いつの時代でも、どんな世界でも自分らしく生きる人たちがいる。そんな人たちのストーリーから学ぶこと、そして気づくことを紹介する連載コラム【singlesな人たち】。いよいよ最終回を迎える話題のNHKの朝ドラ『虎に翼』。今回はその主人公・猪爪寅子のモデルとなった三淵嘉子さんを紹介しよう。

異例のヒット作となった朝ドラ『虎に翼』

4月の放送開始以来、NHKの朝ドラとして異例のヒット作となった『虎に翼』が、9月27日(金)で最終回を迎える。

日本で初の女性判事となった三淵嘉子さん(ドラマ『虎に翼』の主人公・寅子のモデル)を描いたこの作品は、SNS上でも話題になった。毎話の感想はもちろん、撮影時のちょっとしたエピソードや出演者たちのオフショットなど、番組にまつわる情報が日々飛び交っていた。

画像: 異例のヒット作となった朝ドラ『虎に翼』

早くも!? 「#虎翼ロス」の気配

主人公の『猪爪寅子』を演じる伊藤沙莉は、まさにお茶の間に愛される朝ドラヒロインで、最終話が近づくにつれ「#虎翼ロス」などのワードが現れ始め、ドラマの完結を惜しむ声が広がっている。

筆者自身もこのドラマに魅了され、モデルとなった三淵嘉子さんに関する本を読んだり、三淵さんの母校・明治大学で行われている展示イベント(〜2024年10月28日まで)に足を運んだりと、この半年間『虎に翼』を心ゆくまで存分に楽しんだ。

事実を基にした物語作り

三淵嘉子さんを知るほどに改めて感じることは、寅子と三淵さんのキャラクターがとても近いということだ。本人をモデルとしたドラマなので当然だが、フィクションとしての面白さを強調することなく、あくまで事実に沿った物語作りをしていたのではないかと思う。

寅子と三淵嘉子さん、“愛されるキャラクター”は二人の共通項。

ドラマの中で寅子が人前で陽気に歌うシーンをよく目にしたが、実際の三淵さんも歌うことがとても好きだったという。

「丸いにこやかな顔で歌う”リンゴの歌”はほんとうに紅いリンゴそのもののように愛らしく楽しく、皆が自然に手を叩いて唱和する」と、当時宴席に参加した三淵嘉子さんの様子が語られている。

三淵さん自身も周囲の人々に慕われ、愛されるキャラクターだったわけだ。

息子との麻雀対決で見せた母親の負けず嫌い

三淵さんの人柄がよく分かるエピソードをもうひとつ。
再婚相手である岡田将生演じる『星航一』の家で、子供たちと麻雀をする場面がドラマに度々登場したが、この麻雀好きも本当のこと。

ある日、息子が自宅に友人を連れてきた。その友人も交えて麻雀をした際、息子が一人勝ち抜けしてしまうと、三淵さんは『この親不孝者!』と烈火のごとく怒ったため友人が驚いてしまったそうだ。

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朝ドラ「虎に翼」公式 Instagramより

日本で初めての女性裁判官という印象が強く、私たち一般人とは遠くかけ離れた存在だと思っていたが、彼女の人間味あふれる一面を垣間見て、ちょっとした親しみさえ感じてしまう。

三淵嘉子さんが切り拓いた未来へ繋ぐ道

いま、物語は大きなテーマと向き合っている。原爆裁判、安保闘争、少年法改正議論。それらは令和の現在でもいまだ解決されていない。

社会で働く女性の草分けとして三淵嘉子さんは道を切り拓いてきた。私たちはその道を歩き、これから先の未来へと繋いでいかなくてはならない。

ままならないことにクサクサしてしまうこともある。そんなときは寅子のように、大きな声で叫んでもいいし、床に転がってジタバタしてもいい。元気が溜まってきたら、また歩き出せばいいのだから。

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三淵邸・甘柑荘 Instagramより

いよいよ9月27日(金)に最終回を迎える『虎に翼』。

毎朝耳にしていた米津玄師の『さよーならまたいつか!』が聞けなくなってしまうのもとても寂しいが、虎翼ファンとして最後まで見守り続けたいと思う。

参考:佐賀千惠美『三淵嘉子・中田正子・久米愛 日本初の女性法律家たち』(日本評論社)

前回のコラムはこちら

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