演奏にアートと、日頃から芸術にどっぷりと浸かっている筆者utoが、ひとりでゆっくりと楽しめる企画展をご紹介。今回は、旅気分が味わえる企画展から、実際に少し足を伸ばして見に行ける美術館の企画展まで、幅広くご紹介します。どれもわくわくする企画展なので、ぜひご注目ください!

お出かけがしたい! というときにおすすめの企画展をご紹介

9月になりました。まだまだ暑さも残っているものの、日差しも和らいで、お出かけしやすい季節になってきましたね。

暑さも落ち着いてきたし、ちょっと遠くまで出かけてみようかな……という気分になっているのなら、美術館への小旅行はいかがでしょうか。

今回は、まるで旅に出たような気分になれる企画展を中心に、現実でも小旅行が楽しめる距離にある美術館の企画展も加えてご紹介します。

気になる企画展を見つけたら、ぜひ足を伸ばしてみてくださいね。

「レガシー ― 美を受け継ぐ モディリアーニ、シャガール、ピカソ、フジタ」(松岡美術館)

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この企画展では、松岡美術館のコレクションの中から、とくに20世紀初頭のパリで作成された作品たちを鑑賞できます。

「エコール・ド・パリ」、「フォービスム」、「キュビズム」、「シュルレアリスム」、そしてパリに渡った日本人の作品まで、幅広い作品を見ることができます。

エコール・ド・パリ:パリ派。1920年代を中心にパリで活躍した、さまざまな国や作風の画家たちの総称。
フォービスム:野獣派。鮮烈な色彩を用いた絵画運動。
キュビズム:遠近法から離れ、モチーフをバラバラに配置する芸術運動。ピカソブラックによって確立。
シュルレアリスム:作家アンドレ・ブルトンを中心とした文学・芸術運動。現実離れした作風が特徴。

また、常設展示されている作品も普段とは違った側面から紹介されています。

まるで当時のパリまで旅行に出たような気分になれる企画展、ぜひお楽しみくださいね。

「レガシー ― 美を受け継ぐ モディリアーニ、シャガール、ピカソ、フジタ」
会場:松岡美術館(東京メトロ南北線・都営地下鉄三田線「白金台」駅1番出口 徒歩7分)
会期:2024年6月18日(火)〜2024年10月13日(日)

「ICC アニュアル 2024 とても近い遠さ」(NTTインターコミュニケーション・センター [ICC])

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「ICCアニュアル」は、2006年から2021年まで「オープン・スペース」展として開催してきたものを、2022年度よりリニューアルをおこなった展覧会です。

少し不思議なタイトルの企画展ですが、これは近年のパンデミック以後、私たちの「距離」への意識がどのように変わってきたのかを再考するものとなっています。

現代では、通信技術の進歩によって、物理的に遠かったものが近くに感じられるようになりました。しかし、パンデミックによって登場した「ソーシャル・ディスタンス」という考え方が、「距離」について考え直すきっかけとなったことも確かでしょう。

この企画展では、そういった「遠さ」と「近さ」ついてさまざまな作品から考えることができます。

きっと、たくさんの「距離の捉え方」に触れることができるでしょう。

「ICC アニュアル 2024 とても近い遠さ」
会場:NTTインターコミュニケーション・センター [ICC](京王新線「初台」駅東口 徒歩2分)
会期:2024年6月22日(土)~2024年11月10日(日)

「企画展 作家の視線― 過去と現在、そして…」(ホキ美術館)

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ここからは、実際に小旅行を楽しみながら見ることができる企画展をご紹介します。

細密な写実絵画は、膨大な時間と労力をかけて制作されるジャンルのひとつです。

まるで写真のような絵画は、何ヶ月も、時には年単位の時間をかけて制作されています。そこにかけられた時間と完成した作品は、画家たちが何を見て、そして何を感じて描いてきたのかをつぶさに表しているようにも思えます。

この企画展では、作家が過去に制作した作品と、現在の作品を見比べることができるのです。

ちなみに、今回の企画展でおこなっているサービスに、「見どころガイド」という、鑑賞のポイントを解説してくれるものがあります。お手持ちのスマートフォンでQRコードを読み取ると見ることができるので、鑑賞へのハードルもきっと下がるはず。

手元のガイドとともに、たくさんの作品たちをじっくりと鑑賞してみてくださいね。

「企画展 作家の視線― 過去と現在、そして…」
会場:ホキ美術館(JR外房線「土気」駅下車後、バス 約5分)
会期:2024年5月23(木)〜2024年11月11日(月)

「フィリップ・パレーノ:この場所、あの空」(ポーラ美術館)

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現代のフランスを代表するアーティストのひとり、フィリップ・パレーノ

その作品はドローイングにとどまらず、映像や音、オブジェやテキストなど、多くの手段を用いて作り出されています。

その作品に共通するのは、現実とフィクション、実物と人工物との違い、そういった現実と仮想とのずれへの関心です。そして、芸術そのものや「作者」というものにも疑問を投げかけており、さまざまな分野のひとたちとも共同で作品を作り上げています。

展覧会という空間そのものをも作品ととらえるパレーノ。今回は国内最大規模の個展となっていますので、初期の作品はもちろん、初公開の作品まで堪能することができます。

芸術を体験する、ということをたっぷり味わってみてくださいね。

「フィリップ・パレーノ:この場所、あの空」
会場:ポーラ美術館(箱根登山電車「強羅」駅下車後、ポーラ美術館無料送迎バス 約8分)
会期:2024年6月8日(土)~2024年12月1日(日)

「東海道五十三次」で旅気分 ―富士に琳派に若冲も―(岡田美術館)

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日本で有名な旅路のひとつと言えば、東海道をたどったもの。53の宿場、多くの難所と関所がありましたが、風光明媚な場所も多く、名画や和歌・俳句の題材としても人気がありました。

そんな東海道五十三次最大の難所であった箱根。そこにある岡田美術館で、東海道五十三次最後の宿場完成から400年、箱根駅伝100回目という節目に、旅気分を味わえる企画展が催されることになりました。

展示の中心となるのは歌川広重「東海道五十三次」。旅というものを魅力的に表現したこの作品は、当時の東海道を行く旅人の様子のみならず、場所ごとの名所や名物を描き込んでいて、美術館にいながら旅をしている気持ちになることができます。

もちろん歌川広重の作品だけでなく、富士山を描いた名画、京都の絵師や「江戸琳派」の作品なども合わせて楽しむことができますよ。

ちなみに、江戸琳派とは、大胆な構図・金箔銀箔を用いた背景・色が乾かないうちにつぎの色を垂らして描く「たらしこみ技法」の3つが特徴の流派のこと。屏風に描かれることが多かっただけに、華やかさのあるデザインが魅力です。

名画の実際の舞台となった箱根で、旅のアートを楽しんでみてくださいね。

「東海道五十三次」で旅気分 ―富士に琳派に若冲も―
会場:岡田美術館(JR湘南新宿ライン「小田原」駅下車後、伊豆箱根バス「小涌園」下車 徒歩すぐ ※アクセス方法は一例です
会期:前期 2024年6月9日(日)~2024年9月12日(木)
   後期 2024年9月13日(金)~2024年12月8日(日)
※「東海道五十三次」全55枚は前期(6月9日~9月12日)と後期(9月13日~12月8日)に分けて展示

アート作品を巡る、小旅行はいかがですか?

今回は、実際に足を伸ばして旅行気分が味わえる企画展から、想像力を働かせてアートの世界を巡る企画展まで、幅広くご紹介しました。

今年も秋の訪れには時間がかかりそうですが、芸術の秋として一足先に楽しんでいただけたらと思います。「旅行したい」「ちょっと遠くまで出かけたい」と思ったら、ぜひ美術館へも足を運んでみてくださいね。

ほかの月の企画展が知りたい方はこちら

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