連載コラム「生田晴香、恐竜と生きる」。福井恐竜博物館 公認恐竜博士、古生物学会友の会・恐竜倶楽部メンバーでもある自他共に認める恐竜ラバーのタレント生田晴香が、恐竜の素晴らしさを隅から隅まで語り尽くします。壮大な歴史とドラマ、未解明の不思議が交差する魅惑の恐竜ワールドへ、ようこそ! - singles編集部
大量絶滅と通常絶滅
恐竜が絶滅したのは、約6600万年前の隕石衝突による大量絶滅が原因です。しかし、恐竜の時代中にも大量絶滅が起こったことがあり、地球上の生命は誕生以来、これまでに5回も大規模な大量絶滅を経験しているんです。
今回は、国立科学博物館で2025年11月1日(土)から開催されている、これまでにあった5回の大量絶滅「ビッグファイブ」に注目したイベントに行ってきました。
地球の歴史に刻まれた壮大なドラマを体感する特別展「大絶滅展―生命史のビッグファイブ」。国立科学博物館初の「ビッグファイブ」をテーマにした展示会です。

大絶滅展にて撮影
絶滅自体は日常的に起きており、100万年間で種の10%が消滅する、適者生存の競争原理による絶滅を「通常絶滅」と言い、異なる分類群に属する多数の種が地質学的に極めて短い期間に一気に約70%ほど消滅することを「大量絶滅」といいます。

大絶滅展にて撮影
5回の大量絶滅、いわゆるビッグファイブはなぜ起こったのか? これまでの歴史どんな生き物が絶滅していったのか、それぞれの展示を古い時代順に紹介しましよう。
ビッグファイブでどんな生物が絶滅したのか?
1.O-S境界
古生代、「オルドビス紀-シルル紀境界(約4億4500万年、約4億4400万年前)」の大量絶滅はなんと2段階式!
まずは、オルドビス紀末に火山噴火が原因で二酸化炭素が吸収され、寒冷化が起こり海面低下で大量絶滅。その約100万年後、寒冷期が終わり温暖期が起こり、海底の酸素がなくなり有毒な海水の発生で、大量絶滅となりました。

大絶滅展にて撮影

大絶滅展にて撮影
それまでは変な生き物ばかり。アノマロカリスの仲間でエーギロカシス(実寸大)や、ウミサソリ類のアクティラムスなどがいました。2メートルくらいあります。この子ら、大きさやばいですよね。

大絶滅展にて撮影

大絶滅展にて撮影
カンブリア紀に誕生した三葉虫は絶滅で多様性を失っていきました。こんなにもたくさんの種類があったとは……三葉虫が全目展示されているのは圧巻です。これだけ種類があると推しの三葉虫が見つかるかもしれません、ぜひ探しに行っていただけたら楽しめると思います。
三葉虫といえばアンモナイトも有名ですが、アンモナイトは4億年以上前に誕生し歴史は長いです。
緩やかに巻いていたのが、だんだんイキリだしたのかトゲトゲしたのが出始めるといった、いろんな形があるのでこちらも見ていくと推しが出てくるかもしれません。ぜひチェックしてみてください。
2.F-F境界
「デボン紀後期(約3億7200万年前)」に、2回目の大量絶滅は起こりました。
大規模火山噴火と森林の登場による寒冷化で大量絶滅しました。炭酸塩危機の原因として海洋酸性化が起きたという説もあります。
サンゴ礁の大崩壊と顎をもたない魚類はほぼ100%絶滅。三葉虫は、さらに目(もく)を減らし多様性を失いましたが消えてはいません。

大絶滅展にて撮影
顎のありのダンクルオステウスはデボン紀末に絶滅しました。大きいし、いかついです。こんなにがっしりしてていかつくても死ぬときは死ぬんですね。
3.P-T境界
「ペルム紀末(約2億5200〜2億5180万年前)」に、3回目の大量絶滅は起こりました。これがビッグファイブのなかでも一番の大絶滅で、陸上生物だと97%の種が消えました。
シベリア大火山活動による寒暖化と長期温暖化。火山ガスは有毒成分を放出し、強酸の雨を降らせオゾン層も破壊で絶滅祭りです。
一番の大絶滅なだけあって、回復にも時間がかかります。

大絶滅展にて撮影。左がディメトロドン
ペルム紀といえば、よく恐竜と間違えられる単弓類、ディメトロドンが有名です。もちろん恐竜ではなく、単弓類と双弓類という点すら違うし、まずこの時代に恐竜は誕生していないので時代も違います。
ペルム紀が終わって三畳紀が始まり、三畳紀後期には恐竜が出始めます。
4.T-J境界
中生代、「三畳紀末(約2億年前)」に、4回目の大量絶滅は起こりました。
パンゲア超大陸の中央部が南北に割れ始め、火山活動がスタート。その影響で大量の二酸化炭素が発生し、温暖化とともに大気中の酸素濃度が低下し大量絶滅となりました。

大絶滅展にて撮影
三畳紀はシュードスキア類(ワニの仲間)が強かったのですが、エオラプトル、ヘレラサウルス、コエロフィシス……ついに恐竜の誕生です!

大絶滅展にて撮影
5.K-Pg境界

大絶滅展にて撮影
「白亜紀後期(約6600万年前)」に、5回目の大量絶滅は起こりました。
直径10kmの小惑星がメキシコのユカタン半島に落下し、寒冷化と酸性雨が100万年続きました。落ちたところが硫黄を多量に含むところで、本当に当たりどころが悪かったのです。

大絶滅展にて撮影
恐竜は4回目の大量絶滅は乗り越え大繁栄してきましたが、さすがに今回は鳥類以外絶滅してしまいました。
そして、現在は6回目の絶滅中です。
まとめ

誕生しては絶滅したり進化したり、地球の歴史っておもしろいですね! 素晴らしい特別展でした。
地球の絶滅の歴史を知り、いろんな生物を見て、改めて現代の生き物も含めてやはり恐竜が一番だとわかりました。
自分ら人間も絶滅しないよう過去から学び、何ができるか考えていきましょう!
【特別展「大絶滅展―生命史のビッグファイブ」Special Exhibition: Mass Extinctions―BIG FIVE】
会期:2025年11月1日(土)~2026年2月23日(月・祝)
会場:国立科学博物館(東京都台東区上野公園7-20)
時間:9:00~17:00(入館は16:30まで)
公式サイト:https://daizetsumetsu.jp/

生田晴香 | Haruka Ikuta
恐竜タレント。TV、CMのほかモデルとして活躍中。福井恐竜博物館の公認恐竜博士で恐竜検定所持。恐竜トークショー、クイズ、鳴き声コンテスト審査員。古生物学会友の会&恐竜倶楽部メンバー。恐竜のうた「ダイナソーDANCE」監修。実は元あやまんJAPAN。
YouTubeちゃんねる「恐竜わっしょい!」始めました。

