連載コラム「生田晴香、恐竜と生きる」。福井恐竜博物館 公認恐竜博士、古生物学会友の会・恐竜倶楽部メンバーでもある自他共に認める恐竜ラバーのタレント生田晴香が、恐竜の素晴らしさを隅から隅まで語り尽くします。壮大な歴史とドラマ、未解明の不思議が交差する魅惑の恐竜ワールドへ、ようこそ! - singles編集部
これまでのジュラシックシリーズ

福井県立恐竜博物館にて撮影(期間限定)
今年8月8日(金)に公開されたシリーズ7作目となる『ジュラシック・ワールド/復活の大地』は、前作『ジュラシック・ワールド/新たなる支配者』(2022)から5年後が舞台となっております。
これまでのシリーズの簡単な感想としては……、

プライム1スタジオにて撮影
『ジュラシック・パーク』(1993)
これぞ名作。とても良くできている素晴らしい映画。
『ロストワールド/ジュラシック・パーク』(1997)
人間にイライラしすぎて疲れたが恐竜はかわいい。
『ジュラシック・パークⅢ』(2001)
恐竜がかわいいのでよし。
『ジュラシック・ワールド』(2015)
最高。シリーズ1番の面白さ。とにかく素晴らしい!
『ジュラシック・ワールド/炎の王国』(2018)
引き続き最高。萌え要素満載。
『ジュラシック・ワールド/ドミニオン』(2022)
イナゴ……? 同窓会的な完結感。
どれも恐竜が出てくるからこそ楽しさが倍増していました。
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youtu.be7作目の予告を見る限り、吹替は上手いとは言えず、ディストータス・レックス(D-レックス)というメインキャラはかわいいとは思えず。
「三大恐竜」と呼ばれているティタノサウルス、モササウルス、ケツァルコアトルスはなぜかティタノサウルスしか恐竜ではないし、どういうつもりだろうという軽い怒りと、恐竜はちゃんと出てくるのだろうか? と、文句しかない状態でして……果たして映画は楽しめるのでしょうか……!?
『ジュラシック・ワールド/復活の大地』のざっくり感想

あらすじ
人類を救う新薬開発のために陸、海、空の3大恐竜のDNAを採取する極秘任務を任された秘密工作の専門家ゾーラ・ベネット。ゾーラは探査チームと共に、いまだ危険な恐竜が数多く生息する禁断の島へと足を踏み入れる──。
結果的に言えば、映画としておもしろかったです!
恐竜はそんなに出てきませんでしたが(また今度、出てきた恐竜の特集やります)、映像は美しくワクワクドキドキ感がたっぷりとありました。海のシーンは約30%と多めです。
オマージュ要素も取り入れつつもこれまでと違うパターンを選択したというのがあり、それはそれでよかったです。
恐竜というよりバケモノパニック映画だったので、タイトルを「ジュラシック・ワールド 」にするのではなく「ジュラシック・モンスター」とか、なんか別モノがいいのではないかと思いました。
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x.com恐竜は、とくにティタノサウルスが美しすぎました! 圧倒的アート感! パンフレットなどの画像じゃ伝わらない素晴らしさがあり、ティタノサウルスを見るだけのために劇場へ何度も足を運びたくなります。
【ネタバレ注意】ここからはネタバレありレビュー
今回主人公ゾーラのチームだけではなく、海で助けた家族(+長女の彼氏)チームもメインで描かれます。
ゾーラチームはお金の為に陸・海・空ミッションをこなしていきます。ゾーラが元特殊部隊の工作員でダンカンらという傭兵らと行動するわけですが、絶壁でロープも怖がらずサクサク動けちゃうのは見ていてスッキリ! 強くて動ける人は見ていて気持ちがいいものです。
チームのヘンリーという古生物学者もいて、ロープは練習してきたとか、撃つのは自分だとか、頑張りが見えていたのもいいポイント。
ただ、吹替でモササウルスを恐竜だと言ってたのは、たとえ映画の世界では海棲爬虫類は恐竜に含まれる設定だとしても許せなかったですね。
昔、恐竜は恒温動物だと思われていたわけですが、変温動物だとわかり1作目『ジュラシック・パーク』で変温動物だという表現を入れたというのに(ヴェロキラプトルの息でガラスが曇ったシーン参照)、恐竜学的要素を台無しにしてます。
恐竜に詳しくないキャラが発言するならまだしも、博士キャラの発言なので本当にやめてもらいたいところです。(一応、モササウルスは恐竜ではありません)
そうそう、もしかしてゾーラはダンカンかヘンリー博士どっちかといきなりキスするのでは? なんて恋愛要素も期待しちゃいました。
歴代のシリーズはカップルになる展開があるので、逆に「主人公を男性から女性に」「お金より……」みたいにあえて変えるパターン、とどのつまりカップルにはしない可能性もありえます。

一方、家族チームは、父、長女、長女の彼氏、妹で船旅をしています。
長女の彼氏が寝坊助で交代になってもだるそうにしてまた寝る始末で、なんであんな男を……と父親は呆れます。彼女の親がいるときなのに良いところを見せようとせず、いつも通りの残念な行動をとるのが、なんでおまえ着いてきた? 感でいっぱいなのですが、海に飛び込み彼女を守るシーンで良いところをみせてくれます。
父親が娘の彼氏に誤解していたと、誤解されやすいだろうけどそのままでいていいんだ的なことを言って励ますのですが、ちょっと良いところ見せたところで日頃からめっちゃいいやつみたいになっていて、ちょろすぎます。
気になったのが、サバイバル中、妹が恐竜アクイロプスを手懐け仲間にしたのはかわいくてよかったのですが、サラッとしすぎてその後どうなったのか、出てくる意味はあるのか? と。ただの途中に急に出てきたマスコット担当だったのでインパクトに残るナニカ、欲しかったですね。
恐竜は過去作にも違う個体で出てきていたスピノサウルス、ティラノサウルス 、ディロフォサウルス、ヴェロキラプトル、コンプソグナトゥスが登場しいろんな姿が見られたのがよかったです。(もっと出してくれていいんですよ……?)
その辺はまた次回。
入場者特典のARアプリで撮影
ちなみに、吹替は主人公の声がこもっているのか聞き取りづらく字幕が欲しいレベルだったので、字幕がオススメです。
字幕で気になるところといえば翼竜を「肉食獣」と言っており、肉食獣は哺乳類に対して使う言葉なのでリアル古生物学者の監修をつけたほうがいいと思いました。
お好みでどうぞ。

生田晴香 | Haruka Ikuta
恐竜タレント。TV、CMのほかモデルとして活躍中。福井恐竜博物館の公認恐竜博士で恐竜検定所持。恐竜トークショー、クイズ、鳴き声コンテスト審査員。古生物学会友の会&恐竜倶楽部メンバー。恐竜のうた「ダイナソーDANCE」監修。実は元あやまんJAPAN。
YouTubeちゃんねる「恐竜わっしょい!」始めました。