《自己紹介》
『singles』をご覧の皆さんこんにちは!モデルをしながらライターとして記事を書いている「紺野ミク」です。こちらでは映画大好きな私がオススメする作品を紹介しています。好きなジャンルは考察系、クソ映画、鬱映画など見終わった後にモヤっとする映画が大好きです(笑)独断と偏見で楽しくツッコミながら紹介していくのでよろしくお願いします☆
極上サスペンスのフルコースをどうぞ! 『ザ・メニュー』
孤島にある超高級レストランを舞台に、そこに訪れたセレブたちに衝撃のコースメニューが展開されていく様子をブラック・ユーモア満載で描く極上サスペンス『ザ・メニュー』(2022)。
監督は、HBOのドラマシリーズ「メディア王 華麗なる一族」でゴールデングローブ賞3冠(作品賞、主演男優賞、女優賞、いずれもテレビドラマシリーズ部門)に輝き、ハリウッドで最注目されている、マーク・マイロッド氏。
製作は『マネー・ショート 華麗なる大逆転』(2015)『ドント・ルック・アップ』(2021)のアダム・マッケイが務め、風刺と笑いのスパイスに彩られた極上のサスペンスに仕上がっています!
そして主演には、ドラマシリーズ「クイーンズ・ギャンビット」や『ラストナイト・イン・ソーホー』(2021)で存在感抜群だったアニヤ・テイラー=ジョイと、『マッド・マックス 怒りのデスロード』(2015)『女王陛下のお気に入り』(2018)のニコラス・ホルトが出演。孤島の謎に包まれたシェフを、レイフ・ファインズが演じています。
メインビジュアルの、
「死ぬほど素敵な夜(ディナー)へようこそ。」
という謳い文句と、この威圧感からも分かるとおり、ただのサスペンスではありません(笑)。
だけど監督のブラックユーモアとセンスがバチバチに光る作品なのでぜひ観てほしいです♪
ではでは、あらすじとともにポイントを紹介していきます。
孤島に佇む予約の取れない超高級レストラン「ホーソン」
物語は、主人公のちょっと破天荒なマーゴと料理オタクのうるさいタイラーが、なかなか予約の取れないことで知られる孤島のレストラン「ホーソン」に向かう船を待っているところから始まります。「ホーソン」に行けるゲストはたったの12人。全員が同じ船で孤島に向かいます。
ゲストは、酷評で有名な料理評論家や昔の有名な映画スターなど、いずれもかなり癖つよなセレブたち。自意識過剰なセレブたちと孤島のコラボは絶対何かあるフラグですよね!?(笑)
島に着いても、まずは食材が獲れる海を見たり燻製小屋のツアーがあったり、食べる前から続くかなり細かい説明に、仕方なくタイラーに連れてこられたマーゴはうんざり。
そしてやっと食事タイム! と思ったら、これまた癖つよな「ホーソン」の有名シェフ スローヴィクが登場! そしてこう言うわけです。
「食べないでください。味わうのです。」
味覚、嗅覚、一口ごとに噛み締めて、ただ食べるのではなくよく味わうのだと……。
もちろんこれから地獄の一夜が始まるのですが(笑)、このシェフの言葉がこの先とんでもない伏線になっていくのです……。
ブラックユーモアたっぷりの演出と美しい料理
サスペンス映画ではあるものの、料理シーンでは本格的なコース料理が次々と紹介されます。それもそのはず。アメリカで女性で初めてミシュラン二ツ星を獲得し、2016年には、「世界のベストレストラン50」の「最優秀女性シェフ賞」に選ばれたドミニク・クレン氏がメニューのデザインとフードアドバイザーとして参加しているんです。
アミューズにはじまり、1品ごと紹介される料理は見てるだけで美しくワクワクし、自分もその場にいるような気分にさせてくれます。しかし出される料理はどれも皮肉たっぷり(笑)。
パンを食べたがるゲストに「パンは庶民の食べ物なので出さない」と断ったり、ソースに文句をつけるゲストにはあえてそのソースのおかわりをさせたり。(こんなレストラン嫌!笑)
メニューのひとつひとつに隠された想定外のサプライズに、徐々に店内に不穏な空気が漂っていきます。
なぜこの12人が招待されたのか? その裏に隠された秘密や、ミステアスなスローヴィクの正体が次第に明らかになっていくのです。
招かれざるゲストだったマーゴの存在
もともとタイラーに仕方なく連れてこられたマーゴは、本来の12人には入っていなかった、『招かれざる客』です。
高級な料理にもセレブたちにも興味がない彼女は「夢中になれない」とたいして料理を食べようともしません。しかし、シェフのスローヴィクはその様子に怒りを露わにします。
何がいけないのか? なぜ食べないのか?
スローヴィクの計画は、予期せぬマーゴの来店により思いもよらない方向にゆくのです。
与える側と奪う側
本作では、傲慢なセレブゲストたちとそれをもてなすシェフたちの関係に強く風刺を効かせた作品になっています。スローヴィクは、自分たちを「与える側」、ゲストたちを「奪う側」と表現します。
いつも傲慢でどんなものを与えても文句をつけ満足しない客たちは、まさに料理人たちの精神を支配し、料理を作る楽しさや喜びを奪う側の人間なのです。大金さえ払えば何をしてもいい。たいして料理の味も覚えていないような客たちのためになぜこんなに心をすり減らさなければいけないのか?
とくに「有名になるほど料理は高価になり、金持ちの口にしか入らないものになった。」ってスローヴィクの言葉がずしんと来ましたね……。イカれたシェフではあるものの、ちょっと悲しいシーンもあるのでいろいろ考えさせられます。
個人的におすすめなシーンは、料理オタクのタイラーのプライドがズッタズタになるところと、ラストのデザートシーンです!(笑)そう来るか! って怖いのになぜか笑ってしまうのでぜひご覧ください☆
サスペンスなのに観てるとお腹がすく映画!? な『ザ・メニュー』、週末のお供にいかがですか?
【ザ・メニュー 予告動画】