
モスクワ国際映画祭 最優秀アジア映画賞 受賞作品「きみはいい子」
モントリオール映画祭で監督賞を受賞した「そこのみにて光り輝く」を手掛けた呉美保監督。
日常のごくありふれた問題を忠実に描き、その人物の描写がとても素晴らしく、好きな監督の一人。
今回も、世界中で問題視されている幼児虐待、いじめ、独居老人をテーマに、それぞれの想い、悩みを描いています。
虐待を受けて育った人は、自分の子供にも同じように虐待してしまう負の連鎖。
虐待されていても、子供は誰よりも敏感に察してしまう。
自分に暴力を振るう人でも、子供には味方は親しかいないのだから。
そんな子供の気持ちを考えたら、居たたまれなくなり、胸が締め付けられそうになる。思い出しただけでも、苦しい。。。
観終わった後、家族でも、友達でも、誰でも、大切な人を、抱きしめたくなる。そして、抱きしめられたくなる。
抱きしめるだけで、安心、信頼、相手を想う気持ちに敏感に感じられる。
忘れていた気持ちを思い出させてくれる。
人とのつながり、愛を改めて考えさせられる作品です。
高良健吾さん演じる小学校教師と、生徒の教室での宿題を発表するシーンには、台詞でなく、子供たちの素直な気持ち、動揺が自然と出されている演出は、本当に素晴らしかったです。
子供をめぐる事件はあとを経たないけれども、この作品を通じて、人の大切さ、ありがたさ、温かさを改めて感じて、少しでも多くの子が救われることを願いたい。
自分の存在を、ただ誰かに肯定してくれる瞬間があれば、それを支えに、人は一歩前に進むことができる。この3つの物語それぞれに明るい兆しと希望を持つことができる、本当に素晴らしい作品でした。
愛する人、家族、友達、大切な人…誰でもいいので抱きしめてあげてください。