『ネバーランド』(Finding Neverland)は、2004年公開のアメリカ・イギリスの映画製作の映画。
ジョニー・デップ主演、マーク・フォースター監督。第77回アカデミー賞では7部門にノミネートされ、作曲賞を受賞。
劇作家ジェームス・マシュー・バリーが、ピーター・パンのモデルとなった少年と出会い、その物語を完成させるまでを描いた実話を基にしたヒューマンドラマ。(Wikipediaより)
ピーターパンの原作者とモデルとなった少年たちの物語
ジョニー・デップは日本で最も人気のあるハリウッド俳優の一人だろう。
僕ももちろん多分に漏れず、彼の出演している映画はほとんど観ている。
彼の代表作を挙げろと言われれば『パイレーツ・オブ・カリビアン』は外せないだろうし、好きな映画は?と訊かれたら、30分くらい考えさせてくれと言いたくなること請け合いだ。
ただ、彼のセリフのベストオブベストを挙げろと言われたら。
僕は間違いなく、この『ネバーランド』の中のワンシーンを筆頭に挙げる。
『ネバーランド(Finding Neverland)』は、2004年に公開された。”劇作家ジェームス・マシュー・バリーが、ピーター・パンのモデルとなった少年と出会い、その物語を完成させるまでを描いた実話を基にしたヒューマンドラマ”(Wikipediaより)だ。
4人の息子を抱える美しい未亡人シルヴィアとの交流を通じて、ピーター・パンの物語の着想を得るバリー。もちろんジョニー・デップがバリーを演じる。
4人の息子たちは病気がちの母親を常に気遣う優しい男の子たちだ。ただ、三男のピーターだけは、まだ父親の死を受け入れられずに心を閉ざし続けている。
ピーターの心を癒すためにバリーが考えたストーリーが、やがてピーター・パンとしてまとまっていく。
成長していく少年にかける言葉
ジョニー演じるバリーは、シルヴィア一家との親交をやがて不義と疑われ始め、彼女たちと距離を置かざるをえない状況に陥ってしまう。
その間に体調を崩してしまうシルヴィアを心配した息子たちは、唯一信頼するバリーのもとを訪れる。長男の表情の中に、なぜバリーが自分たちと距離を置いたのか、そして母親の心にある秘めた想いを、すべて理解したうえで自分に会いに来ていることを悟ったバリーは、少年にこういうのだ。
「驚いたよ。君はたった30秒で大人になった」
このときのジョニー・デップの表情が忘れられない。思いつめた少年の強い眼差しに向けた彼の表情は、限りなく優しく柔かい。
女の子は生理的に大人になったと自覚できる瞬間を迎えるが、男の子にはそれがない。
精神的に、急激に成長し、少年の域を超える瞬間はあるが、それを自覚することは難しいし、親を含めて周囲の大人にもそれはみえづらい。
ジョニー演ずるバリーは、その稀有な瞬間を少年の表情から見出し、心から祝福しながら、その自覚を少年に与えるのだ。言い換えれば、少年はこの瞬間から自立した大人への階段を上り始めた。
少年犯罪が増加する一方の昨今の中で、最も必要なのは、このバリーの優しさであり、気づきであると思う。監視をすることと、見守ることは違う。そんな当たり前のことを、この映画の短いセリフが、我々に教えてくれる。