フォーマルからインフォーマルまで、自身のこだわりを移す鏡として選ばれる腕時計の数々。ここではブランド腕時計専門店・MOON PHASE(ムーンフェイズ)が最新モデルからアンティークまで、クールなおひとりさまの腕を飾るに相応しい珠玉の一本をセレクト。今回は、ロレックスのアンティークから『オイスター ロイヤル J.HERSCH & Co.』をご紹介しよう。

ROLEX
世界でもっともポピュラーな腕時計ブランド・ROLEX(ロレックス)。高級時計の代名詞といっても過言ではないが、その歴史は1905年の創業から100年余りと意外と短い。その間の偉業は数知れないが、高い防水性を実現した「オイスターケース」、自動巻ローター「パーペチュアル」の技術は、新興ブランドであったROLEXを不動の地位に押し上げた。

オイスターロイヤルに見る、40年代のロレックス

今回取り上げるのは、1940年代に製造されたロレックス『オイスター ロイヤル』のアンティークモデル。現代のロレックスとはまた違った空気をまとった一本であり、当時の時代背景が色濃く反映されている。

画像: オイスター ロイヤル J.HERSCH & Co.

オイスター ロイヤル J.HERSCH & Co.

まず目を引くのが、12時位置に記された「J. HERSCH & Co. GERMISTON」の文字である。ロレックスの文字盤に、ブランド名とは別の名称が並ぶこの仕様はいわゆるダブルネームと呼ばれるものだ。

ロレックスの場合、販売を担った時計店や代理店の名が記されることが多い。本モデルもその一例だ。「J. HERSCH & Co.」は、南アフリカ共和国ハウテン州ジャーミストンに拠点を置いていた時計小売業者で、1940年代にはロレックスの高級時計を扱っていたことが確認されている。

画像: 12時位置には「J. HERSCH & Co. GERMISTON」の表記。販売を担った時計店名が記されたダブルネームだ

12時位置には「J. HERSCH & Co. GERMISTON」の表記。販売を担った時計店名が記されたダブルネームだ

当時のロレックスは、現在のように自社主導で販売網を構築していたわけではない。各地の正規代理店や有力な時計店に製品を卸し、その販売店名を文字盤に入れることがあった。いわば「販売店ごとのスタンプ」のような役割を果たしていたのが、こうしたダブルネームである。数は決して多くなく、現在では希少性の高い存在だ。

この個体も、南アフリカで流通していた時計が、時を経て海を越え、日本に渡ってきたものだと考えられる。その来歴自体が、アンティークウォッチならではの魅力だろう。

文字盤に目を移すと、現行モデルではあまり見られない印字によるインデックス表現が用いられている。1940年代のロレックスは、インデックスの表現方法にさまざまなバリエーションが見られ、文字盤デザインも多彩だった。

外周にはミニッツサークルと呼ばれる分目盛りが配されており、経年を考えると非常に良好な状態で残っている。また、ベンツ針が採用されているが、現行品と比べるとどこか軽やかで少しポップな印象だ。

40年代のロレックスを象徴する要素として注目したいのが王冠マークだ。裏蓋の表面には、現在とは形の異なる王冠マークが刻まれている。この時代ならではの意匠が感じられる部分だ。

さらに注目したいのが蓋の裏にある「OYSTER WATCH Co.」の刻印。これはケース製造を担っていた会社名で、後にロレックスと統合されていく。この刻印が入っているものと、入っていないものが混在する時期でもあり、本モデルはまさに過渡期に位置する個体といえるだろう。

画像: ケースサイズが小さく、いわゆるボーイズサイズである点も、このモデルの個体数が少ない理由のひとつ

ケースサイズが小さく、いわゆるボーイズサイズである点も、このモデルの個体数が少ない理由のひとつ

ダブルネーム、時代を感じさせるディテール、そして過渡期ならではの仕様。1940年代の『オイスター ロイヤル』は、ロレックスの歴史を静かに物語る存在であり、アンティークウォッチの奥深さをあらためて実感させてくれる一本である。

ROLEX
オイスター ロイヤル
J.HERSCH & Co.
品番:3121
素材:ステンレススチール
サイズ:縦29mm×横29mm
防水:-
ムーブメント:手巻き
文字盤:シルバー
販売価格:418,000円(税込)※アンティーク(1941年前後)
【付属品】
なし
※価格は2025年12月現在のMOON PHASE銀座店・販売価格です。

MOON PHASE 〜STAFF VOICE〜

アンティークロレックスにはさまざまな魅力がありますが、この一本はとくに過渡期らしさを強く感じられるモデルです。1940年代を象徴する要素が随所に見られ、アンティークならではの楽しみを存分に味わっていただける時計だと思います。

ケースサイズはかなり小ぶりなため、女性の方にもおすすめです。一方で、ディテールや背景を知るほど奥行きがあり、アンティークロレックスに親しんできた上級者の方にもご満足いただける一本です。

これだけ多くの要素が詰まっているため、長く付き合いながら魅力を深めていけるモデルだと思います。

所在地東京都中央区銀座1-6-6 GINZA ARROWS1F
TEL03-5250-7272
営業時間11:00〜19:00(日曜祝日〜18:00まで)
定休日水曜日
公式サイトhttps://moon-phase.jp/
【MOON PHASE(ムーンフェイズ)銀座】

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