《自己紹介》
『singles』をご覧の皆さんこんにちは!モデルをしながらライターとして記事を書いている「紺野ミク」です。こちらでは映画大好きな私がオススメする作品を紹介しています。好きなジャンルは考察系、クソ映画、鬱映画など見終わった後にモヤっとする映画が大好きです(笑)独断と偏見で楽しくツッコミながら紹介していくのでよろしくお願いします☆
カンヌ最高賞受賞サスペンス!『落下の解剖学』
(C)LESFILMSPELLEAS_LESFILMSDEPIERRE
これが長編4作目となるフランスのジュスティーヌ・トリエ監督が手がけ、2023年・第76回カンヌ国際映画祭 コンペティション部門で最高賞のパルムドールを受賞したヒューマンサスペンス『落下の解剖学』(2023)。
雪山の山荘で起きた転落事故を引き金に、死亡した夫と夫殺しの疑惑をかけられた妻のあいだの秘密や嘘など、人間の記憶や関係性の“不確かさ”が少しずつ暴かれていく作品です。
女性監督では史上3作目となるパルムドール受賞作であり、脚本はフラー監督と、そのパートナーであるアルチュール・アラリが務め、第96回アカデミー賞でも作品賞、監督賞、脚本賞、主演女優賞、編集賞の5部門にノミネートされ、脚本賞を受賞。
主人公 サンドラ役は『ありがとう、トニ・エルドマン』(2016)などで知られるドイツ出身のザンドラ・ヒュラーが演じています。
雪山の山荘で起きた不可解な死
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人里離れた雪山の山荘で、視覚障害をもつ11歳の少年が血を流して倒れていた父親を発見。悲鳴を聞いた母親が救助を要請しますが、父親はすでに息絶えていました。
当初は転落死と思われていましたが、その死には不審な点も多く、妻であるベストセラー作家のサンドラに夫殺しの疑いがかけられます。
息子に対して必死に自らの無罪を主張するサンドラですが、事件の真相が明らかになっていくにつれ、仲睦まじいと思われていた夫婦の裏に隠された、嫉妬、執着、そして激しい口論の記録が法廷で次々と白日のもとに晒されていくのです。
夫婦という関係のリアルな“解剖”
本作が描くのは、フィクションの狂気ではなく、私たちのすぐ足元にあるような現実的な狂気です。
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幸せそうに見える普通の夫婦。しかしそこには、作家として成功を収める妻と、自身の挫折と家事育児の負担に押しつぶされそうな夫のリアルがありました。
法廷で再生された生前の2人の口論は、あまりにも痛切な“正論の応酬”です。
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どちらかが輝けば、どちらかがその影で窒息していく……。
そんな、どの家庭にも潜みうる夫婦間の歪みやパワーバランスへの不満。それが法廷という冷徹なメスによって「事件の動機」として解剖されていくプロセスは、あまりにリアルで息苦しく、サスペンスというよりドキュメンタリーに近い感覚を覚えます。
「見えない」からこそ「聞こえてしまう」真実
物語の真の主役であり、観客の心をもっとも激しく揺さぶるのは、視覚障害を持つ11歳の息子ダニエルの存在です。
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父親の遺体の第一発見者であるダニエルは、ある日いきなり、
「無垢な子供」から「一人の陪審員」
となり、法廷で証言をしなければならなくなりました。
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視覚障害を持つダニエルの世界は音で構成されています。そんな彼にとって法廷は「大好きな両親の、今まで知らなかった醜い愛憎の言葉」が次々と再生される、逃げ場のないスピーカーのような空間です。
そして“自分の言葉ひとつで母親の運命が決まってしまう”という、重すぎる現実を突きつけられます……。
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彼の小さな背中が放つ緊迫感こそが本作の注目ポイントであり、孤独と悲しみのなかで迫られる選択に目が離せません。
スクリーンが観客を「陪審員」に変える仕掛け
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ジュスティーヌ・トリエ監督は、映画のカメラワークや編集をあえて“客観的な神の視点”ではなく、まるで法廷で傍聴しているかのような“不完全な視点”で作り込んでいます。
その巧みな演出に、私たちはいつの間にか自分自身が12人目の陪審員として、この事件の真実に辿り着こうとしてしまうのです。
サンドラに下す最後の選択は「事故か、自殺か、それとも殺人」か……?
あなたなりの解釈を教えてください。
『落下の解剖学』、週末のお供にいかがですか?
【落下の解剖学】
疑念の中に落ちていく 映画『落下の解剖学』予告編
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