こんにちは、恐竜おねえさんこと生田晴香です。2025年3月26日(水)、学術誌「iScience」にて新種の恐竜がオンライン公開されました。その名も「デュオニクス・ツクトバアタリ」。テリジノサウルス類で珍しい化石が見つかっているんです。今回は、デュオニクスがどんな子かご紹介します。

連載コラム「生田晴香、恐竜と生きる」。福井恐竜博物館 公認恐竜博士、古生物学会友の会・恐竜倶楽部メンバーでもある自他共に認める恐竜ラバーのタレント生田晴香が、恐竜の素晴らしさを隅から隅まで語り尽くします。壮大な歴史とドラマ、未解明の不思議が交差する魅惑の恐竜ワールドへ、ようこそ! - singles編集部

恐竜のいいところ

生田晴香が思う恐竜のいいところの一つは、1,000種類以上という幅広い体型がいるのに、そのすべてがとんでもなく美しいところです。

あれだけ種類いてすべてが完璧に美しいとか、すごいことですよ。なので、取材などで好きな恐竜を聞かれてもどれか選べなかったり、その日の気分でコロコロ変えて答えてみたりするわけですが……。

デュオニクスの発見により、今度から正式に好きな恐竜を聞かれたらなんと言うかついに決めました。それは……、

と、その前に!

日本時間2025年3月26日(水)に新属新種として新しい恐竜が発表されました。その名も、「デュオニクス・ツクトバアタリ」。まずはデュオニクスがどんな子か紹介します。

なんと……!!
ティラノサウルスと同じ二本指の恐竜で、じつは論文が出る前にこの目で実物を見ていたんです。

新種の恐竜デュオニクス

画像1: 恐竜博2019にて撮影

恐竜博2019にて撮影

学名「デュオニクス・ツクトバアタリ(Duonychus tsogtbaatari)」

分類は竜盤類、獣脚類、コエルロサウルス類、テリジノサウルス類。

学名の意味は、デュオが2つを意味していて、ニクスが爪で、二本指にちなんでいます。そう、二本指の恐竜なんです!

種小名は、モンゴルの古生物学者でモンゴル科学アカデミー生物学研究所の元所長のヒシグシャフ・ツクトバアタル博士から名前をとっています。博士に敬意を表しているのと最後の「i」は男性の名前が献名される場合「i」が付くので、ツクバアタリです。

モンゴルのゴビ砂漠に位置する白亜紀後期(約9,500万〜8,960万年前)のバヤンシレ層から2012年に発見されました。見つかっているのは背骨いくつか、肩から指先、腰の骨の一部です。

じつはすごい化石で、普通なら残らないケラチン質の爪まで残っているんです!「中型以上の獣脚類での角質の爪鞘保存」のとても貴重な例となります。(拍手)

生きていたときには、ケラチン質の部分がもっと長くて曲がっていたと考えられます。

恐竜博2019にて撮影

「恐竜博2019」で展示されていましたね。そのときはデイノケイルスやカムイサウルスがメインで、学名がついてなかったデュオニクスはサラッと流し見されがちだったんですが、爪がかっこいいことに加えて珍しいポイントがあり、やはり光るモノがあったわけです。(撮影しといてよかった)

画像3: 恐竜博2019にて撮影

恐竜博2019にて撮影

体長3メートル、推定体重260キロとされていて獣脚類のなかでは中型のサイズです。
発見された化石からこの個体は完全に成熟してなかった、完全な大人ではなかったとされています。

なぜ二本指なのか

画像: ティラノサウルス。北九州市立いのちのたび博物館にて撮影

ティラノサウルス。北九州市立いのちのたび博物館にて撮影

一番有名なティラノサウルスが二本指だからといって、恐竜の指は二本指が普通というわけではありません。

画像: テリジノサウルス。神流町恐竜センターにて撮影。

テリジノサウルス。神流町恐竜センターにて撮影。

テリジノサウルス類は、白亜紀にモンゴル、中国、北アメリカに生息していた植物食性または雑食性の獣脚類恐竜です。通常は三本指で、植物を掴むために発達した大きな鉤爪が特徴とされていました。

画像: - YouTube youtu.be

- YouTube

youtu.be

※映画『ジュラシック・ワールド/新たなる支配者』(2022)では、テリジノサウルス類であるテリジノサウルスが恐ろしい恐竜役で大活躍していたので、こんな感じの見た目をイメージしていただけたら!

なのに、なぜテリジノサウルス類であるデュオニクスは二本指なのでしょうか。

なんと、第3指が退化し二本指になったそうです。

今回のデュオニクスの発見は、獣脚類における前肢や手の形態縮小に関する新たな知見をもたらし、二指性の進化が獣脚類内で、複数のクレードにおいて収斂進化として独立に現れたことを示しました。

左手の第1指を覆う立体的な角質構造を持っており、強く湾曲した爪と極端な屈曲性により、わずか二本の機能的な指だけでも高い把握能力を有していた可能性があります。

だいたい90度の角度まで曲がるとのことで、この特異な形態はデュオニクスが植物を掴んで引き寄せるといった動作に優れていたことを示唆しています。武器としても使っていたかもしれません。

まとめ

テリジノサウルス類のデュオニクスは、骨を覆うケラチン質の爪鞘など状態のいい化石が見つかっていて、二本指だけどよく使えました。

今回の発見は恐竜の進化や行動に関する新たな洞察をもたらし、とくに二本指を持つ恐竜の進化メカニズムや指の減少と特定の機能への適応に関する理解を深める重要な手がかりとなりました。

デュオニクスを知ることによりテリジノサウルス類がより好きになったので、今度から生田晴香が好きな恐竜を聞かれたときには「テリジノサウルス類」と答えることにしました。全恐竜好きですが、小顔で手や爪が大きめなのが好みみたいです。

皆様もぜひ推し恐竜を見つけてみてください。

論文が気になる方はこちらから!
※フリーなので無料で読めます。

論文名:Didactyl therizinosaur with a preserved keratinous claw from the Late Cretaceous of Mongolia(モンゴルの後期白亜紀後期から発見された、角質の爪が保存された二指のテリジノサウルス類)

かなり話題になったので恐竜流行語大賞2025に入る可能性あります。ではまた次回!

画像: 五本指の生田晴香

五本指の生田晴香

画像: 激レア化石! テリジノサウルス類で二本指の恐竜「デュオニクス」の衝撃

生田晴香 | Haruka Ikuta

恐竜タレント。TV、CMのほかモデルとして活躍中。福井恐竜博物館の公認恐竜博士で恐竜検定所持。恐竜トークショー、クイズ、鳴き声コンテスト審査員。古生物学会友の会&恐竜倶楽部メンバー。恐竜のうた「ダイナソーDANCE」監修。実は元あやまんJAPAN。

YouTubeちゃんねる「恐竜わっしょい!」始めました。

Instagram

前回はこちら

This article is a sponsored article by
''.