吉田修一作品「怒り」
「悪人」「さよなら渓谷」「パレード」等続々とヒット作を手掛ける吉田修一作品。
八王子近郊で、ある夫婦が惨殺された。
血まみれの廊下には、犯人、山神一也が書いた血文字「怒」が残されていたーーー。
事件から1年後の夏、物語は始まる。整形し、逃亡を続ける山神はどこにいるのか?
房総半島で漁師をする親子の前に田代と名乗る男がーー
東京で広告代理店に勤めるゲイの前にはサウナで出会った直人がーー
母とともに沖縄の離島へ引っ越した娘の前には田中と名乗る男がーー
この3つのストーリーと犯人を必死で追いかける刑事とが平行して進んでいきます。
それぞれに悩みや事情を抱え生活し、ほんの僅かな擦れから、崩れ落ち、信じることが出来なくなる。大好きだから、本気で愛してる大切な人だからこそ。人を信じることの難しさを痛感した。
人間って、恐ろしい生き物。いかに謎で理解し難い生き物。
そんな人間でも私は信じたいと、強く思いました。
常に心、感情を揺さぶられ、ほぼ一気に読了いたしました。