連載コラム「生田晴香、恐竜と生きる」。福井恐竜博物館 公認恐竜博士、古生物学会友の会・恐竜倶楽部メンバーでもある自他共に認める恐竜ラバーのタレント生田晴香が、恐竜の素晴らしさを隅から隅まで語り尽くします。壮大な歴史とドラマ、未解明の不思議が交差する魅惑の恐竜ワールドへ、ようこそ! - singles編集部
大きい恐竜グループといえば
恐竜といえばそもそもが巨大なイメージですが、巨大なのもいれば小型の恐竜もいます。
巨大肉食恐竜だと、ティラノサウルスは全長約12〜13m、スピノサウルスは全長約16mと大きいです。
それを超えるサイズの恐竜グループは、首としっぽが長いのが特徴の竜脚類。
ブラキオサウルス(約25m)やディプロドクス(25〜35m)、日本だとフクイサウルス(4.7m)やタンバティタニス(12〜15m)がいる四足歩行の植物食恐竜のグループです。
たまに竜脚類のことを「首長竜」と呼ぶ人がいますが、首長竜とは恐竜ではない別の古生物(海棲爬虫類)のことをいうので間違えないようにしましょう。
リアル首長竜は"首長"とあるだけに確かに首が長く大きいですが、竜脚類を「クビナガ」と呼ぶ人がいるくらい、竜脚類も長いのです。
なんと、首が短いグループもいるのが首長竜だったりして、わけがわからない要素がありますが、首が長い恐竜は竜脚類、首が長い海棲爬虫類は首長竜。陸と海の生き物は違うと知っておくといいですね。
幻の恐竜のその後
一番大きいといえば、有名な恐竜がいました。その名も「アンフィコエリアス・フラギリムス」。
ジュラ紀後期、アメリカに生息していた竜脚類で、なんとその大きさ全長約58m!
……とされているわけですが、発見された化石は消え残されたのはスケッチのみとなり、本当にそのサイズの恐竜はいたのか謎にされ、幻の恐竜とされていました。
アンフィコエリアスについての過去記事はこちら
(ロレンスでも記事を書いてました)
ずっと幻とされていたアンフィコエリアスは一体どうなったのか? 最近続きの話がでてきました。
なんと!「マラアプニサウルス・フラギリムス(Maraapunisaurus fragillimus)」として再命名されたのです!
大きさは約半分ちょいに、全長約30〜32mと推定されましたがそれでも大きいですよね。
さすがに約58m恐竜は体重はどうなるんだろうとか現実的ではありませんでしたが、いつか別の新恐竜で60m級〜の化石が発見されるかもしれません。楽しみに長生きしておきましょう。
大きいと何がいいのか
竜脚形類は三畳紀後期に誕生し、二足歩行だったのがジュラ紀には繁栄し竜脚類となり四足歩行になり、全長30m以上のものが次々に現れました。(小型化したグループもいる)
そもそも動物というのは大きくていい事はあるのでしょうか?
大きいので目立ち、遠くからでも肉食恐竜に狙われて生きていくのに大変そうですよね。
ですが、大きいのがいいんです!
大きいと小さい動物から容易に身を守ることができるので、じつは防御力が高かったりするんです。
ディプロドクスなんか、大きいうえにしっぽがムチみたいに音速を超える速さでヒュッとしなるので危険だと思われていて……想像しただけで人間なら吹っ飛ばされそうで恐ろしいですね。そう、大きさは武器になるんです。
ほかの動物でもそうですが、捕食者は獲物を狙うためにエネルギーをたくさん使い消費するので竜脚類みたいに大きくなれないこともあります。
大きいやつはやばいとわかるのか、そもそも自分より大きいやつを積極的に襲おうとするは生き物は少ないでしょう。
(生田晴香もお相撲さんみたいに大きい女性に喧嘩売ったりしません。)
それに、ご飯的にもいいことがあります。大きければ高い位置にある植物が食べられるので、食事の幅が広がるんです。
もし水やごはんがなくても、ほかの小さな動物と比べて長く生きられるんです。寒い時期は小さい動物と比べて体が冷えにくいので、より長く生き残れたり、環境への高い適応性があったりします。
体がより大きければ長く生き残れる可能性が高くなるので、多くの子孫を生み出せるのも強いですね。
逆に、大量に食べる必要があったり、子どもはどうしても小さいので大人になるのに時間がかかり成長するまで危険だったりと、常にいいことばかりではないようです。
マメンチサウルスのおもしろい話
そういえば、竜脚類でマメンチサウルスという全長約22m、中国ジュラ紀後期に生息していた恐竜のおもしろい話があります。
マメンチサウルスは湖に生息していたわけですが、そんな大きいマメンチサウルスがぬかるんだところを歩くと深さ1〜2mの穴が空きます。巨大な足跡です。マメンチサウルスは知らず知らずのうちに落とし穴を作っていたわけです。
そこへついうっかり穴へ落ちてしまい抜け出せなくなった恐竜が……! 次々と小型の恐竜が落ちていきます。
それがそのまま化石になっている足跡化石があるんです。それは「死のあな」と名付けられたわけですが、やばすぎますよね。本人は知らずに殺していたわけですよ。恐ろしい世界です。
ちなみに何の恐竜が落ちていたのかはちゃんと研究されているのでご安心を!
そもそもなぜ竜脚類は巨大化できたのか? などはまた!
では。
生田晴香 | Haruka Ikuta
恐竜タレント。TV、CMのほかモデルとして活躍中。福井恐竜博物館の公認恐竜博士で恐竜検定所持。恐竜トークショー、クイズ、鳴き声コンテスト審査員。古生物学会友の会&恐竜倶楽部メンバー。恐竜のうた「ダイナソーDANCE」監修。実は元あやまんJAPAN。
YouTubeちゃんねる「恐竜わっしょい!」始めました。