シリーズF? 日本のスタートアップには聞きなれないラウンドへ

日本でも名前は知られているPinterest。一部の意識の高い?層や、ファッションやデザイン好きな人たち、特に女性には人気の高いインターネットサービスだ。Instagram同様にセレブの中でもユーザーが多い。
美しい写真を共有する、シェアリングピンボード、というのがPinterestの特徴だが、日本国内での利用状況はいまのところ、伸び悩んでいる、という印象が強い。しかし本国での勢いは一向に弱まる気配がないようだ。
そのPinterestが、再び資金調達をしているという。

総額 5億ドル以上の目標額のうち、すでに2.5億ドルを集めているというから衝撃だ。しかも調達ラウンドがシリーズF(苦笑)というから、日本のベンチャーからしたらこれまた衝撃的である。

010年1月 – 50万ドル エンジェルラウンド
2011年5月 – 1000万ドル シリーズA
2011年10月 – 2700万ドル シリーズB
2012年5月 – 1億ドル シリーズC
2013年2月 – 2億ドル シリーズD
2013年10月 – 2億2500万ドル シリーズE
2014年5月 – 2億ドル シリーズF

動画サービス人気に隠れて生きている写真共有型サービス

一時はInstagram、Pinterestを中心にヴィジュアルWebサービスの中心コンテンツは写真だったが、2013-14年から静止画から動画に軸が移った感があった。Instagramでさえも(Twitterの傘下である)Vineに似た15秒動画の配信サービスを開始したし、Facebookもニュースフィード上での動画再生回数を最近の成長のKPIにしているようだ。
反面、Pinterestの手法をECに転換したと言える(美しい写真を見せて集客し、そしてECによるマネタイズをはかるというモデル)Fab.com が経営破綻している。

しかし、こうしてみると、動画隆盛時代にあって、トラフィックエンジンとしての写真コンテンツの強さには陰りがないようだ。
Instagramでも、シェアされるのは写真であり、PinterestのピンボードもEC業界にとっての新しいトラフィックエンジンとして、存在感を増している。

それに、同じTechcrunchが報じたところによると、世界最大のバイラルメディアであるBuzzFeedのインプレッションのほとんどはソーシャルメディア経由であるが、Facebookが月間113億でトップなのは当然として、なんとPiterestは60億Imp。8億4700万ImpのTwitterに、7倍近い差をつけているのである。

画像: BuzzFeedのインプレッション jp.techcrunch.com

BuzzFeedのインプレッション

jp.techcrunch.com

ちなみに、図のうちの赤がPinterestだが、60MというのがPinterest経由でBuzzFeedに戻ってきたユーザーのインプレッション。いわゆるレファラーという数値だが、実際にはその100倍ものインプレッションがPinterest上で起きている。Facebookでも同じだ。つまりユーザーがコンテンツを消費しているのは、BuzzFeedというサイトではなくFacebookであったり、Pinterestの上である。

フラグメンテーション(断片化)が進むネットコンテンツ

Facebookはもちろん、Pinterestなどのソーシャルネットワークサービスは、ユーザーを抱えてコンテンツを集積する場として、かつてのポータルのような役割を果たし始めているのが、現在のネットの環境であると言えるだろう。
そこにあるコンテンツは、世界中のどこかのコンテンツ製作者が生み出したコンテンツであるが、本来製作者が意図する場=メディアで消費されることは少なくなってきている。
FacebookやPinterest、TwitterなどのSNS以外のメディアは、コンテンツを見せる場ではなく、比較的大きなコンテンツの提供者=パブリッシャーとして位置づけられ始めている。

情報、記事、コンテンツが断片化して、散らばり、上述のような巨大ソーシャルネットワークのうえで、別々のコンテンツ製作者が作ったコンテンツと関連付けられて消費されていく。

Pinterestの価値も、このムーブメントの上にあるのだろう。

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