《自己紹介》
『singles』をご覧の皆さんこんにちは! モデルをしながらライターとして記事を書いている「紺野ミク」です。こちらでは映画大好きな私がオススメする作品を紹介しています。好きなジャンルは考察系、クソ映画、鬱映画など見終わった後にモヤっとする映画が大好きです(笑)独断と偏見で楽しくツッコミながら紹介していくのでよろしくお願いします☆
異物を飲み込んでゆく異色のスリラー映画『Swallow/スワロウ』
『Swallow/スワロウ』(2019)は、主人公ハンター(ヘイリー・ベネット)が異物を飲み込むことで自分を取り戻していくスリラー映画なんですが、まず印象的なのがこのメインビジュアル。
美しく真っ直ぐな目でこちらを見つめるハンターと 「 “欲望” をのみこんでゆく──。」の文字。
そして手に持つのは口紅...…
ではなく画鋲。
画鋲!!??
異物を飲み込む映画で手に持つのは画鋲って、すでに嫌な予感しかしません(笑)こんなきれいなビジュアルなのに、やばそうなサイコな女の話なの!? って最初は私も思ってましたが、見ていくうちに誰もが共感してしまうようなシーンがたくさんでした。
今回もネタバレはせず、あらすじにそってポイントだけ紹介しますね☆
誰もがうらやむ生活の光と影
ニューヨーク郊外、プールつきの広い豪邸で誰もが羨むような暮らしを夫と送る主人公のハンター。
だけど実際は、食事中はまともな会話もせず、アイロンがけ一つにも文句を言う夫と、彼女に興味を示さない義父母の中でどこか孤独で虚しい日々を送る毎日。
そんな中ハンターの妊娠が発覚し喜ぶ夫と義父母ですが、彼らの興味はお腹の赤ん坊のことだけ。ハンターの孤独はこれまで以上に深くなっていきます。
ある日、妊娠のお祝いに夫と義父母で食事をしているときにハンターが場を盛り上げようと話し出すと、そんなかぶせかたある⁉️ ってくらいの勢いで義父がハンターの会話に食い気味で別の会話を始めます。夫や義母も当たり前のようにハンターをスルー。
その時の悲しそうなハンターの顔と、溶けてくコップの氷を眺めて口に入れる姿はなんとも言えません。私の勝手な見解だけど、この日にハンターの心は完全に折れ、口に含んだ氷の冷たさで何とか自分を落ち着かせていたように見えました。
痛みをともなう行為で得られる「自信と快楽」
ハンターが産まれてくる赤ん坊のために部屋を模様替えしてると、義母が自己啓発本を渡してきます。まずこれがお節介で私ならイライラしますが、さらに去り際に「髪を伸ばしたら? 息子のタイプはロングよ」なーーんて言いやがるわけですよ!(笑)流石のハンターもそれにはイラつきながらも本を読んでみると、そこには
“毎日驚くようなことや新しいことに挑戦しよう”
と言う文字が。
ふと立ち上がり近くにある小さなガラス玉を見つめると、ハンターはそれをゆっくり口に入れます。あの日氷を口に含んだ時のように。そしてそれを痛みとともにグッっと飲み込むと、ハンターはなぜか微笑むんです。そしてその日はいつもよりとても明るく過ごすんですよ。
そう、ハンターはその行動で、
「自分にも出来ることがある」
と普段感じることのない多幸感と自信を持つんです! この日から異物を飲み込むことに多幸感を抱くようになったハンターは、痛いと分かっていてもさらなる危険なものを飲み込みたい欲望にかられていきます。
メインビジュアルにもなっている画鋲もその中の一つなわけですが、正直画鋲どこじゃない物も出てきて、見てるこっちが痛いです! 何を飲み込んでゆくのかはぜひ本編をご覧ください。(そこじゃない)
何回も出てくる“トイレ”が意味するものは?
この映画ではトイレがかなりポイントだと思っています。というのも、異物を飲み込むってことは、飲み込んだものは出てくるってことじゃないですか? 排泄として。ハンターはなんと出てきたものを洗ってコレクションとして飾ってるんですよ!!
※微妙にそういうシーンがあるので苦手な方はお食事中に見ないでください(笑)
私が思うに、異物を飲み込んで排泄するまでがハンターの中でセットな気がするんです。今日もこんな凄いものを飲み込んで出したんだぞ! と自分に言い聞かせ、それをやり遂げることで自分という存在を確認しているように感じます。
「間違える」ことを異常に恐れるハンター
冒頭辺りにアイロンのかけ方の間違いを指摘された時や、庭に花を植えること、部屋のカーテンの色を「間違えてないかな?」と夫に確認するなど、ハンターは間違えることを異常に恐れているんですよね。
だけどこれもただ単に気の弱い女性だからではなく、ハンターの今までの人生に関係があることだと明らかになっていきます。
誰だって愛されたいし、満たされたい
ハンターが自分に自信を持てる方法は「異物を飲み込む」と言う考えられない行動ですが、私たちも同じようなことで自分への自信につなげていることがあるんじゃないでしょうか?
例えば「いつもより食事を少なめにした」「ちょっとだけ運動した」など、小さいことでもいつもと違うことをするだけで、『私だって出来るんだ』とそれを自信に変えたことないですか?(完全に私です 笑)
最近ではSNSの普及によってマウントを取るなんて行動も同じで「こんな高いものを買った。良いものを食べた。こんな場所へ行った」など載せることで人間は日々、自己肯定感を上げたり承認欲求を満たしてる人が多いわけですよ。
どんなにお金があって裕福な暮らしをしていても、本当の自分を愛してもらえない、誰も自分に興味がない。そんなハンターにとって空っぽな心を埋める行動が『Swallow(飲み込む)』だったんです。
もちろんそんなことをずっと続けられるわけもなく、この後も見てるだけで痛いし心も苦しいシーンが多いんだけど、夫の言いなりだった彼女が自分で行動し選択し、一人の女性として自分を取り戻していく姿はとても素敵に思えました。
ちなみにこちらの作品は、エンドロールも含め色々考えさせられるラストとなっているのでぜひ見てください♪
【Swallow/スワロウ 予告動画】