失われる10分間の記憶を辿れ！ クリストファー・ノーランが描くクライムサスペンス『メメント』【シネマ・グレイ File.058】

《自己紹介》
『singles』をご覧の皆さんこんにちは！モデルをしながらライターとして記事を書いている「紺野ミク」です。こちらでは映画大好きな私がオススメする作品を紹介しています。好きなジャンルは考察系、クソ映画、鬱映画など見終わった後にモヤっとする映画が大好きです（笑）独断と偏見で楽しくツッコミながら紹介していくのでよろしくお願いします☆

クリストファー・ノーラン監督の出世作！『メメント』

クリストファー・ノーラン監督の出世作となった長編第2作で、記憶障害によりわずか10分間しか記憶を保てなくなった男を描いたクライムサスペンス『メメント』（2000）。

物語の時系列を逆行させながら描くトリッキーな構造が話題を集め、ノーラン監督の名を一躍世界に知らしめた作品です。

この革新的なストーリー展開が口コミで広がり、公開時には11館だった上映劇場がなんと500館以上に拡大！ 10週目にして全米チャート8位にランクインしました。

また、アカデミー賞において脚本賞、編集賞にノミネートされ、2017年には2000年代の映画としては4作品目（劇映画としては初）となるアメリカ国立フィルム登録簿に追加されました。

『L.A.コンフィデンシャル』（1997）のガイ・ピアースが主演を務め、『マトリックス』シリーズのキャリー＝アン・モス、『バッドボーイズ』シリーズのジョー・パントリアーノが共演しています。

たった10分間しか記憶を保てない男

ロサンゼルスで保険調査員として働くレナードは、ある日自宅に侵入してきた男に突然妻を殺され、自らも頭部を損傷。

そのせいで記憶障害を負ったレナードは、

なんと、新しい記憶を10分しか覚えていられない体になってしまいました。

妻を殺した犯人を探し出そうとするものの、10分しか持たない記憶……。

聞き込みで出会った人や場所の記憶も10分後にはすべて消えてしまうため、彼はポラロイド写真を撮ってそこにメモを書き入れ、さらに重要な情報は身体のあちこちにタトゥーとして刻むことで記憶を繋ぎ止めていきます。

何回……何十回と記憶をたどりながら、レナードは少しずつ犯人の情報を掴んでいきます。

逆行する時間と記憶

本作は、血まみれの男のポラロイド写真がタイトルバックに映るシーンから始まります。

そして、ポラロイドがだんだんと薄くなっていき、浮かび上がる前に時間が戻っていきます。

そう、つまり『メメント』は、逆再生のように時間が逆行して進んでいくのです！

はい、もうややこしくて観るのが嫌になった人もいますね？（笑）

「結末」から始まり、なぜそうなったのかを遡っていく映画はたくさんありますが、メメントで重要なのは『主人公の記憶が10分しか持たない』ということです。

10分前のレナードの映像が流れたかと思えば、そのさらに10分前の記憶を遡っていく……。正直めっちゃ混乱します（笑）

レナードが記憶障害で10分前のことを忘れているのと同じように、観ている私たちも「これはどの10分前の出来事？」と、記憶喪失の疑似体験をしているかのようになります。

というか、10分経ったら記憶が無くなってしまうなんて自分だったらどうしよう！（すぐ自分に置き換える）部屋中メモだらけにしても足らないかもしれません……。

白黒とカラーで構成されるシークエンス

物語は、白黒とカラーの二つのシークエンス（物語上繋がりのある一連の断片）が交互に映し出されることによって構成されています。

白黒のシークエンスは通常の時系列、カラーのシークエンスは時間の遡りを表しています。

これ以上混乱する要素を入れないで！（笑）

と文句を言いたくもなりますが、ラストに向かうにつれ、徐々に白黒のシーンに色がついてくるんです。

すると白黒とカラーが見事に重なり、物語の真相が明らかになっていきます！

分かりづらくてつまらない！ と賛否がある映画なんですが、その緻密に計算された構成と、何回も観れば観るほど深みが増す作品なので大好きです♪

『メメント』、年末のお供にいかがですか？

さて！ 2025年の『シネマ・グレイ』は本記事で最後です☆来年も皆さんをモヤモヤさせる映画を紹介していくのでよろしくお願いします！（笑）良いお年を〜♡

【メメント 予告動画】

紺野ミク｜Miku Konno

モデル・女優などで活躍中の他、2017年からはライターとしても活動。連載を持ちコラム執筆をするなど多方面で活躍中。お酒・映画鑑賞が大好き。

Instagram・X・Youtubeにて活動をcheck。

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