こんにちは、恐竜おねぇさんこと生田晴香です。恐竜化石といえば、恐竜の本体だけではなく卵や足跡、皮膚痕、ペリット(鳥が吐き出す不消化物)やう◯こまでも化石となります。そのなかでも今回は、恐竜の卵に注目していきます!

連載コラム「生田晴香、恐竜と生きる」。福井恐竜博物館 公認恐竜博士、古生物学会友の会・恐竜倶楽部メンバーでもある自他共に認める恐竜ラバーのタレント生田晴香が、恐竜の素晴らしさを隅から隅まで語り尽くします。壮大な歴史とドラマ、未解明の不思議が交差する魅惑の恐竜ワールドへ、ようこそ! - singles編集部

卵でギネス

画像: ダイナソーズイマージュにて撮影

ダイナソーズイマージュにて撮影

恐竜化石はいろいろあり、頭骨や歯など恐竜そのものの化石(体化石)になりますが、皮膚痕のようにもとの恐竜の形態が堆積物に写し取られたものや、生活の痕跡が堆積物中に保存された足跡やう◯こも化石となります。

恐竜の卵は生痕化石となり、世界でたくさん発見されています。もちろん日本にも! しかも、日本で発見された卵化石はギネスに載ってるんです! その名も……、

ヒメウーリサス・ムラカミイ(Himeoolithus murakamii)!

兵庫県丹波市で2019年1〜3月にかけて行われた大規模発掘調査により、白亜紀前期(約1億1000万年前)の地層の篠山層群大山下層から発掘された卵化石です。

画像: 兵庫県立 人と自然の博物館にて撮影

兵庫県立 人と自然の博物館にて撮影

2020年に新卵属・新卵種として発表されました。(卵属、卵種、卵科と分類体系がある)

名前の意味は、ヒメは「小さい、かわいらしい」という日本語に由来し、ウーリサスはギリシャ語で「卵の石」という意味。ムラカミイは、丹波竜(タンバティタニス・アミキティアエ)の発見者である村上茂への献名です。

小型の獣脚類の非鳥類型恐竜の卵化石で、大きさは4.5×2cmという、ウズラの卵サイズ。推定卵重約10gという小ささ!

世界最小の恐竜卵化石ということで、ギネスに載ったのです。(拍手)

卵もいろいろ

画像: ニワトリの卵

ニワトリの卵

ウズラ、ニワトリ、ダチョウなど鳥類の卵が形や大きさ、色が違うように、恐竜も丸っこかったり細長の楕円形の卵だったりとバラバラです。

画像: おもちゃにもなる貯金箱

おもちゃにもなる貯金箱

卵は、私たちが普段ニワトリの卵に触れていることで想像しやすいからか、恐竜もそんな感じだろうと、ニワトリの卵かのような形の恐竜おもちゃが多くありますが注意です。

色は、2017年のオヴィラプトル類の卵の色素研究から、緑青にマダラ模様と言われています。それはデイノニクスも同じで、子育て恐竜で有名なマイアサウラや、首としっぽが長い竜脚類は白だと考えられています。

画像: オダイバ恐竜博覧会2024にて撮影マイアサウラ

オダイバ恐竜博覧会2024にて撮影マイアサウラ

硬い卵もあれば皮みたいに柔らかい卵もある……おもしろい世界です。柔らかい恐竜の卵がある情報は最近……でもないのですが、数年前に発表されました。化石は硬い方が残りやすいため、柔らかいと残りにくかったのでしょう。初期の卵は柔らかかったそうです。

卵からかえる期間ですが、それも恐竜によってバラバラです。プロトケラトプスは83日くらいで、ヒパクロサウルスは6ヶ月くらい時間をかけていました。

卵のなかにいる赤ちゃんの歯の構造を見ると、木の年輪みたいに日数が残っているんですね。それで何日かけていたかわかるんです。

卵の育て方

アルゼンチンで発見された竜脚類の卵で、群れで巣を作っていたものがあります。巣には、温泉がある場所で見つかる特有の岩石が見つかり、温泉地域に巣を作っていたということがわかりました。

温泉のなかに卵を産むと温泉卵になってしまうので、ちょうどよかった温度の砂のなかに卵を埋めていた……とどのつまり、地熱を利用していただろうと考えられています。

卵の入った巣のうえに覆い被さっている姿勢のシチパチの化石が、ゴビ砂漠で見つかりました。そして、卵を抱いて温めていたその親は、オスということがわかりました。骨骸骨というメスに見られる骨の特徴が見つからなかったため、オスだと考えられています。

コウテイペンギンは、ある期間オスが温めます。現在の鳥を400種調べると、卵や巣が大きくオスのほうが体が大きい種は、卵をオスが温めることがわかっています。

情報を集めるたびに、推測に推測を重ねてなんだか探偵みたいですね。

卵を埋めて温めていた恐竜は多いです。太陽熱や地熱を利用する以外に、土に含まれる植物の発酵熱を利用していたのも、例えばカムイサウルスの仲間。

卵殻化石を電子顕微鏡で観察。アルバータ州でよく見つかるマイアサウラとトロオドンの卵殻は、構造の違いがハッキリしていて同じ厚みがあります。マイアサウラの卵殻は穴だらけでスカスカで、トロオドンは穴が少ないし穴自体も小さいことがわかりました。

卵には、気孔という穴があります。卵殻に何千何万とあり、肺の呼吸を助けているのです。外界から酸素を取り入れて二酸化炭素を吐き出す連絡口となり、気孔がないと肺は窒息してしまいます。

画像: 卵の育て方

ゆで卵を作るとき、卵の表面に気泡ができることを確認できるので、この機会に試してみてください。なんと、ニワトリの卵には10,000個前後の気孔があります。

気孔は水分(水蒸気)の通り道になるため、水蒸気の通りやすさは巣のタイプによって違います。例えば、乾燥した巣なら過度の水分蒸発を防ぐため水分が通りにくいなど、ちょうどよくなるよう設計されています。そのカラクリを利用して巣のタイプ、抱卵の有無を推測できるのです。

テリジノサウルス類の卵殻はスカスカタイプなので、抱卵せず卵を巣材のなかに埋めていたと推測。抱卵タイプはオヴィラプトロサウルスあたりで進化したでしょう。

テリジノサウルス類は、集団運巣していたのに抱卵しなかったとか……。

恐竜卵の研究者といえば田中康平さんなので、もっと卵について知りたいなら本とかチェックしてみるといいですね。

画像: 珍宝館にて撮影

珍宝館にて撮影

では!

画像: 世界最小は日本で発見!「恐竜の卵=巨大」の常識を覆すウズラサイズの化石と、恐竜卵の不思議

生田晴香 | Haruka Ikuta

恐竜タレント。TV、CMのほかモデルとして活躍中。福井恐竜博物館の公認恐竜博士で恐竜検定所持。恐竜トークショー、クイズ、鳴き声コンテスト審査員。古生物学会友の会&恐竜倶楽部メンバー。恐竜のうた「ダイナソーDANCE」監修。実は元あやまんJAPAN。

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