パネライ ロ・シェンツィアート ラジオミール トゥールビヨン GMT 「タフ×美麗。新たな境地へ」【今週の逸本 Vol.268】

ラジオミールとトゥールビヨンの融合

パネライの時計としては珍しいトゥールビヨンを搭載した『ロ・シェンツィアート ラジオミール トゥールビヨン GMT』。

“ロ・シェンツィアート”とはイタリア語で「科学者」を意味する言葉で、ガリレオ・ガリレイに敬意を表して開発されたコレクションである。

パネライのタイムピースは、ミリタリーウォッチをベースにタフさをデザインに反映してきた。これまでにもレガッタクロノグラフやスプリットセコンドといった機構（比較的実用的な）を搭載するものはあったが、『ロ・シェンツィアート』には複雑機構の象徴としての印象が強いトゥールビヨンを搭載。

これはパネライが持つ技術力の象徴でもあるのだろう。ブランドの新たな側面を強く感じさせるコレクションである。

しかも、このトゥールビヨン機構、まるでジャイロトゥールビヨンのように立体的に回転（縦方向のみ）するのだ。これもなかなか他時計では見ない仕様である。
※上図を参照。ちなみにジャイロトゥールビヨンは多軸回転する。

回転する分時計に厚みがでるのだが、ケースをセラミックにすることで全体的に軽量に仕上げてあり、装着感も良好だ。

文字盤はスケルトンになっており、網目上のフレームに各機構が組み込まれ、まるでスチームパンク的な雰囲気に。

3時位置にam/pm表示のインダイヤル、9時位置にはスモールセコンドを配置。6時位置の下部にはコレクション名である『LO SCIENZIATO（ロ・シェンツィアート）』が刻印されている。

裏面にも注目したい。

各種歯車が露わになった裏面は、これまたガジェット感あふれる仕上がり。4時位置にはパワーリザーブインジケーターがあり、6日分の駆動力が一目で分かるようになっている。

ロ・シェンツィアート コレクションのタイムピースは複数あるが、実はラジオミールをベースにしたものは本モデルのみ。他はすべてリューズガードのついたルミノールをベースに作っており、ワイヤーラグなどクラシカルでシンプルなデザインのものは他にない。

トゥールビヨンとミリタリー、トゥールビヨンとタフなど、これまであまり交わらない分野が溶け込み新たな魅力を引き出した1本。世界150本限定で、当時の定価は2000万円超え！

ともあれ、中古市場ではかなりお買い得（？）になっている。そもそもあまり出回らないモデルのため、この機会にぜひ一度腕に合わせてみてほしい。

MOON PHASE 〜STAFF VOICE〜

タフなデザインとトゥールビヨンという繊細な機構が見事に調和しており、その造形は時計好きの心を唸らせるような仕上がりになっています。

実は同じデザインでルミノールをベースにしたモデルもあります。ただラジオミールの方が流通量が少なく、なかなか中古市場には出回りません。お値段もそれなりにしますが、定価を考えるとかなりお買い得です。気になる方はぜひご来店ください。

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