《自己紹介》
『singles』をご覧の皆さんこんにちは!モデルをしながらライターとして記事を書いている「紺野ミク」です。こちらでは映画大好きな私がオススメする作品を紹介しています。好きなジャンルは考察系、クソ映画、鬱映画など見終わった後にモヤっとする映画が大好きです(笑)独断と偏見で楽しくツッコミながら紹介していくのでよろしくお願いします☆
世界が騒然! ネイチャースリラー『LAMB ラム』
『ミレニアム』シリーズで知られるノオミ・ラパスが主演、製作総指揮を務めた話題作『LAMB ラム』(2021)。
アイスランドの田舎で暮らす羊飼いの夫婦が、羊から産まれた羊ではない何かを育てるスリラー映画で、『ローグ・ワン スター・ウォーズ・ストーリー』(2016)などの特殊効果を担当したバルディミール・ヨハンソンの長編監督デビュー作となっています。
第74回カンヌ国際映画祭、ある視点部門である「Prize of Originality」を受賞。上映されるやいなや観客を騒然とさせた衝撃作なので、まだ観ていない方のために紹介していきます♪
羊から産まれた“羊ではない何か”
アイスランドの山間に住む羊飼いの夫婦イングヴァルとマリア。山奥で静かに暮らす2人は、ある日飼っている羊の出産に立ち会い、赤ん坊を取り出します。するとそれが、
“羊ではない何か”
ということに気づきます。
2人はその子供を『アダ』と名付け育て始めるのですが、一見、普通の羊の赤ちゃんのように見えます。
後ろ姿も羊の赤ちゃん。耳もあって毛もふわふわ。全然羊じゃん! って思っていましたが、ちょっと成長したアダがこちら。
そ、そういうことかあああ!!
体は人間で、頭は羊だったのね!?
何だか羊の被り物をして遊んでいる子供のような姿です。
というか夫婦はアダが産まれたとき、不気味がったり騒いだりすることもなく育てることを決めたんですが、これにも理由が。
夫婦に溝ができたある出来事
この夫婦、冒頭からどうも仲が良いようには見えないんですよね。食事中も寝るときも、あまり会話はなく暗い雰囲気。
どうやら2人は子供を亡くした過去があるみたいです。
亡くなった娘の名前がアダ。詳しくは描かれていませんが、おそらく何らかの理由で大切な娘を亡くした2人は、そこから溝ができてしまったんだと思います。
だからこそ、例え羊と人間の異形の子だとしても、2人からしたら【神からの贈り物】に感じられ、娘と同じ「アダ」という名前をつけ育てる決意をしたのではないでしょうか?
自然界の摂理と人間のエゴ
アダを育て始めたことで、夫婦の関係は以前より良くなったように思えます。協力し合い、お互いを理解しようとするマリアとイングヴァル。だけど、アダを二度と失いたくないと思う2人は、少しずつおかしくなっているようにも見えます。
アダの産みの親である羊からしたら、産んですぐに子供を奪われたも同然です。そりゃあ自分の子を返せと言わんばかりにアダを探すのも無理はありません。そんな母羊に対し、マリアは、
あっちへ行け!! ついて来るな!!!
と激昂し追い払うのです。(さすがに母羊がかわいそう)
だって2人は子を失う辛さを一番分かっているはずなのに。それは人間だろうが動物だろうが関係ないですよね。
確かに半分人間のアダを羊が育てられるのか? 人間が育てた方が幸せなんじゃないだろうか?
だけど、そう思うのも人間のエゴにほかなりません。実際動物が人間を育てたなんて話も世界にはあるように、もしかしたらこの母羊もアダを育てられたかもしれない。
アダを【神からの贈り物】と信じ、自然の摂理を無視した2人。
だけど本当に【神の子】であったとしたら、それこそ勝手なことは許されないのです……。
キリスト教やギリシャ神話も関係している?
母マリアが我が子を抱きしめるメインビジュアルから聖母マリアが連想されたり、神の子=イエス・キリスト? とも考察できたりと、キリスト教を思わせるようなこの映画。ほかにも、半分人間で半分羊という設定に、ギリシャ神話に登場する神「パン」や精霊「サテュロス」も思い浮かびます。
となるとやはり、これは神に背いた2人への天罰? それとも警告? など、さまざまな見方が出来るのもまた楽しいところです☆
自然の美しさや動物など、じつは癒され要素が満載!
実際にアイスランドの広大な土地で撮影をしたという本作。のんびり歩くたくさんの羊や、どこまでも続く自然の映像がとても美しいです。
そして何よりもこの映画の見所は!!!!
アダがめちゃくちゃかわいい!!!
とにかく癒される!!
(この花冠アダちゃん、最高に可愛い……)
声は発さず、たまに鳴き声的な「きゅ〜」って音が聞こえる程度なんですが、アダちゃんのアニメでも作ってくれないかと思うほど可愛い♡ アダからしたらマリアとイングヴァルが両親だし、2人と過ごす姿はとても愛らしいです。
そして驚いたのは、
登場する羊たちがあまりにもリアルなんです!!
監督のインタビューによると、撮影では『本物の羊・パペット・人間・CG』を使い分けたとのこと。アダが歩いていなければ、本物の子羊がメイン。歩くシーンや、被ってる帽子などにはCGが入っているみたいです。正直見返しても、「これはどっち!?」と区別がつかないシーンもあるので、ぜひ注目してみてください。
ホラーだけどホラーじゃない
監督は「これは決してホラーではなくただの家族ドラマなので、ホラー映画だと思って映画館に来た人はガッカリしたはず」と仰っているのですが、いや、しっかりホラーです(笑)
だけどどっちかと言うと『ある夫婦の生活を覗き見していたら、説明のつかない現象が起きてしまった』みたいな感覚なんですよね。セリフも多くないし、最後まで淡々と進んでいくストーリーがじわじわと怖さを出してくる。そこに自然の美しさと動物が加わって、何とも不思議な気持ちにさせられます。
ラストも含め、数々の推察ができると思いますが、個人的には妙に納得した終わり方でした!
『LAMB ラム』、週末のお供にいかがですか?
【LAMB ラム 予告動画】