傑作の予感⁉︎ 女性初の裁判官を描くドラマ「虎に翼」
日本で初の女性裁判官となった三淵嘉子さんをモデルに描いた、朝のNHK連続テレビ小説『虎に翼』。4月の放送開始からまだ2ヶ月程度しか経っていないが、これはもしや過去イチになるのでは?と思うほど傑作の気配。朝ドラなのに「ながら見」をしたくないほど、とにかく面白い。
筆者は朝ドラファンではあるが、今回に限ってはリアルタイム視聴、NHKプラスでもう1回、そして週末のまとめ再放送と3回は観てしまっている。それほどまでに夢中にさせてくれるこの作品の魅力とは?
「地獄」と言われる道なき道を突き進む
時代は昭和のはじめ、伊藤沙莉さん演じる女学生の猪爪寅子(いのつめ ともこ)は、弁護士でもある大学の教員との出会いをきっかけに、法律家への道を目指す。まだ女性が弁護士になれなかった時代。「地獄」と言われる道なき道を、多くの困難に立ち向かいながらも突き進んでいく、そんな物語だ。
強くそして優しく、主人公「寅子」の魅力
タイトルの「虎に翼」は、中国の思想家である韓非子(かんぴし)の言葉で「ただでさえ強い力をもつ者にさらに強い力が加わる」という意味なのだそうだ。
まさにその通り、主人公の寅子(通称とらこ)はとにかく強い。女学生の頃から成績優秀、努力家、負けず嫌いで自分の意見ははっきり言う。ケンカっ早くて頭に来たら男性にも食ってかかる。
それでいて誰よりも心優しく、それぞれの事情で夢をあきらめなければならない仲間たちのことを思い、ボロボロと泣いてしまう。
これからの展開、裁判官への道のり
今でさえ超難関の国家資格と言われる司法試験だが、昭和初期に、ましてや女性が挑戦するなどということは、並大抵のメンタルではチャレンジできない。法律や社会の常識、そして偏見に押しつぶされそうになりながらも、自分の生きたい道を行く。タイトル通り“翼を持った虎”のごとく、寅子は強く逞しくそして優しい。一人の女性の生き方としてそんな彼女に魅了されないわけがない。
しかし、この先の物語では世の中は戦争へと向かっていく。時代の変化が寅子の進もうとする道をさらに険しくする。
「なんじゃそりゃ…」現実に直面し、思わずこんな言葉が彼女の口から漏れてしまう場面がある。垣間見えた本心に観ている側も辛く悲しくなる。この苦難をどのように乗り越え、そして裁判官となっていくのか、ますます目の離せない展開となっていくだろう。
singlesな人たちへ、朝ドラヒロインからエネルギーを
令和になった今、昭和の頃から考えれば女性を取り巻く環境はもちろん大きく変化した。軽くなったものもあれば、反面、この時代だからこそ重く抱えなくてはならないものも増えたように感じる。
大型連休も終わってしまい、鬱々とした気分になりがちなこの時期、朝ドラヒロインにエネルギーをもらって、今日一日を始めてみるというのも良いかもしれない。