見終わったあとモヤモヤする映画が大好きな筆者が語る映画連載【シネマ・グレイ】。今回は、フランス中が震撼! ベストセラーにもなった衝撃の告発本が映画化『コンセント / 同意』(2023)をご紹介します!(文:紺野ミク)

《自己紹介》
『singles』をご覧の皆さんこんにちは!モデルをしながらライターとして記事を書いている「紺野ミク」です。こちらでは映画大好きな私がオススメする作品を紹介しています。好きなジャンルは考察系、クソ映画、鬱映画など見終わった後にモヤっとする映画が大好きです(笑)独断と偏見で楽しくツッコミながら紹介していくのでよろしくお願いします☆

フランスが震撼した衝撃の実話『コンセント / 同意』

(C)2023 MOANA FILMS - WINDY PRODUCTION - PANACHE PRODUCTIONS - LA COMPAGNIE CINEMATOGRAPHIQUE - FRANCE 2 CINEMA - LES FILMS DU MONSIEUR

2020年1月、1冊の本が出版されフランス中が騒然となりました。

『同意』と題されたその著書は、芸術文化勲章まで受賞した有名作家 ガブリエル・マツネフと14歳で性的関係を持っていた女性 ヴァネッサ・スプリンゴラからの、いわば告発だったのです。

その告発本に記されていたのは、マツネフが彼女を含む多数の少女たちとの関係を作品の題材として利用した生粋の小児性愛者にも関わらず、その歪んだ行為さえ文学として消費され礼賛すらされてきたという驚くべき実態。

本作『コンセント / 同意』はその衝撃の実話を元に映画化され、公開されるやいなや大きな話題を呼びました。

とくに、若者たちの反応は凄まじく“今見るべき、知るべき作品”としてSNSでトレンド入りするなど日に日に観客を増やし、公開2週目から前週を上回る観客数を動員。異例の大ヒットを記録しました。

映画初出演のキム・イジュランがヴァネッサ役で主演を務め、第49回セザール賞女性新人賞にノミネート。自身も映画監督としても活躍する俳優ジャン=ポール・ルーブがマツネフを演じています。
監督は、『マイ・エンジェル』(2018)のヴァネッサ・フィロが監督・脚本を手がけ、原作者ヴァネッサ・スプリンゴラが脚本に協力しています。

文学少女ヴァネッサとマツネフの出会い

母親と2人で暮らす、文学が好きな13歳の少女ヴァネッサ。ある日、文芸編集者だった母に連れられ、関係者が集まる食事会に同行します。

(C)2023 MOANA FILMS - WINDY PRODUCTION - PANACHE PRODUCTIONS - LA COMPAGNIE CINEMATOGRAPHIQUE - FRANCE 2 CINEMA - LES FILMS DU MONSIEUR

そこにいたのは、50歳の有名作家ガブリエル・マツネフ

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彼は自身の小児性愛嗜好を隠すことなく文学作品に仕立て上げ、既存の道徳や倫理への反逆者として世間から注目を集めた人物でした。

そこでヴァネッサを気に入ったマツネフは、なんと彼女への恋心を綴った手紙を送りまくるんですよ!!

普通だったら一度会ったおじさんからラブレター送られてきたら怖いじゃないですか! それも何通も!

ただ、マツネフが書く手紙はとても文学的でロマンチック。ヴァネッサは自分も物書きになりたい夢があるだけに、どんどんマツネフの文に惹かれていくのです……。

同意するとはどういうことなのか?

マツネフの手紙に惹かれていくヴァネッサは、14歳になったとき、ついに母親に内緒でマツネフと2人で会います。

そして、ヴァネッサとマツネフはお互い同意の上で性的関係を結ぶのです……。

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そこから、2人の関係はとてもいびつな関係になっていきます。マツネフはそもそも小児性愛を公言していますから、ヴァネッサを恋人として公の場に連れて行ったり外でイチャついたりすることにまったく抵抗がありません。

14歳ですよ!? 周りが容認しているのも信じられない!

しかしヴァネッサは、彼が自分を必要としてくれること、自分が知らないこと、感じたことのない感情すべてを与えてくれることが嬉しく、どんどんマツネフを好きになっていきます。

しかしその愛は14歳の心をかき乱し、束縛、嫉妬……。ヴァネッサの心は壊れていきます。

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そして彼が自分とのことをすべて作品として書いたとき、ヴァネッサの信じた愛は絶望に変わってしまうのです。

ヴァネッサが同意したのは彼との恋愛です。彼を愛することに同意しただけで、決して弄ばれることや、2人の関係を本にされることすべてに同意したわけではないのです。

確かにマツネフはことあるごとに「嫌ならしない」「嫌ならやらなくていい」と、確認をとってきます。

しかし、たった14歳の子がこれに同意したからといって、世間が『本人が同意した』と認めていいのでしょうか?

心身ともにまだ未熟な少女が判断を誤るのを、誰かが救わなければいけなかったはずです。

“文学”という名の性的搾取

そもそも、当時のフランスでマツネフは有名な文学作家で、“あえてタブーを書く”ことで道徳や倫理の概念を壊していく先駆者として崇められていました。

ヴァネッサより以前に関係を持った少女とのこと、海外で子供を買ったこと。それらすべてを本にしてきても罪に問われることなく、“文学”という言葉で済まされてきました。

(C)2023 MOANA FILMS - WINDY PRODUCTION - PANACHE PRODUCTIONS - LA COMPAGNIE CINEMATOGRAPHIQUE - FRANCE 2 CINEMA - LES FILMS DU MONSIEUR

マツネフはヴァネッサの心を巧みに利用し、「私を理解してくれるのは彼しかいない」と思わせることで精神的にも支配していました。

ヴァネッサの母親も最初はマツネフとの関係を反対するものの、次第に2人の関係を容認するなどその関係性は異常と言わざるを得ません。

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30年以上の時を経ての告発

マツネフとの関係を絶ってからもヴァネッサはずっと苦しみ、トラウマを抱えてきました。

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そして長く苦しんできたヴァネッサは、被害を受けてから30年以上経って告発本を出すことを決意します。

告発するのにこれだけの時間がかかったのは、ヴァネッサ自身が幼いながらも自分の意思で「同意」していた事実や、一度は信じた愛が性的搾取だったと信じたくない気持ちと葛藤していたからではないでしょうか?

しかし、どうしても自分の言葉で真実を書かなければ、一生彼に捕えられたままになってしまう……。そして、同じように被害に遭う少女が増えてしまう。

きっと、彼女のなかの14歳のヴァネッサが「あなたは悪くない」と背中を押してくれたはずです。

Ibl/Shutterstock//Aflo
『Le Consentement(同意)』の著者ヴァネッサ・スプリンゴラ(Vanessa Springora)。現在53歳。

彼女の勇気は、フランス国家を動かす社会現象になり、世界中からマツネフに批判が殺到! 彼はフランスに住んでいられなくなり、リビエラに逃亡しました。

しかし、世界中にはまだまだ同じような事例もあり、苦しむ子どもたちもたくさんいるはずです。

ヴァネッサの告発と勇気がフランスを動かしたように、世界各国がもう一度法律や罰則を見直さなければいけないと感じます。

『コンセント/ 同意』、ぜひご覧ください!

【コンセント / 同意 予告動画】

画像: 8月2日(金)公開『コンセント/同意』|本編映像 youtu.be

8月2日(金)公開『コンセント/同意』|本編映像

youtu.be
画像: フランス中が震撼! 国家を動かした衝撃の告発を映画化『コンセント / 同意』【シネマ・グレイ File.060】

紺野ミク|Miku Konno

モデル・女優などで活躍中の他、2017年からはライターとしても活動。連載を持ちコラム執筆をするなど多方面で活躍中。お酒・映画鑑賞が大好き。

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