《自己紹介》
『singles』をご覧の皆さんこんにちは!モデルをしながらライターとして記事を書いている「紺野ミク」です。こちらでは映画大好きな私がオススメする作品を紹介しています。好きなジャンルは考察系、クソ映画、鬱映画など見終わった後にモヤっとする映画が大好きです(笑)独断と偏見で楽しくツッコミながら紹介していくのでよろしくお願いします☆
戦慄の北欧イノセントホラー『ハッチング―孵化―』
2022年「サンダンス映画祭(ミッドナイト部門)」でプレミア上映されるやいなや、その美しくも不穏な世界観で世界を驚愕させ、フランスで開催されるジャンル映画に特化した国際映画祭「ジェラルメ国際ファンタスティカ映画祭」でもグランプリを受賞した『ハッチング―孵化―』(2021)。
少女が孵化させた卵が、絵に描いたような幸せな家族のおぞましい真の姿をさらしていく、北欧発の新たな傑作ホラーです。
メガホンをとるのは多くの短編作品を世界の映画祭に出品して高い評価を受け、今回が長編デビュー作となる新鋭女性監督ハンナ・ベルイホルム氏。北欧の明るさの中に潜む恐怖を見事に切り取ってみせています。
仮面をつけた両親と弟に、血のついた卵を抱える女の子のメインビジュアル。
これは何か良くないものが産まれますね!?(察し)
と、ワクワクが止まらないので早速紹介していきます(笑)
幸せな家族の仮面の下は……?
北欧フィンランドで、両親と弟の4人家族で暮らす12歳の少女ティンヤ。
幸せな家族の動画を世界へ発信することに夢中な母親を喜ばすため、すべてを我慢し自分を抑えるようになったティンヤは、体操の大会優勝を目指す日々を送っていました。
ある夜、ティンヤは森で奇妙な卵を見つけ、それを持ち帰ります。
家族には内緒で、大事に大事に自分のベッドで温め続けた卵は、瞬く間にどんどん大きくなっていきます。
いや!!!大きくなりすぎ!!(笑)
さすがにこんなデカくなるとは思ってなかったよ?
それでもティンヤはバレないよう温め、ついに! 卵が孵化するのです!!
ぎゃああああああ!
足デカすぎだよね!? 絶対普通ではない何かだよね!? 怖すぎる!!!
ついに生まれた「それ」は、やがて狂気に姿を変え、幸福に見える家族の仮面を剥ぎ取っていくのです……。
承認欲求モンスターの母親とティンヤの関係
卵から生まれた謎のモンスターがヤバいのはもちろんなんですが、じつはこの物語で一番ヤバいのはティンヤの母親なんですよ!
「幸せな家族の日常」として毎日家族の動画を配信している母。普通の家族の様子と言いながら映すのは、豪華な家や庭、そして優しい夫と子供との何不自由ない生活。
そう!!
ティンヤの母はこれでもかってくらいマウントを取りまくる、
承認欲求バリバリのモンスターママなんです!
さらには自分が昔叶えられなかったスポーツ選手としての夢を、体操を習うティンヤに託そうとしているため、毎日毎日厳しい指導と生活のすべてを管理しています。
そのせいでティンヤは楽しかった体操も苦になり、本当に自分自身を愛してもらえてるか分からない寂しさや、日々の不満を全部我慢するようになっていました。
SNSの在り方と与える影響
ティンヤの母親のように、SNSで承認欲求を満たす人は世界中にたくさんいます。
私もモデルという仕事をさせてもらっているのでSNSの大切さは痛いほど分かるんですが、プライベートの写真はほぼアップしません。
基本的に面倒くさがりなのでこの仕事をしてなかったらSNSをやっているかも怪しいのですが(笑)、事細かに日常をアップすることにあまり意味を感じられないんですよね。
楽しいことも嬉しいことも、自分が分かっていればそれでいい。だから他人の投稿にも興味がないんです。
“タワマンに住んで、高いレストランで食事して、ブランド物を買う”
私はこんなに素敵な毎日を送ってますよ! っていう投稿を目にすると、じつはとっても誰かに認めてもらいたくて、羨ましがられることで自分の存在を確認しているんじゃないかと思うんです。
ある意味で現代病だと思うんですが、それで満たされる何かがあるならいいと思うんです。本当の幸せでも見せかけの幸せでも、それがその人の“幸せ”なら。
でも、ティンヤの母親のように子供や周りを巻き込むのは絶対ダメ。自分以外を虚構の世界に巻き込むのは許されない行為です。
卵から生まれた“それ”は何なのか?
ティンヤは生まれた何かに「アッリ」と名付け、隠しながら育てていきます。アッリの全貌は本編を観てほしいので詳しくは書きませんが、アッリはただのモンスターではないのです。
グロテスクで恐ろしい見た目にも関わらず、ティンヤが愛情をかけ育てるのは、きっと「自分のように寂しい思いはさせたくない」「本当は自分もこんな風に母親に愛されたい」、というティンヤの切なる願いのように思えます……。
1,200人から選ばれた奇跡の主人公!
12歳の主人公ティンヤ役は、オーディションから選ばれたシーリ・ソラリンナが演じています。
オーディションにはフィンランド全土から1,200人もの応募があり、なんと彼女はシンクロナイズドスケート(※フィギュアスケートの一種)の選手なんです!!
作品を観ると分かるんですが、めちゃくちゃ美しくしなやかな体型と動きなんですよ! この役のために鍛えたのかな。なんて思ってたんですが、スケート選手と聞いて納得。細いのに筋肉があってまさにアスリート。
監督のハンナはシーリについて「とても難しい役どころを演じている。大人でさえも、映画でこれほど過酷な役を演じるのは見たことがないくらい。プロの俳優でもなかなかできないことよ。素晴らしいわ」と称賛しています。
『ハッチング―孵化―』は、ティンヤの美しさはもちろん、衣装や家の内装など、色合いがとても素敵なのでそこも楽しんで観てほしいですね。
もちろんホラーではあるんですが、ティンヤの無垢な姿とアッリへの愛情に切なくもなる。まさに新感覚ホラーとしていろいろな考察をしてほしい作品になっています。
『ハッチング―孵化―』、週末のお供にいかがですか?
2025年もモヤっとするグレイな映画をたくさん紹介していきますのでよろしくお願いします☆
【ハッチング―孵化― 予告動画】