるかどうかでも印象が変わるのではないでしょうか。
もし余裕があれば、「この人は何を見つめているのだろう」、「この部屋はとても静かに感じる」、など、描かれているものの雰囲気を感じながら見てみましょう。
立体物の見方
立体物は、粘土や金属などさまざまな素材を用いて作られるので、「質感」と「なぜこの形なのか」に注目することがおすすめです。
「ざらざらしている」、「つるつるしている」といった質感から、「うねっている」、「直線的だ」といった形の作り方まで、大まかに見てみましょう。
また、立体物は360度さまざまな角度から見ることがおすすめ。後ろに回ってみたり、横に立ってみたり、いろいろな角度から見てみてください。
画像では角度を変えて見ることはできませんが、2つの立体物をお見せします。
![画像: 宮永愛子「くぼみに眠るそら- 寝虎-」 2022年](https://d1uzk9o9cg136f.cloudfront.net/f/16781421/rc/2024/11/27/5a230a750f5158c5e88a6b29b533012ca28ebca5_xlarge.jpg)
宮永愛子「くぼみに眠るそら- 寝虎-」 2022年
![画像: エミール・ガレ「騎馬人物文香水瓶」 1880年代](https://d1uzk9o9cg136f.cloudfront.net/f/16781421/rc/2024/11/27/e50458fb750ecb3e3bb5edd57a80e010ec12d318_xlarge.jpg)
エミール・ガレ「騎馬人物文香水瓶」 1880年代
「香水瓶もアートなの!?」と思われた方もいるのでは。香水瓶は実用的な器である一方、装飾品としても好まれたのでアートとして残っていることが多いのです。
「なんでもアートじゃん」と斜に構えず、余裕があれば“この装飾はこんな印象があるからこういう人が好んだのかな?”、“この立体物はどこに飾られるために作られたのかな?” といったところまで考えてみてください。
立体物も絵画と同じく、色の「暗い」「明るい」といった印象から、「この像のこのポーズは楽しそうだ」「このリンゴは食べられた後みたいだ」といったストーリーを感じることができるので、どんな見方が好きかというのを見つけていくのも面白いですよ。
実際に行ってみよう! 美術館の歩き方
いざアートを見に行こうと思っても、美術館に行ったことがあまりない場合は、中がどうなっているのか、他の人に合わせないといけないのかなどなど、いろいろと気になってしまいますよね。
実際に美術館に行ってみたとき、どのように見ていけばいいのかをご紹介します。
まず、チケットを買いましょう。当日券も販売されていますが、人数制限があって事前予約が必要という場合もあります。チケットはオンライン販売もされているので、行きたい美術館のサイトをチェックしてみてください。
美術館には、その美術館が所有するコレクションを中心に展示する「常設展」と、特定のテーマやアーティストに焦点を当てた期間限定の「企画展」があります。
それぞれで販売チケットが分かれている場合もありますが、大抵は企画展を見ることのできるチケットであれば、常設展も見ることが可能です。
さて、晴れて見たい展示室に入ったら、「順路」と書かれた看板や貼り紙が目に入ると思います。
これは、展示されている作品を見る順番を提案してくれているものなので、基本的には順路に沿って見ておけば安心です。ただし、従うのが絶対のルールというわけではありません。
遠目から見て、気になった作品から見ていったり、もちろん見ない作品があったりしても構いません。順路どおりだったとしても、さらっと見る作品、じっくり見る作品があっても大丈夫。自由に見て問題ないため、気軽に興味を引いた作品から見ていきましょう。
![画像: 実際に行ってみよう! 美術館の歩き方](https://d1uzk9o9cg136f.cloudfront.net/f/16781421/rc/2024/12/25/53d449748c93cbbaa4d8d13694b100a677b6f900.jpg)
また、作品の横に、「キャプション」という、作品について説明してくれているパネルがついていることがあります。多くは時代背景やどういった目的で作られたのかが書いてあり作品に対する理解が深まるので、余裕があれば読んでみてください。
もちろん絶対読まなければいけないというものではないので、先入観なく作品を見たいならキャプションは読まない、作品を見るのに参考になるものがほしいなら読んでみる、そのくらいの認識で構いません。
美術館は楽しむものです。自分が思いきり楽しめる方法を探してみましょう。
番外編その1:ミュージアムショップを楽しもう!
最後に番外編として、アート鑑賞以外にも美術館を楽しむ方法をご紹介します。
まずは、ミュージアムショップでのお買い物がおすすめ!
ミュージアムショップは、美術館の展示の縮図です。すべての作品が商品化されているわけではありませんが、展示されていた作品のポストカードやグッズ、画集などを買うことができるので、お気に入りの作品が見つかったなら自宅でも楽しめます。
ショップを見てから展示を見にいくといった順番でも大丈夫。企画展用にオリジナルのグッズが出ていることも多いので、ショップを見るだけでもかなり楽しめると思います。
ただ、企画展用にショップが分けられている場合、展示を見たあとでないと入れない位置にあることも。その場合は、この作品はグッズになっているかな? と考えながらアート鑑賞を楽しんでみてくださいね。
ミュージアムショップはこんな雰囲気です
ポーラ美術館のミュージアムショップ
一例に取り上げたポーラ美術館はこちら。
番外編その2:美術館併設のカフェやレストランを楽しもう!
また、ミュージアムショップだけではなく、美術館に併設のカフェやレストランでは、展示と連動したメニューを楽しめることも!
コース料理を楽しめるレストランから、軽食やスイーツを楽しめるカフェなど、美術館によって異なるため、併設されている場合はこちらを目当てに行ってみるのも楽しいです。
がっつり食事利用もおすすめですが、展示を見ていて途中で疲れてしまったときの休憩場所としてもおすすめ。展示室内にもイスやソファはありますが、せっかくならしっかり一息つきたいですよね。そんなときは、カフェに入ってみてくださいね。
予約が必要なこともあるので、事前チェックのうえご利用ください。
美術館併設のカフェやレストランはこんな雰囲気です
東京都美術館の中にあるカフェやレストラン
一例に取り上げた東京都美術館はこちら。
アートは思ったより難しくない!
![画像: アートは思ったより難しくない!](https://d1uzk9o9cg136f.cloudfront.net/f/16781421/rc/2024/12/25/0310faf9fc4093494d144a7860e63f4fb4bd545e.jpg)
アートの見方、美術館の楽しみ方を簡単にご紹介してきましたが、いかがでしたか。アート鑑賞は難しく考える必要はないので、ぜひ気軽に楽しんでいただきたいと思います。
もちろん深掘りしようとすると知識も必要なので、興味がより出てきたら、がっつり趣味として楽しんでみてください。
本記事でご紹介した内容は絶対の正解ではなく、アートの見方は自分で作り上げていってよいものです。気負わずに、自分らしくアートを鑑賞しましょう。
アートとの出会いが、自分との新たな出会いになりますように。
ぜひ、アートを楽しんでくださいね!