連載コラム「生田晴香、恐竜と生きる」。福井恐竜博物館 公認恐竜博士、古生物学会友の会・恐竜倶楽部メンバーでもある自他共に認める恐竜ラバーのタレント生田晴香が、恐竜の素晴らしさを隅から隅まで語り尽くします。壮大な歴史とドラマ、未解明の不思議が交差する魅惑の恐竜ワールドへ、ようこそ! - singles編集部
コプロライトは相当なウンが必要な化石
まず、コプロライト(Coprolite)とは、う◯この化石のことです。恐竜は怪獣ではなく私たちと同じ動物なのでご飯も食べればう◯こもします。
(ちなみに、排泄される前の胃や腸の中の内容物はコロライトといいます。)
う◯このことをかっこよく「糞」と書けばいいものを、わざわざう◯こと書いているのは理由があります。「う◯こ」という発音や、ワクワクさせられるような文字の並びに、私が書けば書くだけ楽しくなるのです。なので、このままう◯こ呼びします。
編集部注:本人は上記の表現を希望していますが、メディア側の都合で一部伏字処理をしてお送りします。
遠回しに言いましたがこれはただの「う◯こ」って言いたい病です。子どもの頃は誰もがこの病にかかるのではないでしょうか? え、違いますか。ウ◯チ派ですか? そうですか。(?)
化石になるのは恐竜の骨だけではありません。
足跡や巣穴、う◯こなど、生物の活動の痕跡が地層中に残されたものも化石になります。これを「生痕化石」といいます。
ちなみに、恐竜の鱗の跡などもとの生物の形が堆積物に残ったものを「印象(化石)」といい、生物の遺骸そのものの化石は「体化石」といいます。
恐竜の骨は、ティラノサウルスの場合は頭などしっかりしているところほど化石は残りやすく、副肋骨など細かい骨は残りにくいのです。
副肋骨など細々とした骨よりももっともっと柔らかいものがあるとしたら、それはさらに化石になりにくいですよね。そう、それがう◯こ!
恐竜など生き物が自然に化石になるのは大変で、う◯こが化石になるのも相当な難しさがあります。
恐竜から出来立てほやほやを出されても、雨や風でバラバラになったり、糞虫などほかの動物に食べられたり、ほかの動物に踏まれたり、微生物に分解されたりと、そんな外的要因から無事で居続けなければいけません。
分解されきれないうちに堆積されなければいけないというのも大変! 相当な運がなければいけません。陸よりも水中が化石になりやすいのでうまいこと水中へ行き、何者にも邪魔されず長いこと埋まり続け、化石にならなければなりません。
もし奇跡的に化石になれたとしても、地層にうまいことコプロライトの一部分が露出したとします。そこで風化したら、なくなってしまったりもろくなったりしてしまいます。また、雨風によってバラバラにされる危険も……。
発見できたとしても、それを速やかに人が化石だと気付き、保護する必要があるんですね。
人が気付けるか問題ですが、化石が一部分しか露出してない状態、とどのつまりクリーニングされてない状態での発見なので、形すらも掘り進めてみないと何だかわからず、これは何かの化石だろう、と気付かれるかどうかも運です。気付かれて保護されても、クリーニングを何年も後回しにされることも。
コプロライトは、圧倒的な奇跡が起こり幸運が重なってできる素晴らしい化石なのです。
恐竜博物館や恐竜イベントで、たまに「恐竜パワーで運をゲットしよう!」コーナーがあります。
美しい恐竜からでるう◯こ……儚くもかわいさを感じられるので見ているだけで運がよくなりそうなのに、触るとさらに恐糞(強運)になれそうですね。(科学的根拠はありませんがw)
これは誰のコプロライト?
そこにコプロライトがあるとします。現代でいうとトイレから流さず出てきたとかなら誰のかがわかりますが、そのシーンを見ていないうえにそれが遥か昔となると当てるのは相当難しいです。
どうやって犯人を探すのか。まず年代や場所、ほかには何が必要か。考えるだけで探偵になったみたいでわくわくしますね!
同じ地層の恐竜だったり、コプロライトの大きさやその中身が何が入っていたりするのかなどがヒントになります。植物食恐竜もあれば肉食恐竜、ティラノサウルスだと思われているコプロライトがあります。
恐竜にそのままくっついた状態だったり、出す直前でお腹に残ったまま化石になっているとかならいいんですけど、そんな奇跡のような状態の恐竜とか……じつは、いるんです!
さらに詳しく! 恐竜コプロライト本を2冊ご紹介
もっとコプロライトを知りたい人に! 2024年に発売されたおすすめの恐竜う◯こ本を2つ紹介しましょう。
『最強の恐竜』(新潮新書)著者:田中康平
恐竜の卵化石といえばこの先生! 卵化石の事やティラノサウルスなどいろんなタイプの強い恐竜の事が書かれているかと思えば、う◯こネタが結構詰まっていたので、これはもうう◯こ本です。(もちろんいい意味で)
『地球と生命の歴史がわかる!うんこ化石』(飛鳥新社)著者:泉賢太郎
う◯こ化石のプロの先生の本で、う◯こしか詰まっていません。子どもにも読みやすく、イラストも多いので、いろんな生物のコプロライトを気軽に知られて楽しめます。
まとめ
恐竜化石もすべてそうですが、恐竜のう◯こは化石になるのに相当な運などが必要となります。恐竜イベントでコプロライトを見つけたら拝みましょう。
コプロライトは元々はう◯こですが化石となっているので、いっぱい触ったとしても臭くも汚くもありません。ご安心を!
コプロライトを知って恐竜をもっともっと知っていきましょう! では。
生田晴香 | Haruka Ikuta
恐竜タレント。TV、CMのほかモデルとして活躍中。福井恐竜博物館の公認恐竜博士で恐竜検定所持。恐竜トークショー、クイズ、鳴き声コンテスト審査員。古生物学会友の会&恐竜倶楽部メンバー。恐竜のうた「ダイナソーDANCE」監修。実は元あやまんJAPAN。
YouTubeちゃんねる「恐竜わっしょい!」始めました。