Apple Watchは洗練されて美しいが、パートタイムラバー
出典:http://www.apple.com/jp/watch/?cid=wwa-jp-kwg-watch-com
Apple Watchが発表された。
いよいよ腕時計のスマート化が始まるらしい。
しかし、私の過去の彼女たちは、それをとても悲しがっていることだろうと思う。少なくとも、私はいまそう感じている。
Apple Watchは、時計を、1年か2年で買い換える、消耗品へと変えてしまう。ハイテクであり、スマートであってもロングラスティングな(終わりのない長い)関係を作ることができない、日常品へと変わりゆくのだ。
出典:http://goethe.nikkei.co.jp/fashion/watch/130924/
最近はそうでもないが、私は女性に時計を贈るのが好きだった。
時計を贈ることで、彼女の左手首(ときには右)を独占する。そして、他のアクセサリーとは違い、腕時計はなかなか毎日付け替えるということをしない場合が多いから、その時計は彼女と常にともにいる。
Apple Watchはそんな密度のいい関係を築くことは難しいだろうと思う。
ナインハーフが教えてくれたこと
いまでは見る影もなく、容貌が衰えてしまったが、俳優ミッキー・ロークは若い頃はそれは美しかった。
彼の代表作である『ナインハーフ』をご存知だろうか。
SM的な行為にしかエクスタシーを感じなくなってしまった、ハンサムな金融ディーラーを演じるミッキー・ロークは、キム・ベイジンジャー演ずる美しいヒロインを、隠微で背徳的な性愛の世界に誘う。
ミッキー・ロークは愛のしるしに、指輪ではなく、華奢な腕時計を彼女に贈る。
そしていうのだ。
「時間を見るたびに、僕を想い出して・・」
なんとエロティックで、エゴイスティックな愛の言葉だろう。
しかし、二人の蜜月は実は長く続かなかった・・・わずか9週間と半分。つまりナインハーフ(Nine & Half weeks)で終わる特殊な愛。彼女は、彼に贈られた時計を外して、去っていく。ひたすら数をかぞえて、彼女の変心を期待して戻ってくるのを待つ男。永遠に愛は続かなかった、それは切ないが、終わりがあるからこそ愛は美しく、それでもロングラスティングな関係を求めて、男は時計を女に贈るのだ。
そして、これからは、Apple Watchのおかげで、そんなロマンティックなストーリーはもう生まれないのかもしれない。
映画「ナインハーフ」は、いまのところ、ここでフルバージョンを見ることができる。
もしご興味あれば、ぜひ。