フォーマルからインフォーマルまで、自身のこだわりを移す鏡として選ばれる腕時計の数々。ここではブランド腕時計専門店・MOON PHASE(ムーンフェイズ)が最新モデルからアンティークまで、クールなおひとりさまの腕を飾るに相応しい珠玉の一本をセレクト。今回はパテック・フィリップから、同ブランドでは珍しいクオーツタイプのタイムピース『カラトラバ クオーツ』をご紹介しよう。

PATEK PHILIPPE
世界最高峰の時計ブランドと称されるPATEK PHILIPPE(パテック フィリップ)。その歴史は1839年、ポーランド出身のアントワーヌ・ノルベール・ド・パテックが創設した「Patek, Czapek & Cie」から始まった。1851年、技術者ジャン・アドリアン・フィリップとの出会いを機に「PATEK PHILIPPE & Cie」と改名。“世界最高の時計をつくる”という理念を掲げ、「カラトラバ」「ノーチラス」などの名作を生み出す。文字通り理念を体現し、時計界の頂点に君臨するブランドだ。

クオーツショック終盤を象徴する1984年製モデル

今回取り上げるのは、1984年製のきわめて古い『カラトラバ クオーツ』だ。1984年といえば、クオーツショックがようやく終わりかけていた頃。この個体には、その影響を真正面から受けた痕跡が随所に残っている。

パテック・フィリップは、クオーツ全盛期にあっても機械式の製造を決してやめなかったブランドだ。しかし、じつはメンズのクオーツモデルも少数ながら存在する。

本モデルの6時位置には大きく「QUARTZ」の文字が入り、当時のブランドとしてのスタンスが色濃く現れている。あえて“クオーツであること”を強調するようなデザインで、当時の市場へのアンチテーゼすら感じさせるようだ。

画像: 6時位置の「σ(シグマ)マーク」は貴金属使用の証

6時位置の「σ(シグマ)マーク」は貴金属使用の証

文字盤下部にはシグママークが配され、本モデルに貴金属を使用していることを示している。クオーツであってもパテックの品質は揺るがない、その意思表示でもある。

細部を見ていこう。まず注目したいのは針だ。クオーツムーブメントはトルクが低いため、針は細身にせざるを得ない。本機の針が繊細な理由はデザインではなく、機構的必然である。インデックスもその針に合わせて細く作られており、全体として軽やかなバランスにまとまっている。

文字盤は深いブルーのサンレイ仕上げ。ダイヤルコンディションは抜群で、40年近く前の時計とは思えないほどの美しさが保たれている。

クオーツムーブメントの利点を活かし、ケースは非常に薄い。リューズは通常のカラトラバより一回り小さく、カルティエのパシャを思わせるサイズ感だ。クオーツのため、日常での操作がほとんど必要ないことを踏まえた設計といえる。

画像: ラグの造形からも、80年代カラトラバのクラシカルな雰囲気が伝わる

ラグの造形からも、80年代カラトラバのクラシカルな雰囲気が伝わる

ラグは現代的なシャープなラインになる前の、溶接風のクラシカルな造形。ケース全体に80年代らしいレトロな空気が漂う。

ベゼルはクルー・ド・パリ模様(ピラミッド状の凹凸が連なる意匠)で、当時頻繁に用いられていたタイプだ。近年再び採用例が増えたため、見覚えのある読者も多いだろう。

画像: 深いブルーの文字盤に合わせて、ストラップも同色で統一感を演出

深いブルーの文字盤に合わせて、ストラップも同色で統一感を演出

ムーンフェイズ銀座店では、本モデルの入荷に合わせ、深いブルーのストラップに交換。文字盤との統一感が極めて高く、全体のまとまりをさらに引き立てている。

画像: クオーツショック終盤を象徴する1984年製モデル

古いタイムピースではあるが、アーカイブも揃っており、希少なクオーツ・カラトラバとしての価値は高い。カラトラバ愛好家はもちろん、個性のある一本を求める人にもおすすめしたいモデルである。

PATEK PHILIPPE
カラトラバ クオーツ
品番:3744
素材:K18イエローゴールド
サイズ:縦33mm×横33mm
防水:-
ムーブメント:クオーツ
文字盤:ブルー
販売価格:1,280,000円(税込)
※アンティーク(1984年)
【付属品】
アーカイブ(1984年5月)
※価格は2025年12月現在のMOON PHASE銀座店・販売価格です。

MOON PHASE 〜STAFF VOICE〜

カラトラバはこれまでにも多数ご紹介してきましたが、すべて機械式でした。そもそもメンズのクオーツモデルはほとんどありません。ごく一部に限られるくらいで、非常に少ないです。なぜ少ないかと言うと、世界最高峰の時計ブランドとしての矜持があって、やはり機械式時計にこだわっているからです。

そう考えると、今回のモデルは時代背景の影響を色濃く受けた時計だということがわかります。クオーツショックの渦中にあった、非常に特殊な一本なんですね。

この年式のクオーツモデルの中は、コストダウンを優先したものも多く、安さを前面に打ち出す傾向がありました。しかしこのモデルからは、作りの丁寧さを随所に感じます。

クオーツという性質から中古市場では価格が下がるため、あの『カラトラバ』を手に取りやすい価格で楽しめるというのも大きな魅力です。ぜひこの機会に、その魅力を手に取って実感してみてください。

所在地東京都中央区銀座1-6-6 GINZA ARROWS1F
TEL03-5250-7272
営業時間11:00〜19:00(日曜祝日〜18:00まで)
定休日水曜日
公式サイトhttps://moon-phase.jp/
【MOON PHASE(ムーンフェイズ)銀座】

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