《自己紹介》
『singles』をご覧の皆さんこんにちは!モデルをしながらライターとして記事を書いている「紺野ミク」です。こちらでは映画大好きな私がオススメする作品を紹介しています。好きなジャンルは考察系、クソ映画、鬱映画など見終わった後にモヤっとする映画が大好きです(笑)独断と偏見で楽しくツッコミながら紹介していくのでよろしくお願いします☆
タイトルとのギャップがありすぎ!? スペイン製鬱映画『マジカル・ガール』
監督と脚本を務めるのは、本作『マジカル・ガール』(2014)が劇場デビューとなる、スペインの新星 カルロス・ベルムト。
2014年に、サン・セバスチャン国際映画祭のコンペティション部門に出品され、公式上映されるやそのブラックユーモアに満ちた独創的なストーリー、まったく先読みできない巧みな構成、スタイリッシュな映像、そして想像を絶するラストに、観客はうなり、批評家たちは舌を巻いた衝撃の作品です。
まずこのメインビジュアル。ピンクのポップなデザインとハートのステッキ、そして額から血を流す女性でタイトルが『マジカル・ガール』。絶対B級コメディじゃん! と意気揚々と見始めましたが
皆さん! 絶対軽い気持ちで観てはダメです!!
ギャップありすぎだろ! と思わずツッコんでしまう、タイトルからは想像もつかないほどのとんでもない鬱映画でした!(笑)
余計な情報は入れずに観てほしいけど軽い気持ちで観てはダメ。とても複雑な心境ではありますが、あらすじとともに紹介していきます☆
『マジカル・ガール』は父と娘の心温まるストーリー?
日本のアニメ「魔法少女ユキコ」の大ファンである12歳の少女アリシア。白血病で余命わずかな彼女の願いは、ユキコのコスチュームを着て踊ること。 娘の最後の願いを叶えるため、父ルイスは失業中にもかかわらず、高額なコスチュームを手に入れることを決意するんですが、このコスチュームは有名デザイナーの一点もの。そのお値段、
なんと90万円!!(7千ユーロ)
アリシアよ!! 失業中で貯金もない父にその願いは酷やぞ!?
しかしどうしても願いを叶えてやりたいルイス。その愛が運命を狂わせてしまう悲劇の始まりだった……。
と、病気の娘のために奔走する父親の心温まるストーリーかのようですが、最初から最後まで暗い雰囲気と、奔走すればするほど悲劇を招くルイスに「もう余計なことはするな! コスチュームは諦めろ!」と言いたくなります。
作品に散りばめられた日本への愛!
本作『マジカル・ガール』のなかには、日本テイストのアイテムが至るところに散りばめられています。大ファンだと公言する漫画「ドラゴンボール」にオマージュを捧げ再解釈したコミック「Cosmic Dragon」を出版するほど、日本の漫画・アニメ・映画をこよなく愛するカルロス・ベルムト監督。
物語のきっかけとなる日本の架空のアニメ「魔法少女ユキコ」のキャラクターをはじめ、アリシアが踊る曲は長山洋子さんのデビュー曲「春はSA-RA SA-RA」。
謎の車椅子の男の豪邸には黒いトカゲのマークがあり、これは江戸川乱歩の「黒蜥蜴」へのオマージュだという。さらにはエンディング曲にはピンク・マルティーニがカバーした美輪明宏さんが作詞作曲した「黒蜥蜴の唄」(映画『黒蜥蜴』の主題歌)が流れるなど、監督の日本通ぶりが伺えます。
めちゃくちゃダークな内容の中で流れ出す日本の曲と、それに合わせて踊るアリシアの姿が、ミスマッチなのに何とも言えない不思議な気持ちにさせてくれます。
もう一人のキーパーソン「バルバラ」
バルバラとは誰かというと、メインビジュアルで額から血を流している女性です(笑)。情緒不安定で心に闇を抱えるバルバラは、精神科医である夫の厳重な監視と調教のなかで暮らしています。
ある出来事をきっかけにルイスと出会い、この出会いがバルバラの人生をも狂わせていくのですが、夫との生活に孤独を感じる彼女は自ら狂いにいっている感じもありますね。悲劇に巻き込まれた一人でもありますが、観ていくと「おいお前っっ!」てなるイラつきポイントもあるので、こちらのメンタルが不安定になってきます(笑)
バルバラに惹かれる元教師「ダミアン」
じつは映画の冒頭は、教師ダミアンと、教え子である幼少期のバルバラとのやりとりから始まります。そんなこともすっかり忘れた頃、ダミアンが刑務所から出所する映像が。バルバラに惹かれているであろうダミアンがとる行動と、2人の関係性もこの映画ではとても大事です。
しっかり伏線が回収されたかと思いきや、最後まで謎に包まれている箇所もあり、観る側の解釈が何通りにも分かれる映画だと思います。こんな事起こるわけない! っていうよりも、どこかで起こってそうな日常の生々しさが余計嫌な気持ちにさせてくれます。
個人的には中途半端なハッピーエンドより、しっかりBADな気分にさせてくれる映画は好みです♪
愛する人が余命わずかと知ったとき、あなたならどこまで願いを叶えてあげますか?
週末のお供に『マジカル・ガール』ぜひご覧ください!
【公式サイトはこちら】
【マジカル・ガール 予告動画】
※予告動画もなにをポップにしとんねんて感じです(笑)