6月16日は父の日だ。少子化対策として男性の育児参加を大々的に奨励しているにも関わらず、残念ながら父の日の存在感はかなり薄い。5月の母の日ともなれば、花屋の店頭は赤やピンクのカーネーションで埋め尽くされ、ラッピングされた切り花や鉢植えを手にする人を街なかで見かけたりもする。
ドジャース大谷くんに湧くメジャーリーグでも、公式戦でピンク色の母の日記念ボールが使われたり、なんだかどこの国でも盛大にお母さんへの感謝を叫んでいるように感じる。
しかし、どの国よりも母への思いが強いと感じるのは韓国ではないだろうか。韓国ドラマを見ているとそう感じずにはいられない。
名脇役としての存在感、ファン・ヨンヒの魅力
Netflix配信ドラマ『涙の女王』で描かれる親子の深い絆
話題の『涙の女王』には個性的な母親が登場する。主役のヘインとヒョヌ、そして恋敵のウンソン。物語はこの3人を中心に進んでいくが、それぞれの母親たちの存在も非常に重要だ。母への思い、我が子への思いが交錯し、親子の複雑な関係も描いている。
その中でも筆者が注目するのは、主人公のキム・スヒョン演じるヒョヌの母親役として登場するファン・ヨンヒだ。
強烈な印象を残すドラマ『月に浮かぶ川 王女ピョンガン』
過去に見た作品の中で何度も見かけてはいるが、なかでも印象的だったのが、高句麗時代を描いたドラマ『月に浮かぶ川 王女ピョンガン』だ。これまた絶賛大ブレイク中のナ・イヌが主演のドラマだが、ファン・ヨンヒはこの中で養母役として登場する。
将軍の息子であるナ・イヌ演じるダルを預かり、実母の代わりに立派に育て上げようとする。しかし自分の置かれた境遇に苦しみ、離れていきそうになる息子を必死に引き止めようと、燃えた薪を自分の両目に押し付け焼いてしまう……。そんな衝撃的な場面もあるが、自らを傷つけてまでも大切な子供を守り抜こうとする姿は非常に印象的だ。
ファン・ヨンヒの変幻自在な演技力と美しさ
ただ、この『月に浮かぶ川』での彼女は養母役でありながら、見た目はかなりなシワクチャなお婆さんなので、そのイメージが強く残っていて『涙の女王』に登場したときは正直びっくりした。ヒョヌの結婚式の場面で新郎の母として正装である韓服を着て現れるのだが、それはもうとてもとてもキレイで、「こんなに美人だったの??」というぐらい、シミシワだらけの老婆役とのギャップがあり過ぎた。
しかし、ここでファン・ヨンヒが演じる母は、我が子へというよりも、息子の妻であるヘインへの思いが溢れている。義理の母でありながらヘインを気遣い優しく言葉を掛けるシーンには、見ているこちらもボロ泣きだ。
名脇役として活躍し続けること
作品ごとの見た目の変化はさておき、脇役でありながらも、それぞれ違った「母」の表情を見せてくれる彼女の演技力には感心させられる。そして何よりも、常に話題の作品に登場し活躍し続けること、これは誰にでもできることではないはずだ。同じ女性としても、つい日常が緩みがちになってしまうことへの反省の意も込めて、見習わなければと思ってしまう。
※右がファン・ヨンヒ(ソ・ユジンのInstagramより)
ともあれお父さんも忘れずにね
改めて母の偉大さを感じつつ、さらに影が薄れていくようだが、世の中のお父さんたちだって毎日がんばっていることを忘れてはいけない。
今週末はせっかくの父の日。すぐそばにいても、遠く離れた場所にいたとしても、そんなお父さんたちに感謝の言葉を伝えてみてはどうだろうか。もし、気まずそうな顔をしていても?きっと心の中では小躍りしているはずだから。